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ロンドンから徒然に

1Q84の英訳本発売

2011-10-18 | 文学
 毎年ノーベル賞発表の時期になると村上春樹の受賞が取り沙汰されますが、今年もダメでしたね。まぁ別に賞を欲しがるような人でもないでしょうし、世の中にはまだまだ注目を浴びるべき作家もたくさんいるので、そういう人にあげた方がいいのかもしれません。

 でもこの本の英訳で、本人の意思がどうであれ、また間違いなく賞の最有力候補に躍り出ることになるでしょう。
 今日「1Q84」の英訳本がイギリスの書店に並びました。ちなみに英語では“One Q Eighty-Four”の読み方が一般的ですが、“ichi-kew-hachi-yon”と日本語読みそのままを当てる人もいるようです。

 まるでCD店で行われる人気バンドの新作アルバム発表のように、ロンドンの大手書店では前日17日の夜からパーティが催され、日付が替わった深夜12時過ぎから発売が開始されました。

 本は書店のあちこちのコーナーに山積みされており、店員も1Q84のロゴの入ったTシャツを着てレジに入っています。
 今日発売されたのは、Book1とBook2がひとつにまとめられたもの。かなり分厚いですが、紙質のせいかそれほど重くはなく、値段は定価£20(約2,500円)です。Book3は少し遅れて25日に発売されるみたいです。



 それにしても、既にあちこちの言語に翻訳されていた1Q84なのに、どうして(普通だったら一番早いと思われる)英語版だけこんなに遅れたんでしょうね。
 本人が英語に通じているので自ら監修して時間がかかったのかな、あるいは翻訳者の気の遣いようが違うのかな、などと勝手に考えていました。

 先に書いた様子でも分かると思いますが、こちらでの村上春樹人気は凄いです。どんな書店に行っても、必ずスペースを占めています。
 アジアで人気のある『ノルウェイの森Norwegian Wood』よりも、むしろ良く読まれているのは『海辺のカフカKafka on the Shore』あたりでしょうか。

 どうしてこんなに世界中で人気があるのかに関しては、これまでもあちこちで議論されてきましたが、本人の弁で確か、世界の体制が崩壊して世の中が混沌とした状態にあるので、自分の小説がそれと呼応するんだ、というようなことを述べていたことを覚えています。

 混沌とした世の中で人気がある……とすると、これからもしばらく村上春樹人気は続きそうですね。

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