庶民のカメラであったペンタックスのタクマーに比べると、本当に生産量も少なくて中古品でもあまり見かけることがないフジノンレンズであり、唯一そこそこ見かけるEBCフジノンレンズの中にあって、本当に生産していたことを実感できるようなレンズが、このEBCフジノンT135㎜F2.5です。同じようなレンズにEBCフジノン19㎜F3.5があって、これも紹介本の中だけでしか見かけない雲の上レンズです。
普及版レンズとすればEBCフジノン135㎜F3.5ですが、このレンズは流石にキット・レンズという事もあって、中古カメラのショウウインドウの中でもよく見かける感じです。フジノンのレンズはかなり生産数も少なかったと思われ、メインの販売商品から一歩外れたこのようなレンズは、ほとんどが受注生産品に近いものであったろうと考えています。
このようなレンズですから、Webで紹介記事を検索してもまずヒットしません。加えて紹介本にも記載のないレンズですから、手に入れた時の達成感よりも本物のフジノンレンズと疑いたくなるような感じです。しかし、現物が目の前にある訳ですから肯定せざるを得ない訳で、写りの特徴すらわからなかったというのが本音です。
しかし、フジノンレンズはフィルムの供給元である、フジフィルムさんが作ったレンズです。当然ながら写りもピカイチである予想で、ずっしりと重い貫禄がありますから、写りも当然良いだろうという期待感があります。源流であるフィルムを知り尽くしているメーカが作るレンズは、当然国内最強レンズと考えています。
同じレンズとしてタクマーの135㎜F2.5がありますので、外観を比べてもほぼ同じ印象です。当時は普及版としての135mmF3.5がありましたので、豪華版として135㎜F2.5のレンズを各メーカが販売していたという流れです。しかし、135㎜F3.5のレンズもそこそこ明るくて、しっかり写る鉄板のレンズですから、敢えて使う意図もあまりなかったと思われます。
レンズをのぞき込んで比較すると、基本構成はスーパータクマーと同じ印象で、エルノスター構成を使用していると考えています。とすればスーパータクマーと同じような写りになるのですが、そこにはフジフィルムさんの執念が垣間見えます。エルノスター系で絞り解放となるとさすがに描写が甘くなるのですが、EBCフジノンでは解像感もあまり落ちません。
絞り解放からしっかりと使えるように、レンズ・エレメントや鏡胴に色々な工夫が施されていそうです。加えてEBCコーティングが施されていますので、逆光性能もかなり良さそうで安心ができますから、まさに最強と呼べるような仕上がりになっています。この基本特性の良さはファインダー像からもすぐわかる感じで、ピントの山がすぐにつかめる135㎜大口径望遠レンズは早々ありません。
残暑がまだ残る、というか酷暑がまだ残って台風がやってきた9月初旬ですが、それでも晴れ間の出ている時間帯を狙って撮影行に出かけます。午前中の早い時間帯でないと熱中症になってしまいますので、休日は早めの撮影行ですがそれでも健康ウォーキングを兼ねていますので、しっかりと歩きます。
道端の草木は少しずつ秋の装いを始めていて、見つけた被写体をすぐに記録しながら歩きます。このような時にしっかりとした性能が出ているレンズを使うと気持ちが良く、ストレスを感じませんので、後から満足できる感じです。フィルムメーカの作る銘レンズで、あまり知られていないのが本当に残念なレンズです。
それでは、先月初めに撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 EBC Fujinon-T 135mmF2.5
撮影データ:1/1000sec F4 ISO200
昨年紫色の実がついていて、何だろうと調べてみると野ブドウでした。今年は豊作のようでいっぱい実がついていますので、今から楽しみな感じです。