これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

日本の活性化➍-1 :生産性、GDP、給与

2022-07-16 09:40:59 | 給与
【はじめに】
 今月行われた参議院選挙で野党の多くは、「国債を発行して経済対策をするべきだ!」と主張し、与党(自民党と公明党)はダンマリを決め込みました。 与党が大勝利したので、国民は岸田首相に「経済対策は二の次で良い」と言うメッセイジを伝えた様に思います。

 「日本は国債をマダマダ発行しても大丈夫だ!」と言う経済コメンテーターが沢山います。一方、財務省は国債の発行を抑えようと躍起になっています。 私は、「日本は現在、悪いインフレに突入しているので、国債を発行して経済を立て直すべき時だ!」と考えています。

 兎にも角にも、現役世代の給与がインフレ率以上にアップする様に、与野党の政治家、政府と日銀が一体になって工夫/努力する必要が有ります。

【良き時代の給与】
 1956年~73年は、若い人達には信じてもらえ無いような高度経済成長期でした。経済成長率は毎年10%以上も有ったのです。

 私は、今から50年程前(1971年)に大学を卒業しました。初任給は税込みで5万ほどでした。毎年!毎年!給料は10%以上もアップして1985年頃には税込みの月給は10倍以上になっていました。 当時、土曜日も出勤日で、超!超!多忙で→→毎日クタクタになって→→日曜日は寝て暮らす事が多く→→月に一度くらいしか妻や子供を連れて買い物に出掛けませんでした。 狭い社宅住まいだったので、嵩張る物は買えませんでした。努力しないでお金が溜まったのです。

 1985年頃から人減らしが始まって、月給は少しずつ少なくなって行きました。1996年~2006年の10年間・出向したのですが、年収はピーク時の70%程になりました。この10年間はドンナニ活躍しても年収は変わりませんでした。 2006年に定年になり、小規模の会社に再就職しました。年収は20%程アップしました。

 長男は今年45歳になりますが、多分・私が出向していた頃の年収に達していないと思われます。 日本は実質の平均給与が、毎年2%~3%アップする様にならないと、若者達が未来を語れなくなると思います。

(余談 :出張での小遣い稼ぎ) 私は入社以来、週に一、二回は遠方に出張していましたが、会社規定の出張手当(日当)、宿泊費、食事代を支給してもらいました。勿論、旅費も出ました。飛行機の出張も多かったのですが、昔は往復のチケットを買うと朝食付きのビジネスホテルの宿泊券がもらえました。 要するに、ホテル代が浮いたのです。そして、出張先の食事代は営業が出してくれました。 遠方に出張した時は必ず土産を買って帰りましたが、妻には内緒の小遣いが何時の間にか沢山貯まりました。色々使ったので殆ど残っていませんが、1,000万円近くになったと思います。

【平均給与の推移と対策】
 下に示す様に30年以上も前から、残念ながら日本の平均給与は増加していません。この事実を与野党の政治家達は重く受け止めるべきです。

 平均給与を増加させる為には景気を良くする必要が有ります。「日本の景気が低迷している原因は、政治家達が先送りしてきた沢山の問題が錯綜しているのだ!」と私は考えています。 問題A、B、C・・・X、Y、Z。それぞれの問題を同時並行で、少しずつ改善していく必要が有ります。単に財政政策を捏ね回しても解決出来ません。

 少子化問題、女性活躍社会(男女平等)、高齢者の雇用、生産性の向上、食糧と燃料の安全保障、輸出産業の発展、ベンチャー企業を興せる環境整備、官庁のデジタル化による効率化、大学と研究機関のレベル・アップ、民需技術と軍需技術の垣根の撤廃、悪性既得権の剥奪(悪い族議員の摘発)、本格的諜報機関の創設・・・等々の問題。

・・・ 実質平均給与の推移 ・・・ 1年を通じて勤務した給与所得者の実質平均給与
★ 2020年≒433万円
★ 2015年≒420万円 ・・・19年消費税10%
★ 2010年≒431万円 ・・・08年がリーマンショック→→14年消費税8%
★ 2005年≒456万円
★ 2000年≒468万円
★ 1995年≒468万円 ・・・91年~93年はバブル崩壊期間→→97年消費税5%
★ 1990年≒464万円 ・・・89年に消費税導入(3%)
出典 :厚生労働省『図表1-8-2 平均給与(実質)の推移』

【インフレ】
 資本主義国で健全な経済成長を維持する為には、インフレ率を『2%』にする必要が有ると言われています。歴代政府と日銀の目標も『2%』でした。

 日銀は『2%』を目標にして努力してきた様に見えますが、歴代の政府はインフレ率が目標値に近づくと消費税率をアップして→→日銀の努力を無にしてしまいました。 日銀君がボロボロの車を何とかして発進させようと努力しているのに→→助手席に乗った政府君がブレーキを踏むので→→車は前に進めないのです。

 今年になって悪いインフレ(スタグフレーション)に突入したので、政府と日銀はインフレ率『2%』の達成では無く、給与アップを目標にすべきだと思います。

・・・ インフレ率の推移 ・・・
★ 1980年に7.8%だったインフレ率は次第に低下して→→86年からバブル経済が始まり→→88年にインフレ率は0.7%程になり→→翌年(89年)に理想値に近い2.3%なりましたが→→消費税(3%)が導入されました。
★ 1991年~93年にバブル崩壊
★ 95年に阪神淡路大震災が発生しました。
★ 97年にインフレ率は1.7%にアップしましたが、消費税率を『5%』にしてしまったので、インフレ率は低下して、経済の低迷は続きました。
★ 99年~05年の7年間も、デフレになってしまいました。
★ 06年~08年には”ほんの少し”インフレになりましたが、08年9月にリーマン・ショックが発生しました。
★ 09年~12年の4年間もデフレになりました。
★ 11年3月に東北大震災が発生しました。
★ 13年に日銀総裁に黒田氏が就任しました。
★ 14年にインフレ率は2.8%になりましたが→→消費税率を8%にした為に→→インフレ率は1%以下になってしまいました。
★ 16年にはウルトラCの『マイナス金利政策』を導入しましたが、インフレ率は低いままでした。
★ 19年に、まだ1%以下のインフレだったのに消費税を10%に引き上げてしまいました。
★ 20年から新型コロナが蔓延する様になってデフレになってしまいました。
★ 22年は国際的な燃料と穀物価格の上昇と円安の為に『1%』程の悪いインフレになると予想されています。

【悪いインフレが始まりました!】
 2021年から原油と穀物価格が急激に高騰し始めました。 今年(22年)にウクライナ戦争が勃発して供給量が減少した為に→→更なる価格アップになってしまいました。

 更に急激な円安になってしまいました。 2021年1月に『1$≒103.7円』→→22年1月に『1$≒114.9円』→→昨日(7月15日)は『1$≒138.8円』です。 単純計算すると、2021年1月に103.7円で輸入していた物が、昨日は138.8円にもなっています。『34%』ほど値上がりしているのです。

 2015年から1%以下のインフレと軽微のデフレ状態が続いて来ました。現在も供給過剰の状態に有るのです。 輸入価格と円安の為に生活必需品は値上がりすると予想されますが、(一部の輸出割合の高い大企業を除いて)サラリーマンの給与がアップするとは考えられません。

 年金の支給額は毎年、(前年の)現役世代の給与の変化と物価変動を加味して決定されます。 21年度は『0.1%』→→今年(22年度)は『0.4%』引き下げられました。スーパーの価格がアップしても、来年度の年金が増えるとは限りません。

 日本は現在、経済が悪化しているのに物価が高騰すると言う悪いインフレ(スタグフレーション)に突入したのです。

【100円ショップ】
 100円ショップ(百均)はデフレの象徴です。 最初に100円ショップが出来たのは1985年で、現在・最大手のダイソーは1991年に最初の店舗を開きました。従って、30年以上の歴史が有る事になります。日本が、その間デフレが続いたので100円ショップが存続出来たのです。

 今年・100円だった品物が、毎年1%値上がりしたら、下に示すように30年後には135円になります。毎年3%値上がりしたら、30年後には243円にもなってしまうのです。30年以上も100円ショップが維持出来たのは、ある意味奇跡だったのです。

 資本主義経済で国が発展する為には、インフレが必要不可欠です。然し、高いインフレ率では、種々の問題が発生します。然し、デフレでは経済が停滞してしまいます。「適正なインフレ率は2%だ」と言うのが大方の見方です。

★ 1%インフレ :今年100円→→10年後≒110円→→20年後≒122円→→30年後≒135円
★ 2%インフレ :今年100円→→10年後≒122円→→20年後≒146円→→30年後≒181円
★ 3%インフレ :今年100円→→10年後≒134円→→20年後≒181円→→30年後≒243円

(余談 :タッパーウェア) 1986年頃、私は主として銅合金を使った超精密機械の担当でした。加工中に錆が発生するので、気密性の高い容器を探しました。妻が台所でタッパーウェアを使っていたので、何点か家から持って行って試して見ました。タッパーウェアの気密性は素晴らしく、錆の問題は解決しました。

 今でもタッパーウェアは高価ですが、当時は現在より高かった様に思います。現在は通販で入手出来ますが、当時は女性が訪問販売していました。工場の近くの訪問販売員を呼んで、数万円分発注すると、数人で納入しました。(多分、工場を見たかったのです。) その後も何回か発注しました。

 100均でもプラスチック容器を売っていますが、気密性と耐久性は全く違います。「性能が優れていたら、多少高価でも買う」と言う心意気が欲しいですね! 最近、「ブドウ一房を150万円で落札した」とか「秋刀魚一匹を一万円で落札した」と言う記事を読みました。

 東京の日本橋に行ったとき、時間が有ったのでブラブラしました。フルーツが好きなので千疋屋(せんびきや)と言う店に入って見ました。美味しそうな見事なフルーツが並んでいました。(結局、目の保養をしただけでした。)

【ビッグマック指数】
 マクドナルド社は世界の多くの国に進出して、ほぼ同じ品質で・同じ商品名で販売しています。 イギリスの経済誌『エコノミスト』が、各国でのビッグマックの販売価格と為替レートを比較して、実感出来る経済数値を考案しました。 それを、『ビッグマック指数』と呼びます。

 各国のビッグマックの価格は、マクドナルド社が「その価格で無いと売れない」と考えて設定しています。 換言すると、「アメリカでは621円で売れる物を、韓国では440円にしないと売れない!」、「もっと貧しい国民が多いい日本では390円にする必要が有る!」とマクドナルド社の経営陣が判断しているのです。

 要するに、マクドナルド社の経営陣は「日本国民は韓国よりも購買力が無い」と判断しているです。私は、残念ながら正しい判断だと思います。

 『世界経済のネタ帳』による2021年の57カ国のビッグマック価格ランキングの抜粋を下に示します。()内の数字は、私が日本の価格を100として算出した指数です。 1位のベネズエラは経済破綻した国です。一般に貧しい国では、日本円に換算したビッグマック価格は安くなりますが、経済が破綻するとトンデモナク高くなります。

1位 :ベネズエラ=918円 (235)
2位 :スイス =774円 (198)
3位 :ノルウェー =693円 (178)
5位 :アメリカ =621円 (159)
9位 :ユーロ圏 =552円 (142)
16位 :韓国 =440円 (113)
31位 :日本 =390円 (100)
33位 :中国 =380円 (97)
48位 :インド =280円 (72)
56位 :ロシア =249円 (64)