小島教育研究所

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慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス開学前夜のころ。

2011-07-11 | コンピュータよもやま話

慶應義塾大学中、一番若い学部は薬学部であるが、その次に若い学部は、慶應義塾藤沢湘南キャンパスにある総合政策学部と、環境情報学部である。開学は平成元年であった。藤沢市の丘陵地帯にあり、キャンパス全体がゆるやかなスロープの中にある。慶應が新しい学部を作るらしい、という話はそれ以前から聞いていた。そんなある日、大学時代の恩師(解析学)から我が家に電話が入った。「慶應が新しく神奈川県藤沢市に学部を設置するのだが、その設立準備の責任者にS助教授が選任された。彼の仕事は、学内のキャンパスネットワークの構築なのだが、いろんな面で相談にのってやって欲しい。現在の君はコンピュータ業界の第一線で働いているので、S助教授にいろいろアドバイスをお願いしたいが、良いだろうか。」ほかならぬ恩師のK教授の依頼とあらば、いやとは言えぬ。「来週S助教授はそちらにF通のワークステーションの紹介セミナーに講師として出向くようなので、ともかく彼の話を聞いて、適切なアドバイスをしてやってくれたまえ。」いつもお世話になってばかりの私は、このような機会に少しでもご恩返しができればと、ご依頼の用件をお引き受けした。

S助教授と名古屋の名駅で面談。

相談の内容は、「開学時点で、キャンパスネットの端末は1300台と計画しているが、なにせ予算がない。単純計算で200台分の端末しか用意できそうもない。何か妙案はないだろうか。」

「それは、きついですね。しかし、コンピュータネットワークの研究を中心に据えた大学を作ろうとしているのに、端末がなければ話になりません。MITでのアテナプロジェクトでは端末は約2000台、CMU(カーネギーメロン大学)では6700台の端末がネットにつながっています。端末の価格がここの1年で劇的に安くなる見通しは無い。そうとなれば、使える手は1つしかない。なんとかしましょう。」と勝算は5分5分だけれど、「開学までに打てる手はすべて打ちましょう。お約束は出来ませんが、各メーカーに私から協力依頼をしますので、S先生も、各メーカーとご相談ください。きっと活路は見出せると思います。諦めずに頑張りましょう。」

S助教授か提示される湘南藤沢のキャンパスの見取り図を拝見しながら、「ここに200台、そこに80台・・・・」と合計1300台。

S助教授と別れ、早速F通支社長、N電気の営業部長、Ca××××の技術担当、T芝の技術者等に連絡した。

翌年の4月、めでたく慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスは無事開学の運びとなった。キャンパスネットに繋がった端末総数は2000台での出発となった。開学後しばらくして、S助教授から丁寧なお礼状が届いた。

慶應義塾大学の創始者である福沢諭吉がよく述べていた「社中協力」とは、まさしく、上記のことを示していると思います。

なお、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスを略してSFCといいますが、なぜKFCとしなかったのでしょうか?

答えは簡単。KFCだとケンタッキー・フライト・チキンになってしまうからです。

多くの方々のご協力で、端末2000台が調達できました。改めて御礼申し上げます。多くのメーカーが「慶應の新しい大学のキャンパスネットに使っていただけるなら喜んで無償提供いたします。」と快く協力をしてくださったのでした。

このSFCの目玉として登場したのが日本初のAO入試です。これについては、後述いたします。

 

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