ベオウルフ

　急に寒くなったので、セラミックヒーターを点けた。迂闊にもスチームを併用しなかったので空気が乾燥し、たちまち鼻と喉をやられてしまった。まず口の中の後鼻腔が炎症を起した。痛い。膿のような鼻汁が出た。鼻も詰まって、鼻声になる。　これを治すには、洗浄と水分補給だ。もちろん内服薬も飲む。
　それと、アルコール。日本酒がいいのだ。熱燗で。
　ごほごほと咳が出るが、熱燗を飲んでいると症状が緩和するうえに、痰がとれる。痰がたくさん出れば、それだけ回復も早い。
　スチームには、若干の香料を注いでおく。アロマチックで気分がリラックスできるからだ。かくて、土曜日に発症した鼻炎は、日曜日の深夜には完治しつつある。
それにしても、今年の気候は変だ。これも温暖化の影響なのだろうか。
　土曜日は、こんなコンディションだったのに、レイトショウを観に行った。
　ベオウルフ。
　アンジョリーナ・ジョリーが出演しているというから、観ることにしたのだ。
　しかし、出演なんかしていなかった。紛い物だ。
　「ファイナルファンタジー」は、フルＣＧ作品であるということをきちんと提示したうえで公開された。しかし、「ベオウルフ」はそうではない。アンジョリーナ・ジョリーが出演していると宣伝しているのだ。ＣＧで作った作品を、あたかも実写版のように偽って興業するなんて、わたしはこんなものは認めない。
　６年も前に、スクウェアは１４０億円もの巨費を投じて、「ファイナルファンタジー」を完成させた。６年という歳月は、ＣＧの世界では技術革新という点で、もの凄く影響が大きい。それなのに「ファイナルファンタジー」の映像美は、今観ても迫真の素晴らしさで、ベオウルフのそれと遜色がない。ということは、「ベオウルフ」のそれは大したものではないという証明なのだ。第一、ベオウルフは実在のハリウッドスターをモデルにできるという途方もない援護を受けているのに、動きもぎこちないし、カメラアングルも陳腐、３Ｄの効果が凄いのだと言うが、それにしても、写実性に見劣りがする。
　それに比べて、ファイナルファンタジーは、全てオリジナルのキャラクターで挑んでいるのだ。オリジナリティという点で、ベオウルフはファイナルファンタジーの足許にも及ばない。
　今回、ベオウルフを観て、どれだけファイナルファンタジーが革新的で素晴らしい作品であったのかがよく判った。もう一度、あの時のメンバーが揃い、ファイナルファンタジーの続編を制作したら、恐らくベオウルフなんか問題にならないくらいの大傑作を生み出すのではないかと思ってしまう。ファイナルファンタジーは早過ぎたのかもしれない。
　ベオウルフの印象がここまで悪くなったのは、実写版と偽ったからだ。フルＣＧ作品と最初から銘打っておけば、そのつもりで鑑賞した。フルＣＧ作品なら、それなりの鑑賞方法があるのだ。