骨折してから一週間が過ぎ、また病院へ行ってきた。
足の甲を押されて痛みを確認してもらった所、順調に回復しているそうだ。とはいえ、ギブスが外れるのはまだ先のようで、松葉杖も相変わらず使うように、とのことだった。
松葉杖を使って日常生活を送ることは非常に不便だが、それも一週間を過ぎると徐々に慣れてきた。
松葉杖を使って歩く時は、悪い方の足と同時に松葉杖も前に出すのだが、これが慣れないうちは逆に出してしまう。「??・・なんか変だにゃ」と立ち止まって考えるので歩くのも遅くなる。
しかし、今は間違えることも無くなってスムーズに移動できるようになった。
そこで松葉杖生活も慣れてきたので、家族と一緒にスーパーへ買い物へ行ってきた。
私が買うものの指示を出して、買い物カートを押す家族に商品を選んでもらったのだが、久しぶりの外出なので、大根やジャガイモを買うことさえ嬉しかった。
ところで松葉杖をつきながら買い物をしていると、道を譲ってくれる方々がいることに気づいた。
それも何気なく道をあけてくれる。見ず知らずの人たちが足が不自由なのを見て、道をあけてくれる心遣いが本当にありがたく嬉しく思った。
これは骨折しなければ経験できなかったことだし、私自身も足が治ったらそのような心遣いができるようになろうと思う。
さて、家事の方も片足で行うコツをすこしずつ掴んできた。
料理は、前にも書いたが椅子を調理台の前に置いて、皮をむいたりするのは椅子に座ってやっているし、煮たり炒めたりの調理は重心を傾けながら足に負担をかけないように行っている。
またトイレ掃除で床や便器回りを拭く時は、膝をついて四つん這いになって拭く。
こうすると足先への負担はゼロで、しかも腹筋にも効いて運動不足解消にもなる。
しかし、やはり家族の助けなしではやっていけない。
以前は、家族に頼むより自分でやった方が早いと、何でも自分でやってしまう方だったが、骨折をして家族に頼むことが増えた。
そうか、これって頼んでもよかったことだったのか・・・と思うことが多くあって、ちょっと目からウロコの気持ちにもなった。
教訓、なんでも自分だけでやろうとしない。子どもや夫に手伝ってもらうこと。今後の為にも、家族に家事を覚えてもらうことは大切なことだった・・・
外出することができないので、読みたかった本を読んだり、窓からの景色を眺めたりしているが、ここ数日の間、懐かしい友人と電話で話す事が急に増えた。
もちろん私が骨折したことなど誰も知らないのだが、たまたま電話をくれた友人と話したことがきっかけで他の友だちとも久しぶりに話す事になった。
中には40年ぶりに話した友だちもいて、外出できず暇かと思いきやなかなか忙しい。
それにしても、骨折したことで家族の優しさをあらためて思い知ることができ、また友人の優しさや、見ず知らずの方々の優しさを思い知ることができた。
やはり起こることには無駄がないのだなぁと思う。
私の心の奥が体験したかったことに、もしかしたら今回のこともあったのかもしれない。
「令和元年6月某日、足を骨折すること。それによって思い知ることになるのはカクカク云々」とかね。
とは言え、この経験を踏まえて、今後は十分に気をつけようという気持ちになっている。もっと高齢になってから、足にひびくらいではなく大腿骨を骨折なんてことになっては大変なので。
皆様も正座から立ち上がる時には、どうかお気をつけください・・・