去年の12月。
暮れも押し迫ってきて、
今年の年越しは、酒を飲みながら、まったりと紅白歌合戦を見ようと、
ワインやら梅酒やらウィスキー、炭酸水、、、つまみも少々買い込んで、
準備万端であった、、、。
そんなある晩、それは突然やってきた。
なんだか、便意を覚えたので、トイレに向かった。
じょぼじょぼじょぼぉぉぉぉ。
そんな感じで出た。
下痢にしては、なんか違和感があ . . . 本文を読む
病院内の移動は、もっぱらベッドに寝たまま、
例えば、リハビリ・トレーニング室に移動する時も、
2名の担当リハビリ療養士がベッドをゴロゴロと押して、
連れて行ってくれた。
せっかく移動しても、
結局、病室で行うのと同じマッサージをするだけだったが、
気分転換という意味合いもあったのかもしれない。
なにしろ、その頃の私は、苦痛に耐えるだけの毎日で、
何の楽しみもなかった . . . 本文を読む
怪我で入院したのが、平成24年8月下旬。
今日が平成26年6月下旬。
いちいち書き留めないと、今が平成何年なのか判らなくなってきた。
良し悪しは別にして、療養生活では日常の変化が乏しいので、
時間的感覚が鈍くなってしまうようだ。
入院していた頃のことを書いていると、
その当時のことだけが頭の中で鮮明になり、それ以外の記憶が薄れてしまう。
まるで時間を喪失したような、妙な気分だ。
& . . . 本文を読む
病院に救急搬送されて10日ばかり経ってくると、
全身の筋肉痛もさることながら、頭の掻痒感が尋常ではなくなってきた。
10日間も頭を洗わないなんて、
それまで毎日シャンプーしていた私にとっては考えられない状況だ。
毎朝、2名1組の看護士が身体を拭いてくれるので、
残暑厳しい時候ながら、衛生的には保たれているらしい。
体臭は気にはしていたけれど、自分では判らなかった。
しかし、頭の痒さだ . . . 本文を読む
私の患った「頚髄損傷」は、ほとんど治る見込みがない。今こそ、現世を超越した宗教の世界に身を委ね、救いを求める時が到来したのではないか。日頃から信心深かった訳でもなく、全くの急な変心である。こんな身体になったからなのか、仏教的な無常観に魅かれ、入院中は「般若心経」を唱えることが日課になっていた。般若心経だけではない。心の平穏を求めて、まずは、「平家物語」冒頭の有名な一節・・・祇園精舎の鐘の声、諸行無 . . . 本文を読む
極度の食欲不振から体重が63キロから43キロに激減した。入院後、僅か1か月間のことである。食欲不振の理由は、頚髄損傷特有の全身の痛みによるものに加え、食べることに対する恐怖、そして、食べることによって必然的に発生する排泄への恐怖だった。頚髄損傷によって排泄障害を引き起こしていたのだ。尿はカテーテルで強制的に排泄させられていたから、それはそれで苦痛だったものの、とりあえずは解決していた。問題は大便の . . . 本文を読む
入院当初、担当のリハビリ療養士から、今後のリハビリ計画を説明された。・・・怪我をしてから50日間程度を急性期と言い、その間、この病院で治療する。首の骨折の予後治療、首から下の完全麻痺状態の改善を図ることが目的となる。その後、リハビリ専門病院に転院することとなる。転院するまでにどの程度よくなるかは、人によって大きく異なる。・・・「歩いて退院した方もいましたよ」と、その療養士は言った。現在の医療制度に . . . 本文を読む
「長い間、寝たままでいると、どうしても足の血行が悪くなって血栓になりやすいので、血栓予防用のストッキングを穿いて貰います。それと、血行をよくするためバイブレーターを付けさせて貰いますよ」ベッドに寝たままの私に看護士は言った。首から下はピクリとも動かないので、どんなにふうにしているのかは見えない。ストッキングは、細い金属ワイヤーが、足にぐるぐると強く巻きつけられたようで、ひどく痛かった。さらに、バイ . . . 本文を読む
点滴も痛かったけれど、カテーテル(バルーン)も痛かった。尿道ではなく、足の付け根付近がとても痛んだ。あれは、挿入されたカテーテルに過敏に反応して、その付近の筋肉が強く収縮するために起こる痛みだったと思う。どうせ「おむつ」をしているのだから、こんなものを装着する必要はないのではないかと思い、ナースの課長さん(最近は婦長さんとは言わないらしい)に外して欲しいとお願いすると、「脊椎損傷の場合、排泄障害と . . . 本文を読む
テレビドラマ「スペック」の再放送を観た。懐かしかった。怪我をする前に。夢中になって観たのを思い出した。「一」と書いて「にのまえ」と読む不思議な名前も、その時に初めて知った。・・・やはり神木君は天才子役だなぁ・・・おっと、もう子役って言える年齢ではなくなった。「インストール」や「妖怪大戦争」に出ていた頃から、何年経ったことか。その頃だった・・・このブログを始めたのは・・・第一話のスペックホルダーによ . . . 本文を読む
ナース・コール・・・入院患者にとっては、命綱だ。私の場合は首から下が完全麻痺状態だったから、マイクのようなものがベッドに取り付けられた。息を吹きかけると反応して、ナースステーションに判る仕組みだ。この調整具合が、なかなか難かしい。最初のうちは感度が良すぎて、通常の呼吸で反応してしまい、その都度、ナースの方々が私の病室に駆けつける事態となった。こういうことが続くと、「どうせ、また誤作動だわ」と思い、 . . . 本文を読む
意識が戻った時は、激痛で叫んでいた。全身の筋肉が「こむら返り」をしているような痛みだった。特に両足のふくらはぎの痛みは耐えがたかった。「お願いーーーっ、だれか足の親指を反らしてっ」ふくらはぎが攣った時、いつもそうして治していたからだ。だれかが「やってますよ。どうですか?」と応える。でも、少しも痛みは収まらない。「もっと、もっとしてーーー」「限界までやってます。これ以上は無理よ」・・・そうなのだ。痛 . . . 本文を読む
怪我をして、救急車で病院に緊急搬送され、意識が戻った時、最初に感じたのは、全身の筋肉の猛烈な痛みだった。遠くで担当医の声がする。「大丈夫ですか? 足は動きますか? 手は動きますか? 私の言っていることは判りますか?」私は身体を動かそうとしたが、ぴくりとも動かない。「首の骨が折れて、脊椎を損傷してますね。 ・・・・ 首から下が完全麻痺と ・・・ うーむ、一生起きられないかもしれない ・・・ ・・・ . . . 本文を読む