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ロンドンから徒然に

売れる絵

2010-01-13 | アート
 アーティストが自分のために、というか自分の魂の発露として絵を描き始めたのは印象派の前後からじゃないかと思います。
 それまでは依頼があったものを仕上げる、言わば職人なわけですよね。だから稼げなければ仕方がないし、テーマもごく限られたものになってきます。ポートレート(しかも美人になるように修正された・笑)が多いのもその理由かもしれません。

 この“売れる”というのは、音楽の世界でもそうなんですが、ひとつの物差しになっていますね。言わば嗜好の世界ですから、良し悪しの判断は難しいし、売れている人とそうでない人に分ける方がたやすいのかもしれません。

 アンディ・ウォーホールの有名な言葉“Good business is the best art”
 彼の他にもジェフ・クーンズ、ダミアン・ハースト、そして村上隆なんかを挙げると、確かに皆ビジネスとしてのアートを意識しているアーティストです。それを再認識させるためか、キース・ヘリングのエリアでは(右下の写真のような美術館全体の売店ではなく)展覧会場内なのにショップがオープンしていました。



 あ、何のことを言っているかというと、テート・モダンでずっと開催されていた展覧会POP LIFEのことなんです。始まってすぐに行ったのですが、つい書き忘れていて、昨日例の宗教画のことを書いていて対比的に思い出した次第です。

 “売れる”ということはそれだけ皆に認知されているということで、どれを見ても懐かしい感じがして、さすが時代と共存してきたアートだと感心しました。
 これらのポップ・アートが“クラシック”となる時代にどんな評価を受けるんでしょうね。

 さて、僕の今年最初の楽しみな展覧会はロイヤル・アカデミーで始まる“THE REAL VAN GOGH”です。65点の油絵、30点のデッサン、そして35通の彼の手紙から成るこのユニークなゴッホの展覧会、The Artist and His Lettersという副題が付いています。

 ゴッホは皆さんご存じのように生前に買い手の付いた絵がわずかに1点のみという“売れない”画家でした。でも、やっぱり僕はこちら作品の方が好きだな。