まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 8月

2015-08-23 10:41:14 | 文庫のページ
『希望の牧場』 森絵都/吉田尚令 岩崎書店 2014
 東京電力福島第1原発事故が起きた時、浪江町(原発から20キロ圏内)に住む吉沢正巳さんの牧場には330頭の牛がいました。人々がいなくなった町で吉沢さんは牛の世話をし、牛の殺処分にも応じませんでした。理由は牛飼いだから。そんな吉沢さんを取材してできた絵本です。
 放射能に侵され、肉牛としては役に立たなくなった牛たちに、牛飼いだから世話をするという「オレ」の心の内を淡々と語ります。原発事故後も牛飼いとして当たり前に生きる生き方を選んだ吉沢さんの姿は多くの人の共感を呼び、支援する人も増え、牧場は今「希望の牧場」と呼ばれています。
『わすれものの森』 岡田淳+浦川良治 BL出版 2015
 笛をなくしたツトムの不思議な冒険の物語。
 黒マントのふたりの男に出会ったツトムは、自分のなくした笛が「わすれものの森」に行ってしまったことを知る。その森に行ってしまったものを取り戻すのは困難だと黒マントの男はいうが、どうしても笛を取り戻したいというツトムに力を貸す。果たしてツトムは笛を取り戻せるのか、最後まで緊張が続く。
 40年前に文研出版から「ねべ りよん」というペンネームで出版された作品の復刻です。岡田さんと浦川さんの合作。
『彼岸花はきつねのかんざし』 朽木 祥/ささめやゆき 学研 2008
 きつねが身近な存在として人々のそばで生きていた時代を舞台に、子ぎつねと少女の交流を描いた物語。
 きつねに化かされた話をよくする祖母や母と暮らす也子(かのこ)は、化かされないように気をつけるが、ある日、子ぎつねと出会い、次第に交流を深めていく。でもあの8月6日のピカドンのあと、子ぎつねは約束の彼岸花を届けてくれたが、也子の前に二度と姿を見せなかった。やっと友達になれると思った子ぎつねとの別れを通して、也子は広島に原爆について考える。
 朽木さんが最初に原爆を取り上げた作品。
『引き出しの中の家』 朽木 祥/金子 恵 ポプラ社 2010
 「花明かり」という、姿は人間にそっくりの小さな人が登場する物語。
 花明かりがいると、花は見事に咲き乱れ、果実はたわわに実り、緑は濃く深くなるという。昭和の初めに建てられたライト式の古い大きな家を舞台に、その花明かりと心を通わせた少女たち。
 第1部は10歳ぐらいの七重と独楽子(花明かり)の物語。第2部はそれから40年後の物語。薫(七重のいとこの娘)と桜子(独楽子の孫)の物語。40年前、七重が果たせなかった独楽子との約束を、薫は桜子と一緒に果たそうとする、すてきな物語。
『トンネルの森 1945』 角野栄子/大庭賢哉 角川書店 2015
 1935年生まれの角野さんが体験した1945年、10歳だったイコちゃんが見た戦争の話。
 5歳のとき母を亡くし、祖母に育てられたイコちゃんは、1945年、父の再婚相手の光子さんと一緒に千葉県の小さな村に疎開する。疎開先では驚くことばかりで、苦労も多い。脱走兵が隠れているという大きなトンネルのような森を通って学校へ行く怖さに耐えながら、田舎の子になると決意するイコの姿が印象的です。勇気を奮い起こして大きな森を通るとき、「イコが通りまーす」と何度も唱えながら通る姿が心に残ります。時々東京からやってくる父親のセイゾウさんと過ごす時間がイコにとっては大きな喜び。セイゾウさんの大きな愛に包まれているイコちゃんの話です。
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寄贈本 8月

2015-08-23 10:17:57 | 文庫のページ
寄贈本 6月~7月にいただきました。ありがとうございます。
『ピーテル、はないちばへ』 広野多珂子 福音館書店 2015
 広野多珂子さんから新刊の絵本をいただきました。オランダを舞台にしたお話。運河沿いの美しい景色と建物と人々、色鮮やかな花であふれる花市場とそこに集まる人々の表情など、ていねいに描きこまれた絵は美しく、心に残ります。
『子どもはみんな問題児』 中川李枝子 新潮社 2015
 久保まおりちゃんのお母さんからいただきました。子どものこと、子育てのこと、本のことなど、17年間保母として子どもに関わってきた中川さんからお母さんたちへのすてきな応援歌のような本です。保育士さんにもおすすめです。
『世界のなぞかけ昔話① どうしてかわかる?』 ジョージ・シャノン/ピーター・シス
         福本友美子訳 晶文社 2005
 實井美知江さんからいただきました。謎に満ちた短い昔話が14話。どの謎も難しいです。「たねあかし」を見てやっと納得。ぜひ挑戦してみてください。
『このみち』 内田麟太郎/たかすかずみ 岩崎書店 2015
『おばけもこわがるおばけ』 内田麟太郎/西村繁男 童心社 2015
 内田麟太郎さんから新刊の絵本をいただきました。たかすかずみさんとの絵本はこれで3冊目。絵がとてもいいです。西村さんとの絵本はいつも愉快です。お化けがお化けに化けるお話です。
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