ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

お姑さんのこと

2018-08-22 14:49:22 | 介護
高齢になり、いろいろな事が難しくなってきたお姑さん。

最近では、料理の火の始末が心配になってきた。

もともと料理をするのが好きな人なので、火が危ないから料理をするなと言ってもなかなか聞き入れてもらえない。
私が家にいる時ならばいいのだが、外出時に火事になったらと思うと心配でお姑さんが自宅にいる時はできるだけ早く帰るようになった。

また失禁の問題もさらに多くなり、お姑さんの部屋に入ると異臭がすることが多い。

「自分で始末をしている」と言うのだが、果たしてどのように始末しているのか・・・

女性はいくつになっても女性で、シモのことは隠したがると、介護を経験した先輩が言っていたが、息子である夫にはもちろんだが、私にも失敗したことは教えてはくれない。

そこで紙パンツの着用を勧めているのだが、やはり頑として受け入れてはくれないのが困りものだ。

また、以前とは変わってきたのが顔の表情で、最近とてもきつい表情をするようになった。

そんな表情を見せた時は、また何かを私に盗られたと思っているのかなと憶測して気が滅入る。

「物が無くなった」と言ってもらえれば一緒に探すこともできるのだが、頭から私が盗んだと思い込んでいるので、こちらも難しい。

「また言ってるわ」と、あきらめるしかない。

そこで夫と相談して、たまには夫の姉たちの家へ泊りがけで遊びに行ってもらったらどうかという事になった。

実の娘の家に遊びに行けば、お姑さんの気分も変わるだろうし、娘たちから紙パンツを履くように勧めてもらえば、お姑さんも受け入れるかもしれないという淡い期待もあった。

しかし、二人の姉たちはお姑さんを預かることに難色を示した。

実の母親とは言え、長く一緒に暮らしていないので、家に来るとなったらどうなることかと不安に感じたのだと思う。

これは私もじゅうぶん理解できるので、断られても当然かと思った。

あの時・・・何から何まで介助が必要になった実父を自宅に預かることができたかと言われたら、やはり二の足を踏んだと思う。

お姑さんは父よりもずっと元気で、お風呂は無理だがトイレだって失禁はあるがスイスイ一人で行けるのだが、それでも自宅に高齢の母親がいるというだけで、今までとは違う不自由さが起こることは明らかだ。

お姑さんの介護の問題点は、失禁はたまにあるものの身体的な介護ではなく、時々突拍子もないことをするので目を離せないという事と、同じ話が延々と繰り返されるマシンガントークを聞いていなければいけないということだろうか。

「ショートステイを利用したらどう?」と義姉に言われて、ケアマネージャーさんに聞いたところ、高齢者のショートステイは、空き部屋のある特別養護老人ホームを利用するのだとか。

私も介護の資格を取る時に特別養護老人ホームで少しの間働いたことがあるが、まだまだ元気なお姑さんが見たら「絶対にここには入らない」と言うだろうと思う。

もちろんほとんどの特養の施設はきれいだし、職員さんも優しいのだが、入所している方々はお姑さんよりもずっと症状が重いので、お姑さんがショックを受けるのではないだろうかという心配があった。

ケアマネさんも家族が長期で旅行へ行くとか必要に迫られてじゃなければ、気分転換に行かせることはしない方がいいとおっしゃった。

「それでしたら、グループホームへの入所も検討してみたらいいと思います」とのことで、いくつかのグループホームのパンフレットを頂いた。

グループホームとは9人ほどの少人数で認知症の高齢者が共同で暮らしている施設だ。

父が入っていたサービス付き高齢者住宅は、まだ自立できている高齢者が入る施設なのだが、グループホームは認知症だという診断をもらっていなければ入ることはできない。

お姑さんの場合、自立は難しいのでグループホームになるのだが、それには病院で認知症の診断書をもらってこなければいけなかった。

グループホームに入所という事になれば、短期ということではなく余生をそこで暮らすことになる。

まだ元気だという自負があるお姑さんは、絶対に施設は嫌がるだろう。

そこを無理に入所させてもよいものかと悩んだ。

しかし夫が「もう限界が近いかもしれない。今すぐじゃなくても、近いうちに入所を考える時期は必ず来るから」と言うので、とりあえず診断書をもらう為に病院へ行った。

「何を診てもらうの?」と不審がるお姑さんを連れて、夫と私が付き添いケアマネージャーさんに紹介してもらった病院へ行った。

そこで認知症かどうかを調べる検査をいくつか受け、結果は夫と私が聴いた。

医師からの診断は「中度後半から重度の認知症」とのことだった。

そんなに重いの?というのが正直な感想だった。

すると医師は「一緒に暮らす家族というのは慣れてしまうのと、親がそんなに重いわけはないという思い込みで、まだそれほどでもないと思ってしまうんです。でも検査結果はかなり進んだ認知症です。施設の入所を考えてもいいと思います」とおっしゃった。

私の隣で話を聴いていた夫が、ショックから呆然としているのが分かった。

医師には最近のお姑さんの様子を細かく説明したのだが、顔の表情がきつくなったのも認知症の症状のひとつで、「疑心暗鬼」の妄想がそのようにさせるのだとか。

診察室へお姑さんが入った時にすぐに分かったそうだ。

診察室で一体なにをされるのかというお姑さんの疑心暗鬼が、そのような表情に現れたらしい。

医師は私の方に体を向けると「お嫁さん、よく頑張りましたね」とおっしゃった。

こんな時、涙のひとつでもこぼれるのだろうかと思ったが、涙の代わりに湧き上がって来たのは「まだそんなに頑張っていない」という想いだった。






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