これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

認知症と介護施設

2022-07-02 09:36:16 | 在宅医療
【はじめに】
 知人の奥さんの認知症が進んできたので、種々の介護施設を調べました。日本は高齢化が進み、認知症患者が増えて来ていますので、「老後の心配をされている方が沢山おられるのでは?」と考え、調査結果を纏めて見ました。

 要介護認定を受けてケアーマネージャーが決まったら、時々会って将来の事や現在の悩みを相談される事を推奨します。 介護の仕事に携わるには、真面目で誠意が無いと務まらないようです。私が今までに会った方は、皆さん立派な方でした。

 ケアーマネージャーは、居宅介護支援事業所が紹介しています。
 どの施設でも酒はOKでした。喫煙が出来る施設も有りました。

【調査条件】
 裕福な知人から認知症の有料介護施設の調査を依頼されてたので→→インターネットで調べ/勉強して→→施設を見学させてもらい→→数人の介護士から生の声を聴いて→→色々なアドバイスを頂きました。

 後期高齢者の認知症になった奥さんを入居させる施設の調査の依頼でした。旦那さんは今でも働いています。子供が独立して遠方に住んでいるので、奥さんと二人住まいです。奥さんは週に1日・デイサービスを受けています。

 比較的費用の安いグループホームから超豪華な介護付き有料老人ホームまで調査/検討しました。 最高級の施設は豪華ホテルの様で、廊下が広く、ロビーはゆったりしていて、入居者の着ている服が違いました。車椅子を利用されている方も多かったです。 要介護度が高くなったら、本人にとっては、介護さえしてくれたら、設備の良し悪しは関係無い様に思いました。

【認知症患者は人間です!】
 奥さんが、1年程前に一人で電車に乗って実家に帰ろうとして、200kmほども遠くの駅で保護してもらいました。それから、時々実家に帰ると言います。現在は、旦那さんがGPS発信機を五、六個買ってハンドバッグや買い物袋等に入れています。近くのスーパーに一人で出掛けて、帰路が分からなくなくなり、警察に保護される様な事が起こっています。

 旦那さんから、2ヶ月ほど前に、玄関ドアに鍵を追加して奥さんが出れなくして欲しいと依頼されました。 適当な鍵を見つけたのですが、鍵を付けたら家全体を座敷牢にするに等しいと思いました。 認知症患者も人間ですから、「座敷牢で軟禁する片棒を担ぐべきではない」と考えて、介護施設を調査し、旦那さんを説得して来ました。

 1ヶ月ほど前に、「介護付き有料老人ホームを調査して欲しい」と言い出したので、本格的な調査をして→→資料を集め→→施設を見学しました。やっと、入居施設が決まり、近日中に入る予定です。

【認知症患者を受け入れてくれる施設】
 認知症患者を受け入れてくれる施設は沢山有ります。 入居時に連れて来た人が帰る時、大抵の場合は「帰りたい!連れて帰って」と言うそうです。「心を鬼にして帰って下さい」と言っていました。 10日間の仮入居制度の有る施設が有りましたが、私は推奨しません。

 「入居後・毎週一回、身内の方が短時間顔を見せてあげて欲しい。重度の認知症で誰か分からなくなっていても、身内の顔を見ると心が和む」と言っていました。2ヶ月ほどしたら、面会に来なくても大丈夫の様です。

★ グループホーム :民営
★ 特養老人ホーム :公立や社会福祉法人
★ 介護付き有料老人ホーム :民営
★ サービス付き高齢者向け住宅 :民営

【グループホーム】
 認知症だけが問題の場合は、「グループホームが一番良い」と色々な所でアドバイスされました。 然し、住んでいる市町村に有るグループホームにしか入れません。 国の方針で、市町村の人口を加味してグループホームの数と定員を制限しています。 知人が住んでいる市の人口は約7万人で、グループホームは3施設で、定員は合計で54人しか有りませんでした。

 どの施設も満床で、それぞれ20人ほど空くのを待っている状況でした。空きが出来ても申し込み順に入居者を決めているのではなく、ケアーマネージャーと相談して、緊急度を加味して入居者を決める様でした。

 グループホームでは、(部屋は個室ですが)入居者9人を1グループにして、介護士が一人か二人ついて、一日中グループで行動します。 車椅子が必要な人や、動きに全く問題の無い人が助け合って生活します。「プライバシーが保てないのでは?」と心配される方がおられる様ですが、認知症が進んだ本人にとってはプライバシーは関係無い様です。 一方的に介護を受けて生活するのでは無く、人間らしく助け合って生きる事が出来るのです。

 どの施設でも、入居を希望したら→→空きが出来るのを待って→→面接:施設の担当者が入居予定者に会って様子を確認し→→健康診断書、感染症の有無、申込書→→入居の可否を決め→→入居日を決める。

 施設の担当者が面接するのは、❶入居予定者が暴力を振るう恐れがないか? ❷帰りたいと言って「壁を叩く」恐れがないか? ❸大声で廊下を歩き回る恐れがないか?・・・等をチェックするのが目的だそうです。 「時々ですが、お断りする場合が有る」と言っていました。

【私立の介護付き有料老人ホーム】
 比較的安い所から超高級の施設まで、4ヶ所・見学しました。私は元サラリーマンで年金が少ないので、一番安い所でも年金だけでは賄え無い金額でした。 昔、「老後の為に2,000万円貯める必要がある!」と話題になりましたが、今回見学した一番安い施設でも2,000万円では足りません。

 月額利用料には、①介護費用、②医療費、③水道光熱費、④洗濯費などが含まれていません。現在の後期高齢者の健康保険の負担率は『10%』ですが、調査依頼者は『30%』です。要介護2の毎月の介護費用は、21,967✕3=65,901円になります。 要介護5になると『86,904円』になります。

 部屋の広さは18m2~21m2でした。 見学はしなかったのですが、全国展開している超豪華な施設では、60m2も有りました。夫婦で入居されて豪華な余生を送る施設の様でした。

 どの施設の資料にも『職員体制:要介護者○○』が記載されています。法律の規定で要介護者3人に介護士を1人以上付けなければなりません。 職員体制の数値は、「要介護者数/介護士数」の事です。要介護者3人に介護士が1人の場合は『職員体制:要介護者3.0』となります。 一対一で介護する場合は『職員体制:要介護者1.0』になります。 今回の調査では1.5~3.0でした。

(余談 :タクシー代月100万円) 私は、老人ホームの見学にタクシーを利用したのですが、運転手さんは少し前まで京都市内でタクシー運転手をしていたそうです。京都では有名な高級老人ホームの前を通りかかると、老人が手を振っていたそうです。乗せると、200kmも離れた「○○市の✕✕町に言ってくれ」と言ったそうです。✕✕町に着くと、「その先が分からない」と言うので、交番に連れて行ったそうです。 巡査が鞄を開けると、「この人を見掛けたら次の番号に電話してください」という紙が入っていました。

 2時間ほどすると、息子さんが車で駆け付けて「月に何回もタクシーに乗って遠方に出掛ける。代金が月に100万円ほど掛かるが、父が気晴らしをして、長生きしてくれたら安いものです!」と言われたそうです。・・・金持ちは違いますね!

(余談 :入居金) 1985年頃、私が所属していた部に10歳程年上の方がおられ、「母親を介護付き有料老人ホームにいれるべきか?」悩んでいました。三人兄弟で、母親は広いお屋敷に一人で住んでいた様でした。殆どの老人ホームが満室で、入居時に1億円ほど支払ったら入れるところが1ヶ所だけ空いていたそうです。家屋敷を売却したら1億円以上になる様でしたが、結局3人が協力して母親の介護をしました。

 今回調査した中で一番入居金が高かったのは『3,880万円』でした。超豪華な施設でも入居金は『1,600万円』でした。昔の様にベラボウに高い入居金を要求する施設は無い様です。 その後、介護付き有料老人ホームは増えて、現在は空いている施設が結構沢山有りました。

【特養老人ホーム】
 地方公共団体などが運営する特別養護老人ホーム(特養老人ホーム/特養)の費用は安いですが、待機者(待っている人)が多くて簡単には入れません。

【サービス付き高齢者向け住宅】
 サービス付き高齢者向け住宅は『サ付き』や『サ高住』と呼ばれています。建物の内部がバリアフリーで、安否確認や生活相談のサービスをしてくれる、民営の賃貸マンションの様な施設です。 要介護度が高くなったら、特養等に移る必要が有ります。

【介護老人保健施設】
 介護老人保健施設は『老健』と呼ばれています。入院が必要でない要介護者が入って、リハビリして自宅に帰れる様にする施設です。 2024年3月末で老健は廃止されます。

【介護医療院】
 介護医療院は、老健の代わりとして、2018年に創設された施設です。 病院の場合は、(同じ病気では)一般に3ヶ月経つと退院させられますが、介護医療院は要介護者を長期入院させる病院です。死ぬまで入院する事も可能です。 個室は無くて、大部屋だけだと思います。

【軽費老人ホーム】
 地方自治体や社会福祉法人が運営する、自立あるいは要支援の高齢者が比較的少ない費用負担で利用できる施設です。

【ケアハウス】
 地方自治体や社会福祉法人が運営する、軽費老人ホームC型をケアハウスと呼んでいます。ケアハウスには一般型と介護型の2種類が有ります。

 一般型(自立型)は60歳以上のほぼ自分で生活出来る人が入れる施設です。 介護型(特定型)は65歳以上で要介護1以上の人を受け入れる施設です。(一人暮らしの方が入る施設だと思われます。)

【住宅型有料老人ホーム】
 自立出来る老人や要介護度が軽度の老人(一般には60歳以上)が暮らしやすい様に作られた賃貸マンションの様な施設です。レクレーション施設を設けたり、老人が快適に暮らせる様に工夫している様です。

 利用料(家賃)は10万円~20万円以上、色々です。クリニックが併設されていたり、介護スタッフが常駐している所も有ります。 要介護度が高くなると介護付き有料老人ホーム等に移る必要が有ります。

【市区町村の体制】
 私が管理している賃貸マンションに生涯独身だった後期高齢者の女性(T氏)が住んでいます。 T氏が「金が足りない」と言うので、ケアーマネージャーが区役所に働き掛けて、生活保護を受けられる様になりました。 昨年(2021年)の秋頃から歩くのが難しくなり、今年になって部屋の中でも歩けなくりました。(多分、要介護4の状態だと思われます。) 土日も関係なく毎日、介護スタッフが一人か二人来ています。

 T氏は、4月1日から6月15日までリハビリの為に入院していました。その間に、認知症になった事にして、区役所の保健福祉課の担当者が『後見人?』になって、通帳を預かった様です。 T氏は私に、「役人が通帳を盗んだ!泥棒だ!」と言っています。 区役所の担当者とケアーマネージャーが、退院後に施設に入れようと、T氏を説得しましたが、「マンションに帰る」と主張した様です。 結局、マンションに帰って来ました。 ケアーマネージャーはT氏の担当を降りて、現在は地域包括支援センターのケアーマネージャーが引き継いだ様です。

 この賃貸マンションの家賃は、生活保護者に許容されている最高額(4万円)の1.7倍です。後見担当が大家に「4万円に下げてくれませんか!」と電話しました。勿論、大家は拒否したそうです。2.8万円は生活保護費を上乗せして市が出しているのでしょうか? 固定電話は解約させた様です。

・・・ 要介護者の相談部署 ・・・ ❶と❷は公的な機関
❶ 保健福祉課 :『後見担当』がいます。
❷ 地域包括支援センター :2005年に設立、ケアーマネージャーがいる。
★ 居宅介護支援事業所 :ケアマネージャーが常駐・・・病院や一般社団法人等が運営している。

【結論 :庶民の未来】
 介護付き有料老人ホームには空きが有るので、金持ちは殆ど待たずに入れます。 生活保護受給者も我がままを言わなかったら、ケアーマネージャーが施設を探してくれ、入れる様です。

 庶民の場合、幸運な方は特養老人ホームに入れます。 国や地方公共団体には金がないので、特養老人ホームの様な施設を増やす事は出来ません。従って、庶民の老後は在宅介護になります。 2018年に始まった『介護医療院』は、庶民にとっては朗報です。

 地価の安い都市の周辺に介護医療院を沢山作るべきだと考えます。介護医療院にはHCU(高度治療室)やICU(集中治療室)は不要で、高価な医薬や医術も不要です。 その代わり、要介護2の認定を受けたら、誰でも入れる様にすべきです!

 庶民が箪笥貯金をするのは、老後のためです。要介護2の状態になったら、子供の厄介にならずに介護医療院に入れると確信出来たら老人は気が楽になります。 三途の川を渡るのには六文しか要りませんから、箪笥貯金を子供や孫の為に使うでしょう→→日本の景気が良くなります。

 人は色々ですが、私は『要支援2』になる前に終焉を迎えたいと考えています。 それまでは、体操と散歩して、食事に気を付けて→→『ポックリ死』が私の理想です。 (私の母は100歳頃に要支援2程度になりました。)

 45歳~50歳になると親が後期高齢者になり、将来が不安だと予想します。介護医療院が全国に沢山出来たら、親の将来で悩む必要が無くなります。日本は活気を取り戻せるかも?知れません。