ちょっとしつこいですが、「ジュウシチネンゼミ」です。
3.人物が書き分けられていない
顕著なのは、4人組の女子中学生とか、5人組の子供たちです。
女子中学生はそれぞれの台詞が多い割には、区分ができません。なぜかというと、感情を表現する台詞が少ないからです。
特に衣装が体操着で、髪型と体型しか区分するところがないので区分しにくいのです。
子供たちも同じです。まだ、私服なんで違うことは分かります。
でも、役割が見えてきません。芝居の同じ時間の中に生きているという感じがあまりしないのです。
・解決策
癖とか弱みを作ってあげると、個性が出てくると思います。
必ずお菓子を持っているとか、本の引用をするとかです。
都会の子だったら、こんな台詞しかいわない子も面白いかも。
「ママがいけないって言ったもの」
「ママに会いたい」
「ママは、私のことが一番好きだって」
「お巡りさん、先生はきれいかもしれないけど、私のママほどじゃないわよ」
4.感情が説明的だ、あるいはよく理解できない
たとえば、付き合っていたはずの堂本先生と珠代先生が別れるってことは、結構重要なはずなのですが、後半になるまでそれについて二人が話すことはありません。
別れて離れてしまうという説明が延々と続く印象を受けます。
さらに、いざその話をすることになっても、珠代の口から出てくるのは「行くのをやめるわけにはいかないの」という台詞です。
わくわくしませんよね。
堪えているのに、堪えきれない女性の気持ちを伝える台詞としては。
まあ、ミュージカルなんでかなり説明が多くなるのは仕方がないのかもしれませんが、演劇というのは感情を味わう部分が大きいので、そこら辺をスマートに見せてもらうと、かっこよくなります。
・解決策
上の例だったら、こんな台詞かな。メロドラマぽくしか思い浮かばないですが。
珠代「私は待っていなくちゃならないの?海だけはきれいなこの島で。それとも、待つのもだめなの」
あまりいい例ではありませんでした。
5.笑いがスマートでない
無理やり笑いを作っているので、笑いがスマートでないのです。せっかくスマートな劇場でやるのですから、スマートな笑いを見せてほしいものです。
では、脚本はこれくらいにして演出はどうでしょう
1.アイディアにこだわらないほうがいい
たとえば、盆を回すというのは普通の劇場ではできません。でも、頻繁に使ってしまうと見せ場での効果が半減します。
2.細かい演技を使わない
台詞が終わったあとも、会話の振りだけが続いて暗転していくシーンが何回か続きましたが、こういうシーンが続くと区切りがはっきりしなくなります。つまり、こういうシーンは盆が回るから作りたくなるシーンなのです。
ところが、何度も続くと見飽きます。
3.照明もきめ技は少なく
最初、照明が雑なのかなと思いましたが、山口さんなので、演出家さんのご要望にお答えしているのではないかと想定されます。きれいと思える照明も、何度も繰り返すと飽きてしまいます。
さて、全体の印象等です。
台詞はリバウンディングマイクのせいか、あるいはバトンから下がっている2本のマイク(最初星球かと思いました)のせいで、かなり明瞭に聞こえましたが、始まりの部分などは滑舌のせいか、あまり意味が伝わってきませんでした。
踊りは、どうなんだろう?
あまり、難しい振り付けはないようでした。
で、何が一番よかったかというと
アキコをやった九里つばさくんがよかったです。
一人だけメークがナチュラルでないという、謎は残りましたが、面構えはいちばん素敵でした。
ひざがすぐ曲がるという、問題点を克服すれば、いい役者さんになりそうです。