まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

お知らせ 10月

2020-10-21 12:19:24 | 文庫のページ
レンゲの会 10月26日(月)10:00~13:00
      田畑精一さんの絵本を取りあげて
 田畑さんは今年6月に89歳でお亡くなりになりました。
              ♡♡♡♡♡月1回、子どもの本についておしゃべりしています。どなたでも参加できます。
              ♡♡♡♡♡残念ですが、今年度は会食なしで、行います。♡♡♡♡♡♡

古田足日さんとの共作『おしいれのぼうけん』『ダンプえんちょうやっつけた』、自作の絵本『さっちゃんのまほうのて』『ひ・み・つ』『ピカピカ』のほか、神沢利子さん、後藤竜二さん、灰谷健次郎さんの作品にもさし絵を描いています。時間があったら児童書のさし絵もご覧ください。

 11月30日(月)10:00 那須正幹さんの「お江戸の百太郎」シリーズ(岩崎書店)を取りあげます。6巻シリーズです。長野ヒデ子さんがさし絵を描いています。

大人のコーヒーサロン 11月11日(水)1:00~3:00(月1回 第2水曜日)
昨年5月から始めた<大人のコーヒーサロン>も、今回で15回目になります。
今年はコロナ禍もあり、来てくださる方がいらっしゃるかどうか心配しましたが、毎回、来てくださる方があり、感謝しています。
10月は6人の方が来てくださり、身体や健康のことなど、それぞれが年を重ねる中で抱えている問題が話題になりました。
コロナ禍は終息しそうにありませんが、小さな会なので、どうぞお出かけ下さい。コーヒーを用意してお待ちしています。
 次回は12月9日(水)です。今年最後の会です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新しく買った本 10月

2020-10-21 11:02:08 | 文庫のページ
新しく買った本
①『つるかめ つるかめ』 中脇初枝/あずみ虫 あすなろ書房 2020.8
 おまじないには不思議な力があります。
 7つのおまじないが紹介されています。
 「つるかめ つるかめ」は、いやな気持を吹き飛ばす縁起直しのおまじないです。「くわばら くわばら」や「ちちんぷいぷい ちちんぷい いたいのいたいのとんでいけ」は知っている人が多いおまじないです。「だいじょうぶ だいじょうぶ」も、不安なとき、誰かに言ってもらえるだけで、安心できるすてきなおまじないです。
 コロナ禍で、大人も子どもも不安を抱えている今、昔の人々の知恵が生み出したおまじないについて考えさせてくれる絵本です。
②『あかいくるまのついたはこ』 モウドとミスカ・ピーターシャム 渡辺茂男訳 童話館出版 1995
 書店で表紙を見て思わず手に取りました。赤とオレンジで縁取られた白い画面に、赤で描かれた題字が目を引きます。開くとどのページも赤とオレンジで縁取られ、華やかな色彩に圧倒されます。渡辺茂男さんの訳で、25年前の出版です。ご夫婦で子どもの本を作っているピーターシャム夫妻の絵本です。
 庭の木の下に置かれた赤い車のついた箱。次々とやってくる動物たちが中をのぞいては何だろうと首をかしげます。赤ちゃんと動物たちの交流を描いたすてきな絵本です。
③『あるひあるとき』 あまんきみこ/ささめやゆき のら書店 2020.7
 第二次世界大戦中、中国の大連に住んでいた女の子の物語。
 出張で日本に帰ったお父さんのお土産のこけしの「ハッコちゃん」は、女の子にとって大事なものでした。戦争が終わり、2年後、やっと日本に帰れることになった時、ハッコちゃんとの悲しい別れがやってきます。防空壕に逃げる場面や戦後の苦しい生活の様子も出てきますが、声高に戦争を描いてはいません。その時代を生きた小さな女の子の喜びと悲しみをこけしの人形との思い出を通して描いています。
 1931年8月に、満州で生まれたあまんさんは、1947年に帰国するまで中国で暮します。大人になって、満州が日本の傀儡国であり、本来そこにいるべき人たちを日陰に追いやっていたことを知り、たとえ子どもで何も知らなかったとしても、自分の罪深さに気づいたと言います。そんなあまんさんの大連での子ども時代の話です。
 最後に「メンコ メンコト ナデラレテ コケシハ マルクナッタノサ」という言葉が出てきます。大正時代の児童文化研究家で、こけし蒐集家の仙台の天江富弥さんの言葉です。あまんさんは結婚後、3年ほど仙台に住んでいたことがあります。仙台とのつながりを興味深く思いました。
④『さくら』 田畑精一 童心社 2013
 日本・中国・韓国の絵本作家12人が「子どもたちにおくる平和絵本」シリーズとして出版した12冊の絵本の1冊です。日本からは浜田桂子さん、田島征三さん、和歌山静子さんも参加しています。田畑さんは3月生まれで、学年としてはあまんさんの1年上になりますが、同じ1931年生まれです。その年の9月、満州事変が起き、その後15年も戦争が続きます。敗戦までの15年間、田畑さんがどんな子ども時代を送ったかを描いた絵本です。
 お国のために死のうと考えていた軍国少年だった田畑さん。1945年1月に父が亡くなり、貧しさの中で母の苦労を知ります。戦争とは何だったのか、田畑さんがずっと考え続けたテーマだったと思います。絵本の最後で、桜の木の語る言葉に田畑さんの思いが凝縮されています。
 『子どものころ戦争があった』(1974年)や「子どもたちへ、今こそ伝える 戦争』(2015年)にも田畑さんの文章が載っています。
⑤『ちゃいろいつつみ紙のはなし』 アリソン・アトリー 松野正子訳 殿内真帆絵 福音館書店 2015
 包み紙が主人公のお話です。表紙は包み紙そのままの茶色で、地味な装丁です。アトリーの作品と気づかなければ、なかなか手に取ってもらえないかもしれません。ただ、真ん中のドラゴンが印象的です。
 お店で買われた茶色の紙がどんなふうに包み紙として役目を果たしていくか、茶色い紙のドキドキする気持ちや幸せな気持ちに共感できます。包み紙としての役目を終えたあとも、茶色の紙にはすてきなことが待っていました。茶色の紙のまわりで交わされる親子の会話も楽しく、紙を大切にする人々の豊かな思いも伝わります。
 優しい色づかいとデザイン感覚のすばらしい殿内さんの絵がお話を一層印象深いものにしてくれます。
⑥『はりねずみともぐらのふうせんりょこう』 アリソン・アトリー 上條由美子訳 東郷なりさ絵 福音館書店 2020.9
 草原に住む小さな動物たちのすてきなお話が3編収めてあります。
 「小さな人形の家」(1970)は、小さなのねずみの兄妹の話。草原に女の子が忘れていった小さな人形の家にもぐりこんで、眠ってしまったふたりの冒険の話です。
 「はりねずみともぐらのふうせんりょこう」(1945)は、風船を手に散歩していたはりねずみともぐらが、風に運ばれて空の旅を楽しむ話です。はりねずみともぐらが空を飛ぶ姿は愉快です。
 「のねずみとうさぎと小さな白いめんどり」(1966)は、3人が小さなほし草の家を作って、一緒に暮らす話です。屋根にサワギクの枝を刺しておくと、人間からは見えないのですが、父親から麦畑に妖精が住んでいると聞いたスーは、一瞬ですが、3人の家を見ることができます。白いめんどりの語るお話に耳をすませ、楽しむスーは、子どもの頃のアトリーをモデルにしているのかもしれません。
 人間の生活のすぐそばに、小動物たちの懸命に生きている世界があることを気づかせてくれる、すてきなお話集です。
 東郷なりささんのさし絵も素晴らしいです。どのページにも黒一色で描かれた小動物たちが生き生きと動き回り、草花や木々の様子も細やかに描かれ、心に残ります。絵本『じょやのかね』や『さくらがさくと』とはまた違ったタッチで、魅力的な絵です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする