人は学生の間は、その人にとって親や先生の存在は、基本的に大きいと言えるでしょう。
社会に出るまでは、家庭で親が、学校では先生が気にかけてくれ、励ましてくれたりします。
つまり、自分のことをいいようにみてくれるという前提があります。
そこで、人は学生の間には親や先生がどう評価しているかを、軸として、それをひとつの目当てに生きています。
しかし、これが社会でも同じだと思い込んでいると、とんでもないのです。
社会はそんなに甘くないのです。お金が関係してくるので、家庭や学校とは違うのです。
社会へ出れば、自分は吹けば飛ぶような存在であると思い知らされます。
たくさんの人の中のたんなる一人であり、語弊があるかもしれませんが、いてもいなくても関係がない、通り過ぎていく存在になるのです。
これが社会の厳しさであり、いま就職したての若い人の中に、「仕事がつらい、やめたい。会社に行きたくない」と、SNSに書き込んでいる人がいるのは、こういった事情なのかもしれません。
そこで、自分のことを「特別な人」と思ってくれる家族や恩師、友人にいかに感謝できるかが試されてくるのです。
それが大人になるということなのでしょう。
他者に対して、どこまで責任をもてるかが大人になることなのだといえます。
別の言い方をすれば、自分のことだけを考えていると、悩みが大きくなり、深くなるのです。
自分はこれからどうなるのか、他者から自分はどう思われているか、自分がうまくいかないのはなぜ。
考えや思考のベクトルが、自分にばかり向くと、それで頭の中はいっぱいになり、となりで同じように悩んでいる人のことが見えなくなります。
やはり、関心のベクトルは、自分より他者に向けたほうがいいようです。
そうすると、周りの人に感謝できるようになります。
中学生に何度か伝えた言葉があります。
与えて恩を願わず。受けて恩を忘れず。