8時1分と2分の間に見た夢はとても長いものだった。
設定をミスってスマホは音楽を流さずブルブルとしかしなかった。だから1分のときは目が覚めず、夢の中で杭打ちの音を聞いている旅人だった。そしてその旅人はタクラマカン砂漠を歩いて、砂のくぼみにあった家で砂嵐を耐え、黄海の港から海賊船のような木造船に乗って、知り合いを見つけて、好きだった女性の近況を訊いて、瀬戸内海の島々の木々の緑に心癒され、神戸の港に帰国した。そこでまた、どこかしらから聞こえてくる杭打ちの音を聞きながら目覚めた。それが、2分のバイブ音だった。
夢は覚醒した瞬間に再構成されるという本を読んだことがある。だから1分のバイブ音の前に見た夢も混ざっているのかもしれないけど、2分で起きた時には、初めての杭打ち音からすごく長い時間が経っていたように思えた。夢は編集されて、まるで人の一生を描いた3時間の映画のように、短い映像や画像が頭の中でつなげられて長いストーリーが作られるのだろう。そのつながり方こそが、その人の不安や恐れや欲望を表しているのだと感じた。
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