スタンフォード大学の名物教授Knuth(クヌース)氏が開発したTeX(テフ)は組版システムの標準となった。もともとKnuth教授がご自身の本を出版するとき、出来上がりがあまりに貧弱だったので、自分の本を希望通りの出来栄えにするために、組版システムを作ってしまったというエピソードをもつTeX。オープン・ソースであり、誰でも自由に使える優れた組版システムだ。特に数式処理に優れており、数学関係の書籍、論文は今やこのTeXによってほとんど作成されているといっても過言ではない。当初はUnix(ユニックス)上のシステムであったが、TeXも、現在ではwindows,Linux,FreeBSD上で使用可能なシステムとなり、機種に依存しない組版システムである。一口にTeXといっても、様々なシステムが普及しており、ランパート氏作成のLaTeX(ラテフ)が広く普及している。pLaTeX、あるいはupLaTeXが普及し言語に左右されない組版システムとしての地位を獲得したTeX。理系の人は早めに導入されることをお勧めする。
さて、スタンフォード大学といえば、サンフランシスコ郊外のシリコンバレーにある私立大学であり、全米一の高額な学費と優秀な学生で有名です。ゼロックス社、アップル社、サンマイクロシステムズ社といった企業に多くの卒業生を送り出しています。何年か前の卒業式で、アップル社のCEOだった故スティーブ・ジョブズ氏が祝辞を述べたのも記憶に新しい。(その模様はYOUTUBEで確認できます。)広い敷地に南陽性の植物が豊富で、落ち着いた大学です。一瞬図書館かと思わせるほど巨大な生協の書籍部。理工学書から人文系書籍まで取りそろえており、まずほしい本は必ずおいてありました。日本ではお目にかかれなかった、Tanenbaum氏の「Mt.XINU」はその場で即、購入した。マウウント・シニュー?何のことはない「Unix TM」を逆さにしただけの書籍で、UNIXのカーネルを含めたOSのソースファイルが記述されたものだった。これさえあれば、自前でコンピュータが作成できると考えたのは、私だけではなかった。後年、Sonyが発売した、ワークスステーションのNews(ニューズ)を開発したT氏はじめ開発スタッフもこのTanenbaum氏の書籍の熱心な愛読者だったという。OSのソースファイルが見れる!なんと魅力的な本だったのだろう。ビジネスには不向きと言われたUNIXをカーネルレベルでsync-timeを調整し、信頼性を上げることができたのも、このTanenbaum氏の本のおかげだった。
仕事柄、頻繁に数式を扱うことが多い。たしかにマイクロソフトのワードとか、数研出版のStudy.aidでも、以前よりはるかに容易に数式を入力可能可能となったのも事実ではあります。しかし、TeXと比べた、その表現力は雲泥の差があります。
無限の表現力を備えたTeX。興味をもたれた方は、以下の書籍を参考に、TeXの魅力を存分にお楽しみください。
改定第6版 「LaTeX2ε 美文書作成入門」 奥村晴彦/黒木祐介 著 技術評論社 定価(本体3200円+税)
DVD-ROM for Windows, Mac, Linux, etc
この本は初版が1991年であり以後3年に1回改定されてきました。著者のお一人の奥村さんは、現在三重大学教育学部の先生です。
インストールは約1時間です。3000弱のファイルからなる壮大なシステムは圧巻です。入力からプレビューまでが一貫していて、初心者も楽にTeXの恩恵に良くすることが出来ます。(正確には、プレビューではなく、最終的なPDFファイルが出来上がります。)