箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

他者への感謝

2020年11月28日 08時12分00秒 | 教育・子育てあれこれ
人は学生の間は、その人にとって親や先生の存在は、基本的に大きいと言えるでしょう。

社会に出るまでは、家庭で親が、学校では先生が気にかけてくれ、励ましてくれたりします。
 
つまり、自分のことをいいようにみてくれるという前提があります。

そこで、人は学生の間には親や先生がどう評価しているかを、軸として、それをひとつの目当てに生きています。

しかし、これが社会でも同じだと思い込んでいると、とんでもないのです。

社会はそんなに甘くないのです。お金が関係してくるので、家庭や学校とは違うのです。

社会へ出れば、自分は吹けば飛ぶような存在であると思い知らされます。

たくさんの人の中のたんなる一人であり、語弊があるかもしれませんが、いてもいなくても関係がない、通り過ぎていく存在になるのです。

これが社会の厳しさであり、いま就職したての若い人の中に、「仕事がつらい、やめたい。会社に行きたくない」と、SNSに書き込んでいる人がいるのは、こういった事情なのかもしれません。

そこで、自分のことを「特別な人」と思ってくれる家族や恩師、友人にいかに感謝できるかが試されてくるのです。

それが大人になるということなのでしょう。

他者に対して、どこまで責任をもてるかが大人になることなのだといえます。

別の言い方をすれば、自分のことだけを考えていると、悩みが大きくなり、深くなるのです。

自分はこれからどうなるのか、他者から自分はどう思われているか、自分がうまくいかないのはなぜ。

考えや思考のベクトルが、自分にばかり向くと、それで頭の中はいっぱいになり、となりで同じように悩んでいる人のことが見えなくなります。

やはり、関心のベクトルは、自分より他者に向けたほうがいいようです。

そうすると、周りの人に感謝できるようになります。

中学生に何度か伝えた言葉があります。

与えて恩を願わず。受けて恩を忘れず。