和製ズミクロンとも呼ばれているリコーさんの銘レンズなのですが、元はと言えば廉価版で輸出用のカメラに付属して売られていたレンズです。このためにしなやかではっきりとした描写を望むときには、国内向けに売られていたF1.8の標準レンズが有りますから、殊更このレンズがおすすめと言う訳でも有りません。
そもそもライツの写りと言う事なのですが、ズミクロン自体今まで手にしたことが有りませんし、そのレンズも今でいうアトムレンズらしくて、黄変しているかもしれないといったあまり手に入れたくないレンズになっています。空気まで写るとは言いすぎかもしれないのですが、克明な描写が特徴と言う事になります。
コストダウンを行い易いレンズになっている事は確かで、初代のレンズの後で更に部品の種類を安価なものにして、コストダウンを図ったLレンズが存在します。手に入れたのがこのレンズなのですが、かなり軽量化されている感じで、鏡胴の持ち重りも少ないですし、全体的に安っぽく作られています。
試写をしてみるとコントラストをかなり上げているレンズで、かなりきびきびとした写りが楽しめます。現代流の写りをするレンズな訳で、大きな破綻も無く至って普通に写せます。このレンズとカメラを考えると、あまりボケ味や立体感をウリにしているレンズでも有りませんので、ごく普通の集合写真や記録写真用としてもてはやされたのではないかと思います。
F1.8クラスの明るい標準レンズをF2まで絞り込んでいるレンズとも考えることが出来ますので、絞り解放まで解像感やコントラストも落ちないという利点が有ります。背景ボケはあまり柔らかくならないのですが、F1.8よりもほんの少し暗いというだけで明るいレンズですから、夜のスナップ撮影ではかなり威力を発揮するといえそうです。
夜の飲み会もコロナ禍でさっぱり無くなってしまいましたが、この時のスナップ撮影では特に威力を発揮しそうなレンズです。草や花の撮影では森の中の薄暗い雰囲気で撮影するときに威力を発揮しますので、そこそこ使い勝手が良いレンズとなっています。しなやかで精緻な描写とは違って、線が太くがっしりとした描写をしますから、力強さを出したいシーンには最適です。
一通り初夏までの花が咲き終わったという感じで、あとは梅雨の季節に咲く花が待ち遠しいという感じです。撮影行に出掛けるとアジサイの花はまだつぼみなのですが、しっかりと準備の方が整ったという感じで、これから雨の季節になって湿度が上がってくると、きれいに咲きだしてくるような感じです。また、このところの暑さでシャラの木も蕾を大きく膨らませてきています。今までは葉に隠れてあまり見えなかったのですが、これから楽しみと言ったところです。
休日は雨の日の中でぽっかりと空いた晴れマークで、朝から十分な光量が稼げる良い1日になりました。これが梅雨の前の最後のからっとした晴れの天気になりそうで、清々しい空気をいっぱい吸って撮影を行っていきます。もうすぐ梅雨の季節で、この原稿と投稿するころには梅雨末期の大雨になっているかもと考えながら、撮影を勧めています。
それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 XR Rikenon L 50mmF2
撮影データ:1/3200sec F2.8 ISO100
いつも梅雨入りのころに咲くピラカンサの花も、今年は少し早まったようです。すでに満開を過ぎていましたが、晩秋のころの赤い実でも楽しませてくれる公園の木です。