お試しで購入した長巻の黒白フィルムで、10m巻きというリーズナブルさがありましたので購入しました。100フィート巻きの長巻フィルムが主流ですから、癖を掴む意味で20カット×10本分のお試しが出来るのは有難いという感じです。先に購入したフォマパン100と200も、20カット分×8本くらい撮影しないと、癖がよく判らなかったり、対処法が判らなかったりしていた訳です。
それでも、単に短い巻きの製品と言うだけで決めてしまったのですが、このフィルムは何者と調べていても、紹介されているWebページがほとんどありません。オルヴォ社のホーム・ページに行くとポジフィルムとしても使える黒白ネガフィルムとして紹介されています。黒白フィルムの場合は、ネガとポジの区分けもあまり無いようです。
そもそもカプラーと呼ばれる色素自体をあまり必要としない黒白フィルムは、乳剤自体に同じ銀を用いています。問題はこの銀が感光した後の処理になると考えています。ネガフィルムと逆の処理を行って、露光部分を取り除く漂白処理でポジフィルムが出来上がります。つまりフィルム自体はネガもポジもほとんど同じと言う事が出来ます。
しかし、銀の含有量が少ないと黒い部分が漆黒になってくれませんので、淡いポジ画像になってしまいます。この点ネガフィルムの場合は、焼き付けの工程で露光時間を調整することで、目標のトーンを得ることが出来ます。しかし、ネガフィルムでもあまり銀の含有量を少なくすると黒色になりませんので、結局はハイライト部分が眠い仕上がりになります。
黒白フィルムはポジ画像でもしっかりと銀が残ります。カラー・フィルムの場合はカプラーと呼ばれる色素だけが残って、銀はすべて溶解されて回収されますのでエコなのですが、黒白フィルムは銀が黒化して残りますから、ポジ現像を行う場合には、漆黒を確保するために銀の含有量を増やしておく必要があります。
今回購入したORWO UN54は、どちらにも使えるフィルムですから銀含有量が多くて、リッチなトーンを生み出してくれる期待があります。似た製品でADOX社のシルバーマックスやスカーラがありますが、トーンの変化具合が素直でリッチなトーン変化を生み出してくれます。白飛びしなくて黒つぶれしない理想のフィルムでもあるわけです。
2回ほど装填して使用した印象では、とにかく白い部分や黒い部分からトーンが湧きだしてくる感じです。濃度調整が行い易いフィルムでもあり、高級品フィルムと呼んでも良いような感じなのですが、実際には映画用フィルムですから高級品のフィルムでもあるわけです。しかし、価格からするとフォマパンと同じような汎用価格ですので不思議な感じです。
映画用フィルムですから、長巻のバルクフィルムしか売られていない訳で、パトローネに詰まったフィルムは売られていません。どうやらこの事がネックになって使われる方が少なく、バルクフィルムに理解がある方でないと、使っていない感じです。今の所は高級な汎用フィルムとして使うことが出来ますので、何か得をしたような感じです。
近いうちに100フィート巻きの物も、買っておきたいと感じさせてくれるフィルムでした。使用してみた印象は次回に掲載することにしましょう。価格は安いのですが十分に満足できる銘フィルムです。そして買ってよかったと思わせてくれたプロ用フィルムです。
それでは先々月末に撮影した写真から掲載します。
Asahi Pentax ME SMC Pentax-M 35mmF2.8
撮影データ:1/125sec F5.6 Orwo UN54(ISO100)
彼岸花も盛りを過ぎてこれから後はどんどん枯れていきます。オルヴォのフィルムはハイライト部でも粘りを見せてくれて、きれいなトーンで再現してくれます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます