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趣味の英語学習(TOEIC 970点)やダイエットの成功談など、色々書いていきます。

'just'は難しい

2015年08月14日 23時16分48秒 | 英語
英語を追いかけていて常々、”この単語は難しい”と思ってしまう単語があります。' just ' です。対応する日本語訳を覚えているだけではなかなか対応できない、その単語そのものの語感をしっかりと掴んでおかないと、文中でのニュアンスが今ひとつはっきり分からない、そういう単語の代表格だと思います。ネットでもそういう書き込みが散見されるので、日本人学習者共通の悩みかもしれません。要するに、学校できちんと教えられていないのです。きちんと分かっている先生も少ないのでしょう。

いつものTOEIC TESTプラス・マガジンの例題にも1つ、分かりにくい例がありました。経営改善を目指す航空会社が国内のドル箱路線と赤字路線を精査して、赤字路線の廃止を計画しているという内容のあと、広報担当者の次の言葉が続きます。

"We need to find a way to trim the budget, considering the rising cost of fuel and slowing travel demand nationwide. The routes we're cutting are just not profitable anymore."
(出典:TOEIC TESTプラス・マガジン、2007年7月号)

justが出て来ますね。このjustが表しているニュアンスをバシッと掴むことができますか?難しいですよね。今ひとつ分かったような、分からないような感じですよね。ちなみに雑誌の日本語訳は以下のようになっています。

「当社が削減を進めているルートは、たんにもう利益が上がらないものなのです」

まあ、このjustを日本語に落とすときに、絶対的な正解や不正解はないとは思いますが、日本語としてもう少しこなれた訳し方はできないでしょうか?”たんにもう利益が上がらないものなのです”って、何か突き放し過ぎというか、人ごと的というか、広報担当の公の場での発言としてはちょっとアレですよね。切り捨てられようとしている路線の利用者に対する配慮が微塵も感じられないじゃないですか(笑)。広報がこんな物言いをしたら超ヒンシュクだと思いますwww

もちろん、言っている事の本質はそういう事ですよ。ただ、上記のようなシチュエーションまで考えるのなら、もう少し訳出を工夫したいですよね。かねがね難しいと思っているjustが絡む難所にちょうど出くわしたので、この際突っ込んで考えてみたいと思うわけです。

ということで、副詞のjustの意味を(上記の例は当然副詞です)調べてみると、

1. まさに、ちょうど、まさしく
2. (完了形・過去形とともに)ほんの今(~したばかり)
(進行形とともに)ちょうど(~して)
(進行形・状態を示す動詞と共に)~しかかって
3. (しばしばonlyを伴って)ようやく、やっと
4. ただ、ほんの
5. まったく、本当に
(weblio英和和英より)

などなど、書かれています。このような、対応する日本語訳が沢山ある単語の場合、私はどうやって理解するかと言うと、本質的な意味が同じものをできるだけグループ化して大きくまとめつつ、それぞれの例文を眺めて個別の訳例を頭の片隅に入れておく、というやり方をします。その単語が持つ”根本の語感”をできるだけ感じとる努力をするのです(もちろん、いつも上手くできるとは限りませんが)。まかりまちがっても、全ての訳を呪文を唱えるように暗記するなんてことはしません。

で、このjustの例をじーっと眺めてみると、、、。要するに、「ピンポイント」って事じゃね?と思うわけです。時間的にピンポイントだから”ちょうど”とか”~しかかっている”なわけだし、内容的にピンポイントだから”まったく、本当に”だし、マージン(ズレ)がほとんど無いという意味でピンポイントだから”ようやく、やっと”とか”ただ、ほんの(それ以上大きく余裕があるわけではない)”などという意味になるのだろうと、感じるわけです。

で、上の例文の場合、私の感覚では、4. の意味というよりは 5. の意味の方が近いのではないかという気がします。どうも日本人の傾向として、1や2以外のjust を4の意味に取りたがる傾向が強過ぎるのかなぁという気がします。上の例文はどちらかというと5. じゃないですかね。で、もうすこし特化するなら、unprofitableであるというポイントからどうやってもズレ様がない、そのポイントから動かない(動けない)、そういうニュアンスを表しているjustではないかと思うのです。

で、他の辞書も調べてみると、just が否定後の直前に来た場合、

「とてもじゃないが~ない」

という意味になる、と書かれているものがいくつかありました。もちろん、この説明も、justの本質的な意味が1つ増えたということではなく、1つの訳出例であるという捉え方をすべきだと思います。日本語の「とてもじゃないが」は、字面と意味がやや一致していない言葉だとは思いますが、意味の本質は、「どうやっても~という事にはならない」ということですから、先に述べた、”あるポイントから動かし様がない”という意味のイメージと同じですよね。「とてもじゃないが~ない」という訳し方が上手くハマるケースもある、と理解しておけばいいと思います。

さて、以上を踏まえて例文を訳してみると、

「とてもじゃないですがもはや採算が取れる路線ではありません」

という訳でもいいでしょうけど、もう少し、広報の発言らしいフォーマルな表現を考えて、以下のようにするのはどうかなと思います。

「廃止を予定している路線は、もはやどうやっても採算が取れる路線ではありません」

少し意訳をすると、

「廃止を予定している路線は、どのような対策を施してももはや採算が取れない路線なのです」

くらいじゃないですかね。要するに、ピンポイントで、そこから動かすことができない、ただだた(どうやっても)そうあり続けるだけ(あり続けるしかない)、そういうニュアンスを醸し出しているのがこの just ではないかと思うわけです。