当時の明るい大口径望遠レンズで、色々なメーカが競って作っていたのがこのレンズになります。しかし、鉄板の望遠レンズである135㎜F3.5があるがために影が薄い印象で、それほど売れなかったというのが本音であろうと思います。そのうちにF1.8クラスのもっと明るいレンズが出てきてしまい、さらに影が薄くなってしまいました。
大口径レンズという事もあって、ボケの柔らかさは格別といった感があります。しかし、分散レンズも非球面レンズもない時代の大口径レンズですから、収差の影響をかなり受けてしまいます。結局はF3.5の普及品レンズの方が無理をしていない設計であるがために、絞り解放から良く写る感じでなおさら立場が微妙になってしまいました。
それでも写りを良くするための改良は綿々と行われており、SMCタクマー135㎜F2.5の前期型まではエルノスター構成のレンズでしたが、後期型はテレフォト構成に近い改良が行われています。少し画像が締まった感じで、レンズの曲率をあまり大きくしていませんのでピントも合わせやすい特徴を持っています。
前期型と後期型共に柔らかな後ボケが得られる大口径レンズですから、前期型のユーザが悔しい思いをしないように写りそのものをほとんど同じ雰囲気にしてあります。ペンタックスさんの配慮が結構現れていると感じるレンズで、ほんの少し短くて扱いが便利な前期型と、ほんの少しピントが合わせやすい後期型といった感じで、買い替えようと感じさせない設計は見事です。
外観の方もほとんど同じで、パッと目には前期型も後期型も判らない印象です。レンズ前面からの絞り羽根の見え方や、被写界深度表示の違いなど細かな点で違うのですが、ほとんど同じ外観で写し比べないと判らないような微妙な違いにとどめてあるといった感じです。それでも昔々の大口径望遠レンズですから、収差をある程度意識しないとあらばかり目立ってしまって面白くありません。
昔のレンズはF5.6位まで絞り込んで使う。このような昔ながらのセオリーが通用するのもこのレンズです。絞り解放ではかなりふにゃふにゃの画像になるのですが、F5.6まで絞り込むと俄然しっかりとした画像になります。また、SMCタクマー135㎜F2.5は絞り込んでいっても背景ボケがそう硬くならないレンズですから、しっかりと絞り込んで撮影が行いやすいレンズです。
点光源のボケ形状が角ばってしまうがために、後期型レンズからは絞り羽根が8枚構成になって一歩円形ボケに近づいた感じです。実際に写してみても6枚絞りと8枚絞りではかなり印象が違いますし、より高級感が増したような写りになります。ですので、SMCタクマーの選択肢から選ぶとすれば、後期型のレンズが無難という事が出来ます。前期型はほとんど出回っていない希少品レンズですから、入手性からも後期型を使用するのが無難といった感じです。
暴風雪や大雪の予想が出ていた1月末の寒波襲来ですが、ちょうど帯状の雲が金沢市を少しそれたみたいで、雪もほとんど積もらずに休日は晴れ間ものぞく天気になりました。今までは長時間歩くことが出来ませんでしたので、健康ウォーキングのチャンスとばかりに朝からレンズを見繕って晴れ間が出てきた午後に撮影行へ出発します。
早咲きのマンサクがどうなっているか心配だったのですが、見事に青空の中で満開になっていました。今年は昨年からの流れを受け継いで蝋梅やさざんかの花は少なめだったのですが、まんさくの花がいっぱい咲いてくれると、これから先色々と咲いてくる花も今年は多いだろうと期待が持てます。まだ雪が溶けて冬枯れ状態なのですが、春への歩みがしっかりと感じられた1日になりました。
それでは、先々月末に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Takumar 135mmF2.5(後期型)
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO200
サカキの木もヒサカキの木も早春に開花の時期を迎えます。もう少しで開花するようで、ヒサカキの蕾も大きく膨らんできています。
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