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あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

スーパーパンクロマチック

2020-05-22 12:28:52 | フィルムで行こう
赤外域まで感度特性が伸びているフィルムで、ローライのフィルムでいえば銀箱に入っているフィルムがそれにあたります。赤外線フィルタを付ければ赤外写真が撮影できますし、フィルタなしで撮影するとごく普通のパンクロマチック特性で撮影が行えます。オールラウンド・プレイヤーのようなフィルムなのですが、少し違った雰囲気で撮影ができますので、時々使っています。

赤外域まで撮影ができますので、木々の葉は明るく表現されます。また、赤外フィルムよろしく空を撮影すると、雲は真っ白にそして青空はかなり暗く表現されます。雲を撮影するなどの目的で使用できそうです。普段見ている雰囲気とは少し違ったトーンで再現されますので、そこが面白いといった感じです。

反面見たままそのままの雰囲気となると、パンクロマチック特性のフィルムが一番適するような感じです。可視光域に対して反応しますので、無難な雰囲気なのですがどことなく主張が少ないがために、有色フィルターを使って演出を行う感じです。これと反対の感度特性を持つのがオルソパンクロマチック特性で、ネオパンアクロスがこれにあたります。

オルソがつくと今度は紫外線域にも感度を持っていますので、木々の緑が明るく表現されますが、反面濃い赤色の領域まで感度が伸びていませんので、深い赤色は真っ黒になります。冬の時期に咲くさざんかの赤色の花がてかったりして良く表現されないときに、ネオパンアクロスは忠実にトーンを出してくれます。

これからは入道雲の季節で、空の雲を撮影するときにはスーパーパンクロマチックの出番が増えそうです。最初はネオパンSSから入ってきた黒白フィルムの世界なのですが、これほど色々な感色特性を持つフィルムがあるとは思いませんでした。フィルムの最初はオルソマチック特性で、青色か緑色にしか反応しない印画紙と同じ特性でした。この特性だと撮影するのがかなり難しくなります。

そこでカプラーと呼ばれる色素を入れて、色々な色に反応するように改良が進められていったということになります。当時はパンクロマチック特性を出す色素を作るのが難しくて、パンクロマチックが出せるフィルムがすごく高かったという感じです。そして、色々な色帯感度を持つ乳剤ができてきて、今のカラー・フィルムが出来て来たということになります。

色々な感色特性を持つフィルムが入手できる現代は、選択肢も広がって芸術の分野にかなり近づいたと言えそうです。今でもきれいな黒白トーンで再現している写真をよく見かけますが、このフィルムを使ったかと想像するのも面白いものです。ディジタルカメラの大頭により一時は風前の灯火になった黒白フィルムですが、芸術の世界で息を吹き返した感じです。

フィルムの良さを感じたいときには、35㎜判カメラよりも中判カメラといった感じです。粒子がほとんど目立たなくなりますので、極薄の被写界深度と立体感のあるボケ表現を思い切り楽しめますので、力強さよりもしなやかさが前面に出てくるようになります。そしてフィルムの選び方によって主張が全く違いますので、季節に合わせたチョイスも思いのままです。

本気の中判カメラということで、ゼンザブロニカを今回も連れ出します。晴れの日は朝から快晴で、雲がほとんどないのが残念でしたが、色々な構造物を撮影しながらこんな具合に表現出来たらと考えて撮影するのも楽しいものです。現像後に思い通りのトーンが出せていたら大成功で、黒白フィルムも新しい境地を見出せた感じです。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


Zenza Bronica EC Zenzanon MC 150mmF3.5
撮影データ:1/125sec F8 Rollei SuperPan200
道端の白い花に近寄ってみると、かりんの花でした。白く清楚な花が咲くのですが、実がなる様になるまでは長い年がかかりそうです。
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