【はじめに】
菅政権はコロナ対策に四苦八苦していますが、コロナ問題より”ずっと!”重大な米中貿易戦争が、既に始まっています。 米中貿易戦争は第三次世界大戦だと考えるべきです。
文大統領は自分の信念に従って、米中貿易戦争に対応しようと頭を悩ませている様に見えます。 然し、お粗末な日本のコロナ対策から考えると、『下手な考え休むに似たり』、アメリカに協力して戦った方が良いと私は思います。
【ジェノサイド】
最近、欧米諸国はウイグルやチベットでの弾圧を『ジェノサイド(集団殺害)』だと主張しています。 ヨーロッパの一部の国では、ウイグル産の綿花を使用している製品の不買運動をしている様です。
私の知る限りでは、他国がその国民を弾圧している事を罰する為に戦争を仕掛けた例を知りません。 過去の戦争は全て領土紛争と経済紛争が原因で、人権弾圧が理由だった事は無いと思います。 ある国がその国民を弾圧しても、国連が「重要な問題である!」と制裁する事は無いでしょう!
文大統領は、中国と北朝鮮の人権問題には出来るだけ言及しない様に、心掛けています。 日本は、「ウイグルやチベットで弾圧しているので有れば、遺憾である!」程度の表明はすべきだと考えますが、「ジェノサイドだ!」と騒ぐと、欧米諸国から梯子を外されて、中国から酷い仕返しを受ける事になると予想します。
(余談 :ジェノサイド条約) 1948年に国連で『集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)』が制定されました。 国連に加盟している大半の国は批准していますが、日本は批准していません。 (中国も北朝鮮も批准しています。)
ジェノサイド条約は、「ジェノサイドの定義と、批准国に法律を制定して、ジェノサイドの実行者や指示者を罰しなさい」と言う条約です。 仮にウイグルやチベットでの弾圧を国連が「ジェノサイドだ!」と認定したとしても、中国が「いや違う!」と主張すれば、誰も罰せられません。
(余談 :チャーチル) アカデミー賞を受賞した『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』をご覧になりましたか? ヒットラーの『ホロコースト』を阻止するために、チャーチルが戦った分けでは有りません。 ヒットラーの覇権主義が我慢出来無かったのです。
【大国の興亡】
イギリス人のポール・ケネディ(1945年~)が1987年に、ベストセラー『大国の興亡』を出版しました。 副題が「1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争」となっていますが、ソビエトの崩壊(1991年)や中国の台頭については触れていません。
世界一の強国は、16世紀はスペインとポルトガル→17世紀はオランダ→19世紀はイギリスでした。 20世紀にヒットラーが、世界一に挑戦しましたが失敗して、アメリカが世界一になりました。 21世紀になって、習近平が世界一に挑戦し始めました。
ヒットラーは武力による世界一を目論見ましたが、習近平は経済力(金)と武力と言う、二つの武器を巧妙に使用しています。 ポーランドに侵攻したのは1939年の9月で、45年4月にヒットラーは自殺しました。(6年弱で勝敗が決まりました。) 米中貿易戦争は2018年から始まったと私は見ています。
地下資源と食糧がほぼ自給できる二つの大国が、武器を使用しない経済戦争をしている分けですから、決着はなかなか付かないと予想されます。
【アメリカと中国の比較】
グローバルノート(G.N)社の2020年のデータで日米中の経済力を比較してみました。
アメリカの貿易収支は0.98兆米$(≒106兆円)の赤字で、中国は0.53兆米$(≒57兆円)の黒字です。 日本は、ほぼトントンの優等生です。
● アメリカの貿易赤字は中国だけのせいでは有りません。 米ドルが世界の主軸通貨で有るのを”よいこと”に、収入以上に贅沢をしている事が赤字の原因です。 バイデン大統領は、西側諸国の企業に「アメリカでもっと沢山物作りをしろ」と要求すると予想します。
● イギリスの投資ファンドが東芝を2兆円で買収しようとしました。 2020年の中国の貿易収支は57兆円もの黒字でしたから、東芝クラスの企業を28社買収できる事になります。この状態が10年間続いたら、280社もが中国の傘下に入ってしまいます。
● A社がC社に毎年100万円の品物を売って、C社から150万円の品物を買っていたとします。 両社の仲が悪くなって、C社からは100万円分にして、B社から(少し高いですが)52万円分買う事にしました。 A社とC社は損をして、B社が儲かる事になります。
① GDP :アメリカ=20.9兆米$、中国=14.7兆米$、日本=5.0兆米$ ・・・2020年G.N
② 貿易依存度 :アメリカ=19.4%、中国=30.7%、日本=27.3% ・・・2020年G.N
③ 輸出額 :アメリカ=1.43兆米$、中国=2.59兆米$、日本=0.64兆米$ ・・・2020年G.N
④ 輸入額 :アメリカ=2.41兆米$、中国=2.06兆米$、日本=0.63兆米$ ・・・2020年G.N
⑤ 金を含む外貨準備高 :アメリカ=0.63兆米$、中国=3.36兆米$、日本=1.39兆米$ ・・・2020年G.N (アメリカは75%を金で保有しています。)
⑥ 人口 :アメリカ=3.3億人、中国=14.3億人、日本=1.3億人 ・・・2019年G.N
★ 貿易依存度=輸出入額/国内総生産(GDP)
★ 輸出入額には貿易外の収入と支出が入っている様です。
【米中貿易戦争とは】
トランプ氏は、「ハーウェイのスマホや通信装置を使用すると、情報が中国に盗まれる!」と叫んで、米中貿易戦争を始めました。 そして、南沙諸島や台湾問題、ウイグルやチベットでの人権問題、米中の貿易不均衡の問題・・・を理由に挙げる様になって来ました。
「ヒットラーと講和すべきだ!」との主張が多くなって来た時、チャーチルが「バッキンガム宮殿に鍵十字の旗が掲げられても良いのか?!」と演説した様です。 「貴方の国が、中国や北朝鮮の様に一党独裁国家(専制国家)になって、貴方の自由が奪われても良いのか?!」と、アメリカは最後に主張する様になると私は予想します。
第二次世界大戦後、地下資源の豊富な国を植民地にする事は出来なくなっています。 一方、大国になる条件は、地下資源と食糧が自国でほぼ確保出来る事です。 この条件を満たす国は、アメリカ、中国そしてロシアの3ヵ国だけだと思います。 ロシアはプーチン氏の政策ミスで、経済発展が難しくなり、覇権競争から脱落しつつ有ります。
結局、アメリカと中国が世界の覇権を争う時代に突入しました。 近年、兵器の進歩は目覚ましいですが、皮肉な事に「米中貿易戦争では兵器は殆ど使用される事が無い」と私は見ています。
【米中貿易戦争の武器は?】
「米中貿易戦争は覇権を争う人類最後の戦争になるのでは?」と思いますが、「武力で直接・敵国民を殺さない、新しいタイプの戦争になる」と私は予想します。 今までは考えられ無かった物/体制/制度が武器として活用される戦争です。
① 政治体制 :為政者(大統領や首相)が必要と判断した法律が、短時間に制定出来るか? 野党との調整の為に中途半端な政策にならないか? 中国は共産党一党独裁国家でから、国民の意向を問う必要は有りません。
② 外交政策 :アメリカ一国だけでは米中貿易戦争を戦うことは不可能です。協力国を増やすには、それぞれの国が抱えている問題を考慮した外交が必要です。例えば、イタリアとギリシャは将来の脅威よりも、今・中国の金が欲しい!
③ 対外収支 :西側諸国は協力して、中国の対外収支をトントンか赤字にする事が不可欠です。
④ サイバー攻撃 :米中は種々のサイバー攻撃をすると予想します。(日本は、情けない事に役所のデジタル化が始まった所です。)
⑤ スパイ活動 (産業スパイを含む) :中国は外国に住む中国人に、国家に情報を提供する義務を負わせる法律を制定しています。 西側諸国の企業、研究所、大学にいる中国人はスパイと見なすべきか? 中国の要求を拒否すると、彼らは帰国出来なくなる様です。
⑥ 特許、研究/開発 :中国は益々研究/開発に力を入れると予想します。 (日本政府は研究/開発予算を増やす必要があります。)
⑦ 製造技術と設備 :西側諸国は今後・中国への投資を絞って、製造設備を中国以外に移す必要が有ります。
【アメリカが勝つためには】
2週間前に、『より長い電報』について書きましたが、「習近平が中国共産党から排除されたら、中国の脅威は無くなる」と言う考え方には賛同出来ません。そんな簡単な問題では無いと思います。
① 貿易で得た莫大な金をフルニに活用して、「中国中心の新しい国際秩序を構築しよう」としている事が中国の脅威です。 中国の海外収支をトントンにするか、赤字にしない限り中国の脅威は無くなりません。 アメリカ一国が中国との貿易不均衡を改善しても、他の西側諸国から中国が金を得たら問題は解決しません。
② アメリカの大統領制、議会制、選挙制度は、日本が江戸時代だった頃から殆ど変わっていません。 銃社会で、10万人当たりの殺人件数は、日本が0.26人に対しアメリカは4.96人も有ります。 人種差別が未だに横行して、健康保険制度はお粗末です。 『アメリカン・ドリーム』は良い事だけでは有りません。超貧しい→貧しい→・・・→金持ち→超金持ちが混在する社会になるのです。 日本は資本主義を大幅に修正して社会福祉を充実させてきました。 アメリカは時代に合う様に社会改革をして、少し社会主義化を進めないと国論を統一する事は難しいと思われます。
武器を使用する戦争なら中国に勝てるでしょうが、米中貿易戦争は武器が役に立たない全く新しいタイプの戦争です。 多くの国民の協力/努力が必要な戦争ですから、国論がバラバラでは勝てません。
【中国の方が有利です!】
中国は共産党一党独裁国家です。独裁国家と民主主義国家が経済戦争したら、どちらが有利だと思われますか? ソビエトが崩壊したので、「民主主義国家が勝つ」と予想される方が多いいのでは? 私は逆だと思います。
中国共産党は、「労働者の為の政党で有る」と主張していますが、実情は党員の為の政党です。 共産主義を固守している分けでは有りません。自分達が都合の良い様に、どうにでも(柔軟に)政策を変えられます。 個人や民間企業の財産を何時でも没収して、国家(=共産党)の為に使用出来ます。
大学で優秀な成績だと、共産党に入る様に勧誘され、入党すると魅力的な(高給の)職に付ける様です。 (日本の共産党の様に誰でも入れる分けでは有りません。エリート集団なのです。) 中国共産党には頭脳明晰な人間が多いい事を忘れてはいけません。
中国共産党が、「Aと言う分野(または企業)を重点的に育てよう!」と決定したら、(短時間の間に)金と優秀な人材を集中的に投入出来ます。 従って、A分野(A企業)は急激に発展する事になります。 逆に、アメリカは、国家が企業に介入する事をタブー視して来ました。
私が社会人になった1970年頃の日本は、旧・通商産業省(通産省)の課長クラスの官僚が、大手企業の部長や重役を集めて国の方針を伝えていました。 そして、企業の研究/開発を促すための『呼び水予算』を準備したのです。 現在は、もう・そんな習慣は無くなているのでは?と思われますが、中国と向き合って生きる為には、(国と企業がもっと連携して)少ない金と人材を有効に活用して行く事が不可欠です。
中国は、共産党の下に三権(立法権、行政権、司法権)が有り、軍隊も共産党の為に存在しています。 新聞やテレビも共産党の下に有ります。 日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の議員は間接選挙で選ばれ、会期が存在します。 全国人民代表大会常務委員会は常設で、(日本とは大幅に違って)立法権を持っています。 党内に強い反対が無ければ、習近平は何時でも法律を制定して実行出来るのです。 日本を含む欧米諸国は、「今後・長期に亘って・そんな国と経済戦争をするのだ!」と覚悟しなければなりません。
【中国が勝つためには!】
1930年代の後半に、アメリカを中心に、日本に対して『ABCD包囲網』を構築したと言われています。 米中貿易戦争は近い将来、アメリカを中心とした『対中国貿易包囲網』に変質する可能性が高い様に思われます。
地下資源に乏しい日本は、『ABCD包囲網』によって『狂犬病』に罹った様になってしまい、戦争に突入してしまいました。 中国は、地下資源も食糧もほぼ自給自足出来る状況で、国内消費も一般に考えられているより多いですから、包囲網が完成しても『狂犬病』になる恐れは無いと予想します。
中国が、対外収支の黒字を維持する事を最大の課題にして、得られた外貨で日本を含めた欧米諸国の有望企業を買収し続けたら、米中貿易戦争の勝者になると予想します。
無駄な事は止めて商売に徹したら、中国が勝者になれるのです。 台湾を武力で併合しても、発生する軍費や戦争で失われる若者の命に見合う利得が得られるとは思われません。 日本の様に、「北方4島、竹島、尖閣諸島は、我が国の領土だ!」と主張し続けるだけで十分です。
悪徳高利貸の様に、貧しい国に金を貸して、軍事基地を設けたり、港湾設備を手に入れても、商売として成り立つでしょうか? 一路一帯構想は経済的に意味が有るでしょうか? 現状でも、貨物の輸送に問題は発生していません。
1982年に鄧小平が打ち出した『第一列島線』構想は、尖閣諸島を除いてほぼ達成した様に見えます。 『第二列島線』には、日本や台湾が含まれますから、すんなりと、西欧諸国が認めるとは思われません。 『第二列島線』構想は、商売をする上ではメリットは殆ど有りません。 この主張は引っ込めるべきです。
中国が、軍事力を背景にした覇権主義を放棄して、現在の国際ルールに準じて『商売に徹した』ら、貿易戦争に勝利して、本当の脅威になると予想します。 そうなったら、西欧諸国は国際ルールを変える必要が有りそうです。
【大胆な私の予想】
米中貿易戦争は、どんな状態で終戦になるのか?予想して見て下さい。 私には分かりません。 兵器を使った戦争は、兵隊と国民を沢山殺して、生産設備、住居、インフラを破壊して、どちらかがギブアップしたら終結しました。
米中は地下資源も食料もほぼ自給出来る国です。 中国は北朝鮮と同じ様な専制国家ですから、西側諸国に包囲されても北朝鮮の様に耐え抜くと予想します。
世界はアメリカ・グループ、中国グループに分かれて共存していく様になると予想します。 二つのグループは少しずつ交流を深めて、100年程したら仲良くなれるでしょう!
私の予想に反して中国が勝利したら、台湾、朝鮮半島、モンゴールは併合されて、西欧諸国の大企業は中国の傘下になって、その従業員は働きバチになってしまいそうです。
菅政権はコロナ対策に四苦八苦していますが、コロナ問題より”ずっと!”重大な米中貿易戦争が、既に始まっています。 米中貿易戦争は第三次世界大戦だと考えるべきです。
文大統領は自分の信念に従って、米中貿易戦争に対応しようと頭を悩ませている様に見えます。 然し、お粗末な日本のコロナ対策から考えると、『下手な考え休むに似たり』、アメリカに協力して戦った方が良いと私は思います。
【ジェノサイド】
最近、欧米諸国はウイグルやチベットでの弾圧を『ジェノサイド(集団殺害)』だと主張しています。 ヨーロッパの一部の国では、ウイグル産の綿花を使用している製品の不買運動をしている様です。
私の知る限りでは、他国がその国民を弾圧している事を罰する為に戦争を仕掛けた例を知りません。 過去の戦争は全て領土紛争と経済紛争が原因で、人権弾圧が理由だった事は無いと思います。 ある国がその国民を弾圧しても、国連が「重要な問題である!」と制裁する事は無いでしょう!
文大統領は、中国と北朝鮮の人権問題には出来るだけ言及しない様に、心掛けています。 日本は、「ウイグルやチベットで弾圧しているので有れば、遺憾である!」程度の表明はすべきだと考えますが、「ジェノサイドだ!」と騒ぐと、欧米諸国から梯子を外されて、中国から酷い仕返しを受ける事になると予想します。
(余談 :ジェノサイド条約) 1948年に国連で『集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)』が制定されました。 国連に加盟している大半の国は批准していますが、日本は批准していません。 (中国も北朝鮮も批准しています。)
ジェノサイド条約は、「ジェノサイドの定義と、批准国に法律を制定して、ジェノサイドの実行者や指示者を罰しなさい」と言う条約です。 仮にウイグルやチベットでの弾圧を国連が「ジェノサイドだ!」と認定したとしても、中国が「いや違う!」と主張すれば、誰も罰せられません。
(余談 :チャーチル) アカデミー賞を受賞した『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』をご覧になりましたか? ヒットラーの『ホロコースト』を阻止するために、チャーチルが戦った分けでは有りません。 ヒットラーの覇権主義が我慢出来無かったのです。
【大国の興亡】
イギリス人のポール・ケネディ(1945年~)が1987年に、ベストセラー『大国の興亡』を出版しました。 副題が「1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争」となっていますが、ソビエトの崩壊(1991年)や中国の台頭については触れていません。
世界一の強国は、16世紀はスペインとポルトガル→17世紀はオランダ→19世紀はイギリスでした。 20世紀にヒットラーが、世界一に挑戦しましたが失敗して、アメリカが世界一になりました。 21世紀になって、習近平が世界一に挑戦し始めました。
ヒットラーは武力による世界一を目論見ましたが、習近平は経済力(金)と武力と言う、二つの武器を巧妙に使用しています。 ポーランドに侵攻したのは1939年の9月で、45年4月にヒットラーは自殺しました。(6年弱で勝敗が決まりました。) 米中貿易戦争は2018年から始まったと私は見ています。
地下資源と食糧がほぼ自給できる二つの大国が、武器を使用しない経済戦争をしている分けですから、決着はなかなか付かないと予想されます。
【アメリカと中国の比較】
グローバルノート(G.N)社の2020年のデータで日米中の経済力を比較してみました。
アメリカの貿易収支は0.98兆米$(≒106兆円)の赤字で、中国は0.53兆米$(≒57兆円)の黒字です。 日本は、ほぼトントンの優等生です。
● アメリカの貿易赤字は中国だけのせいでは有りません。 米ドルが世界の主軸通貨で有るのを”よいこと”に、収入以上に贅沢をしている事が赤字の原因です。 バイデン大統領は、西側諸国の企業に「アメリカでもっと沢山物作りをしろ」と要求すると予想します。
● イギリスの投資ファンドが東芝を2兆円で買収しようとしました。 2020年の中国の貿易収支は57兆円もの黒字でしたから、東芝クラスの企業を28社買収できる事になります。この状態が10年間続いたら、280社もが中国の傘下に入ってしまいます。
● A社がC社に毎年100万円の品物を売って、C社から150万円の品物を買っていたとします。 両社の仲が悪くなって、C社からは100万円分にして、B社から(少し高いですが)52万円分買う事にしました。 A社とC社は損をして、B社が儲かる事になります。
① GDP :アメリカ=20.9兆米$、中国=14.7兆米$、日本=5.0兆米$ ・・・2020年G.N
② 貿易依存度 :アメリカ=19.4%、中国=30.7%、日本=27.3% ・・・2020年G.N
③ 輸出額 :アメリカ=1.43兆米$、中国=2.59兆米$、日本=0.64兆米$ ・・・2020年G.N
④ 輸入額 :アメリカ=2.41兆米$、中国=2.06兆米$、日本=0.63兆米$ ・・・2020年G.N
⑤ 金を含む外貨準備高 :アメリカ=0.63兆米$、中国=3.36兆米$、日本=1.39兆米$ ・・・2020年G.N (アメリカは75%を金で保有しています。)
⑥ 人口 :アメリカ=3.3億人、中国=14.3億人、日本=1.3億人 ・・・2019年G.N
★ 貿易依存度=輸出入額/国内総生産(GDP)
★ 輸出入額には貿易外の収入と支出が入っている様です。
【米中貿易戦争とは】
トランプ氏は、「ハーウェイのスマホや通信装置を使用すると、情報が中国に盗まれる!」と叫んで、米中貿易戦争を始めました。 そして、南沙諸島や台湾問題、ウイグルやチベットでの人権問題、米中の貿易不均衡の問題・・・を理由に挙げる様になって来ました。
「ヒットラーと講和すべきだ!」との主張が多くなって来た時、チャーチルが「バッキンガム宮殿に鍵十字の旗が掲げられても良いのか?!」と演説した様です。 「貴方の国が、中国や北朝鮮の様に一党独裁国家(専制国家)になって、貴方の自由が奪われても良いのか?!」と、アメリカは最後に主張する様になると私は予想します。
第二次世界大戦後、地下資源の豊富な国を植民地にする事は出来なくなっています。 一方、大国になる条件は、地下資源と食糧が自国でほぼ確保出来る事です。 この条件を満たす国は、アメリカ、中国そしてロシアの3ヵ国だけだと思います。 ロシアはプーチン氏の政策ミスで、経済発展が難しくなり、覇権競争から脱落しつつ有ります。
結局、アメリカと中国が世界の覇権を争う時代に突入しました。 近年、兵器の進歩は目覚ましいですが、皮肉な事に「米中貿易戦争では兵器は殆ど使用される事が無い」と私は見ています。
【米中貿易戦争の武器は?】
「米中貿易戦争は覇権を争う人類最後の戦争になるのでは?」と思いますが、「武力で直接・敵国民を殺さない、新しいタイプの戦争になる」と私は予想します。 今までは考えられ無かった物/体制/制度が武器として活用される戦争です。
① 政治体制 :為政者(大統領や首相)が必要と判断した法律が、短時間に制定出来るか? 野党との調整の為に中途半端な政策にならないか? 中国は共産党一党独裁国家でから、国民の意向を問う必要は有りません。
② 外交政策 :アメリカ一国だけでは米中貿易戦争を戦うことは不可能です。協力国を増やすには、それぞれの国が抱えている問題を考慮した外交が必要です。例えば、イタリアとギリシャは将来の脅威よりも、今・中国の金が欲しい!
③ 対外収支 :西側諸国は協力して、中国の対外収支をトントンか赤字にする事が不可欠です。
④ サイバー攻撃 :米中は種々のサイバー攻撃をすると予想します。(日本は、情けない事に役所のデジタル化が始まった所です。)
⑤ スパイ活動 (産業スパイを含む) :中国は外国に住む中国人に、国家に情報を提供する義務を負わせる法律を制定しています。 西側諸国の企業、研究所、大学にいる中国人はスパイと見なすべきか? 中国の要求を拒否すると、彼らは帰国出来なくなる様です。
⑥ 特許、研究/開発 :中国は益々研究/開発に力を入れると予想します。 (日本政府は研究/開発予算を増やす必要があります。)
⑦ 製造技術と設備 :西側諸国は今後・中国への投資を絞って、製造設備を中国以外に移す必要が有ります。
【アメリカが勝つためには】
2週間前に、『より長い電報』について書きましたが、「習近平が中国共産党から排除されたら、中国の脅威は無くなる」と言う考え方には賛同出来ません。そんな簡単な問題では無いと思います。
① 貿易で得た莫大な金をフルニに活用して、「中国中心の新しい国際秩序を構築しよう」としている事が中国の脅威です。 中国の海外収支をトントンにするか、赤字にしない限り中国の脅威は無くなりません。 アメリカ一国が中国との貿易不均衡を改善しても、他の西側諸国から中国が金を得たら問題は解決しません。
② アメリカの大統領制、議会制、選挙制度は、日本が江戸時代だった頃から殆ど変わっていません。 銃社会で、10万人当たりの殺人件数は、日本が0.26人に対しアメリカは4.96人も有ります。 人種差別が未だに横行して、健康保険制度はお粗末です。 『アメリカン・ドリーム』は良い事だけでは有りません。超貧しい→貧しい→・・・→金持ち→超金持ちが混在する社会になるのです。 日本は資本主義を大幅に修正して社会福祉を充実させてきました。 アメリカは時代に合う様に社会改革をして、少し社会主義化を進めないと国論を統一する事は難しいと思われます。
武器を使用する戦争なら中国に勝てるでしょうが、米中貿易戦争は武器が役に立たない全く新しいタイプの戦争です。 多くの国民の協力/努力が必要な戦争ですから、国論がバラバラでは勝てません。
【中国の方が有利です!】
中国は共産党一党独裁国家です。独裁国家と民主主義国家が経済戦争したら、どちらが有利だと思われますか? ソビエトが崩壊したので、「民主主義国家が勝つ」と予想される方が多いいのでは? 私は逆だと思います。
中国共産党は、「労働者の為の政党で有る」と主張していますが、実情は党員の為の政党です。 共産主義を固守している分けでは有りません。自分達が都合の良い様に、どうにでも(柔軟に)政策を変えられます。 個人や民間企業の財産を何時でも没収して、国家(=共産党)の為に使用出来ます。
大学で優秀な成績だと、共産党に入る様に勧誘され、入党すると魅力的な(高給の)職に付ける様です。 (日本の共産党の様に誰でも入れる分けでは有りません。エリート集団なのです。) 中国共産党には頭脳明晰な人間が多いい事を忘れてはいけません。
中国共産党が、「Aと言う分野(または企業)を重点的に育てよう!」と決定したら、(短時間の間に)金と優秀な人材を集中的に投入出来ます。 従って、A分野(A企業)は急激に発展する事になります。 逆に、アメリカは、国家が企業に介入する事をタブー視して来ました。
私が社会人になった1970年頃の日本は、旧・通商産業省(通産省)の課長クラスの官僚が、大手企業の部長や重役を集めて国の方針を伝えていました。 そして、企業の研究/開発を促すための『呼び水予算』を準備したのです。 現在は、もう・そんな習慣は無くなているのでは?と思われますが、中国と向き合って生きる為には、(国と企業がもっと連携して)少ない金と人材を有効に活用して行く事が不可欠です。
中国は、共産党の下に三権(立法権、行政権、司法権)が有り、軍隊も共産党の為に存在しています。 新聞やテレビも共産党の下に有ります。 日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の議員は間接選挙で選ばれ、会期が存在します。 全国人民代表大会常務委員会は常設で、(日本とは大幅に違って)立法権を持っています。 党内に強い反対が無ければ、習近平は何時でも法律を制定して実行出来るのです。 日本を含む欧米諸国は、「今後・長期に亘って・そんな国と経済戦争をするのだ!」と覚悟しなければなりません。
【中国が勝つためには!】
1930年代の後半に、アメリカを中心に、日本に対して『ABCD包囲網』を構築したと言われています。 米中貿易戦争は近い将来、アメリカを中心とした『対中国貿易包囲網』に変質する可能性が高い様に思われます。
地下資源に乏しい日本は、『ABCD包囲網』によって『狂犬病』に罹った様になってしまい、戦争に突入してしまいました。 中国は、地下資源も食糧もほぼ自給自足出来る状況で、国内消費も一般に考えられているより多いですから、包囲網が完成しても『狂犬病』になる恐れは無いと予想します。
中国が、対外収支の黒字を維持する事を最大の課題にして、得られた外貨で日本を含めた欧米諸国の有望企業を買収し続けたら、米中貿易戦争の勝者になると予想します。
無駄な事は止めて商売に徹したら、中国が勝者になれるのです。 台湾を武力で併合しても、発生する軍費や戦争で失われる若者の命に見合う利得が得られるとは思われません。 日本の様に、「北方4島、竹島、尖閣諸島は、我が国の領土だ!」と主張し続けるだけで十分です。
悪徳高利貸の様に、貧しい国に金を貸して、軍事基地を設けたり、港湾設備を手に入れても、商売として成り立つでしょうか? 一路一帯構想は経済的に意味が有るでしょうか? 現状でも、貨物の輸送に問題は発生していません。
1982年に鄧小平が打ち出した『第一列島線』構想は、尖閣諸島を除いてほぼ達成した様に見えます。 『第二列島線』には、日本や台湾が含まれますから、すんなりと、西欧諸国が認めるとは思われません。 『第二列島線』構想は、商売をする上ではメリットは殆ど有りません。 この主張は引っ込めるべきです。
中国が、軍事力を背景にした覇権主義を放棄して、現在の国際ルールに準じて『商売に徹した』ら、貿易戦争に勝利して、本当の脅威になると予想します。 そうなったら、西欧諸国は国際ルールを変える必要が有りそうです。
【大胆な私の予想】
米中貿易戦争は、どんな状態で終戦になるのか?予想して見て下さい。 私には分かりません。 兵器を使った戦争は、兵隊と国民を沢山殺して、生産設備、住居、インフラを破壊して、どちらかがギブアップしたら終結しました。
米中は地下資源も食料もほぼ自給出来る国です。 中国は北朝鮮と同じ様な専制国家ですから、西側諸国に包囲されても北朝鮮の様に耐え抜くと予想します。
世界はアメリカ・グループ、中国グループに分かれて共存していく様になると予想します。 二つのグループは少しずつ交流を深めて、100年程したら仲良くなれるでしょう!
私の予想に反して中国が勝利したら、台湾、朝鮮半島、モンゴールは併合されて、西欧諸国の大企業は中国の傘下になって、その従業員は働きバチになってしまいそうです。