長男の結婚式でのこと。
式のフィナーレで、お嫁さんが自身の両親と兄弟に宛てた手紙を朗読した。
涙で詰まりながら読む手紙は、家族への感謝に溢れていて、聴いていたお嫁さんのご家族はもちろんのこと、私と夫も涙涙だった。
花嫁が嫁ぐ前に両親へ感謝の言葉を贈る場面は、何度見ても、たとえテレビで見知らぬ人のを見ても、もらい泣きをしてしまう。
ああ私もやればよかった、、、と、こういう事をせずにあっさり終わった遠い昔の自分の結婚式を少し後悔する。
それはさておき、お嫁さんはご家族に宛てた手紙を書いたが、うちの息子からの手紙は当然のように無いだろうと思っていた。
昔、学生時代に結婚式場でアルバイトをした事があるが、お嫁さんからご両親へ感謝の言葉を贈ることはあっても、お婿さんから両親へというのは見たことがない。
だからまったく期待はしていなかったのだけど、式が終わった直後になんと息子が手紙をくれた。
さすがに朗読はしてくれなかったが、後で夫と二人で息子からもらった手紙を読んだ。
そこには、息子からの感謝の言葉が書かれていた。
夫には子どもの頃にたくさん遊んでもらったことに対して、私には料理を作ってもらったことに対しての感謝の言葉が並んでいた。
その中で「クリスマスに作ってもらったパイシチュー、美味しかったです」と書かれた文を読んで「えっ、それかい?」とツッコミを入れたくなった。
パイシチューは決して私の得意料理というわけではなく、作り方も至って簡単で、普通に作ったシチューに冷凍のパイ生地をかぶせてオーブンで焼いただけのものだが、「クリスマスっぽくなるかな〜」と思って何回か作ったことがあった。
というくらい私自身は思い入れの無い料理なのだが、息子がそんなに美味しいと思っていたとは、この手紙で初めて知った。
また落ちまくった大学受験で心配をかけたことを詫びているのはいいとしても、「合格発表でやっと番号を見つけた時のお母さんの雄叫びは、今でも忘れられません」というのはやめてほしかった。
二浪目突入かとあきらめた時の合格だったので、嬉しさのあまり叫んだような気はするが、雄叫びとは、、、
お嫁さんの手紙とは違って、涙より笑いが出る息子からの手紙だったが嬉しかった。
そしてやっぱり息子へは感謝しかない。
なかなか授からずやっと産まれてきてくれた時の喜び、そして楽しかったことの方が多かった育てる経験をさせてもらえたことは、私と夫の人生にかけがえのない幸せを与えてくれた。
今度は、息子が新しい家庭を築いていく番。幸あれと願う。