今年の東大入試理系数学の特徴。
1.行列が2題出題された。
コメント①:新課程で行列が外れたことに対する、一つの見識の表れ?
見識とは、「行列は、大学初年次の線形代数で扱う重要なものなので、高校のカリキュラムからはずすものではない。」といったものを言う。
コメント②:「せっかく作り置きした、行列の問題が、カリキュラム変更で、出題できなくなる。ならば、今のうちに、出題してしまえ。」といった意識を出題者が持っていた。
いづれにしても、東京出版の月刊誌「大学への数学」での今年のコメントが、いまから楽しみです。
2.難易度が以前に戻った。
コメント①:一昨年、突如 C 問題のオンパレードになり、大半の理系受験者は120点満点の半分60点を取ることも容易ではなかった。
(この年、T海生きっての俊才と誉れの高いX君、得点源の数学でまさかのNG!!幸い翌年、理Ⅲに合格。よかった、よかった。)
昨年は、やや手の出易い問題が復活し、そして今年を迎えた。
コメント②:今年の問題は、第一に手が出やすい問題が多い。相変わらず、計算量が相当だが、計算量軽減を配慮すること。
今年の問題で、「論理性」を問う問題は、4番位だ。
3.ある受験生、K君に、今年の東大理系問題6題を解いてもらいました。
以下、その実況中継です。
問題冊子を前に、解答を始めました。
K君は悠然と、全問に一通り目を通しました。解法の選択とそれに要する時間をシュミレートしています。
手元の用紙には「①→③→⑤→⑥→②→④」と書いています。
5分経過、まず①番から解答です。作図、計算 7分で解答終了。
累計12分 続いて③番。きっちり作図、早い早い早い計算。 これも7分で解答終了。
累計19分 続いて⑤番。(1),(2)あわせて4分。(3)4分 合計8分で解答終了。
累計27分 続いて⑥番。行列の成分計算が続くも、10分で解答終了。
累計37分 続いて2番。しばらく実験をする。1分30秒。確率漸化式を立てる。後は数列の問題。8分で解答終了。
累計46分30秒 最後の④番に向かう、(1)4分(2)5分で解答終了。
累計55分30秒
ざーと解答全体を見直し、書き損じをなくし、要所の計算チェックを済ませる。ここで10分経過。
累計65分30秒。これはすごい!?
ご安心ください。以上は、実在の人物をモデルにしたシュミレーションです。
K君は現在東大の理Ⅰの2年生です。彼が現役時代に、今年の問題を解いたとしたら、おそらく上記の時間以内に全問正解を出しているでしょう。
一昨年の実際の入試では、満点の120点を取ったかに見えましたが、細部で若干の減点があり、115点でした。
駿台の東大模試を高校2年時に受験し、120点を取り、並み居る先輩方を尻目に、堂々の全国1位を獲得したのがK君です。
K君はじめ数学好きな生徒が始めた、数学研究部(中学)、数学研究会(高校)。中1から高3までしっかり活動してくれました。
年末には部員相互が手製の食事、お菓子、デザートを持ち寄り、年に一度のCPを実施していました。
CPって、何ですかぅて?
クリスマス・パーティーのことです。
部長のK君が持参した、手製のクリスマスケーキとクッキーがとてもおいしかった記憶です。
以上、若干の思い出と共に、今年の東大入試理系数学の講評を終えます。
最後まで、お読みいただき有難うございました。
東海高校数学研究会 (元)顧問、担当 マリオ先生でした。