先日、梅を見に行った公園で聞いた「いい話」の続き。
公園の入り口付近に、一生懸命に何か植物を採っているお二人の女性がいた。
正確に言うと、植物を採っているのは二人のうち年配の女性で、その娘さんらしき50代くらいの女性は、採った植物を入れる袋を持って立っていた。
公園に入る為、一旦お二人の横を通り過ぎたのだけど、何を採っているのだろうかと気になって仕方がない。
採っている場所を見ても、特に珍しい植物があるわけでもなく、どこにでもあるような日当たりの良い原っぱだ。
大げさだけど、これを聞かなければ後悔すると思い、通り過ぎた道をまた戻った。
そして、袋を持って立っていた女性に思い切って聞いてみた。
「何が採れるんですか?」
すると「ふきのとうですよ」と気安く教えてくれた。
見ると、地面から20〜30センチくらい伸びたふきのとうが沢山生えている。
女性は「私も知らなかったんですが、伸びたふきのとうの茎って食べられるそうなんですよ」と言って、袋を広げて見せてくれた。
袋の中には、花の部分を取って茎だけになったふきのとうが沢山入っていた。
ふきのとうは、咲き始めの小さなものを天ぷらやふきのとう味噌で食べたことがあるが、こんなに大きくなってからも食べられるのかと驚きだった。
それを言うと、教えてくれた女性も同じだったようで「そうですよね~私も茎は食べたことないんですけど」とおっしゃった。
そこへふきのとうの茎を持って、年配の女性が戻ってきた。
そこで「こんなに大きくなったふきのとうも食べられるんですね」と言ったら、「これはきんぴらにすると美味しいんだよ。蕗より美味しいかもしれないね。子どもの頃はよく食べたから、なんだかまた食べたくなってね」と教えてくれた。
女性曰く、蕗と違ってふきのとうの茎は下ごしらえが楽なのだとか。
下茹でした後に長く水に浸けてアクを抜く必要もなく皮もむかなくてよいそうだ。
「ふきのとうを見るたびに母が採りたいというから、今日は採りに来たんです」と娘さんがおっしゃった。
そうだったのか。そんなに美味しくて下ごしらえが楽なら、私もふきのとうの茎を採りたい、、、
というわけで、行ってきました。
行ったのは、お二人が採っていた公園の入り口ではなくて、毎年蕗を採りに行ってる場所がある。
そこは道路から離れているし、かといって人目のつかない山奥でもない。
最近、山菜採りで山に入り熊と遭遇するというニュースを聞くので、山には入らないようにしている。
被害にあった方も気の毒だが、駆除される熊もかわいそうだ。
蕗がたくさん生える場所なので、きっとふきのとうもあるだろうと思って行ったら、やっぱりたくさん生えていた。
成長したふきのとうは、根元から切りとり花の部分と葉を取り除いて、茎だけになったものを食べる。
熱湯で3分くらい茹でると、あっという間に柔らかくなった。
ちょっと茹で過ぎたかなと思うくらいだったので、もうすこし茹で時間は短かめでもいいのかもしれない・・・
それを適当な大きさに切って、にんじんとさつま揚げ、赤とうがらしと共に油で炒めて甘辛く味をつけて、最後に白ごまをまぶしてできあがり。
味は蕗と変わらないが、蕗より柔らかく筋がないので食べやすかった。
ちなみに今日の夕飯のおかずは、ふきのとうのきんぴらと農産物直売所で買った山菜・行者ニンニクの酢味噌和え。
まるで精進料理みたいだが、歳を取ると、こんな料理が美味しく感じられる。
またひとつ、食べられる山菜を知ることができてよかった。いい話を聞けた。