富岡光学のレンズと言うと、人気が高いうえにこれは本当に富岡光学なのと、疑心暗鬼になりそうな雰囲気を持ったものが多く存在します。何しろ富岡光学銘の入ったレンズは本当に少なくて、大抵はOEM供給先のメーカ銘が刻印されています。富岡光学は色々なメーカにレンズをOEM供給していましたので、同じ種類のレンズで富岡光学銘のレンズがあれば、少し安心と言ったところです。
研ぎ澄まされた刃先のような被写界深度で、絞り解放付近からかなり解像感の出ているレンズなのですが、いかんせん極薄の被写界深度である事も相まって、手持ちで近接撮影を行うと微妙なピント外しを量産する事になります。かといって絞り込むと被写界深度は確保できるのですが、今度はコンパクトカメラのような良くもなく悪くもなくの一般的な雰囲気になります。
標準レンズなのに三脚が必要になるレンズでも有りますから、扱いが難しいレンズと言う事が出来ます。しかし、上手く条件が整うととても雰囲気の良い画像を手に入れることが出来ますので、また挑戦しようという気にさせてくれるレンズでも有ります。所有している標準レンズの中では一番満足できるレンズで、これからも使っていこうという気にさせてくれます。
それでも一番手っ取り早く富岡光学の写りを堪能できる方法があって、このレンズであればほぼ間違いなく富岡光学製というものも有ります。それはヤシカのレンズで、富岡光学がヤシカのカメラ用レンズをOEM生産していたことにも由来します。このためヤシカのカメラはかなり人気があると言う事になるのですが、一時期ヤシカもM42マウントのカメラを作っていましたので、M42ヤシノンは今でもかなり高価です。
その他にも暖色の表現が良くて、これからの紅葉シーズンでは暖かみのある表現が欲しくなりますので、暖色系の表現に強い富岡光学のレンズは、この季節になると持ち出してくると言う事になります。このオートチノン55㎜F1.4も解像度がすごく高いレンズで、キレッキレの描写をするのですが、反面扱いにはかなり苦労するレンズでも有ります。
今回の撮影行はきれいに紅葉した風景描写が主体になるのですが、必要な画角と言うと中途半端な感じです。標準レンズではもう少し画角が狭い方が良いし、かといって85㎜中望遠レンズでは少し画角が狭くて面白くないと言った贅沢な雰囲気になります。標準以上中望遠未満といった感じで、ペンタックスさんの77㎜レンズがちょうど良さそうです。
それならばと言う事で、APS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラを準備します。久しぶりに使うK-5なのですが、スライドデジコピアを使って、フィルムのスキャニングも行っていますので、使用頻度が低くなったと言う訳でも有りません。K-1とK-5は基本的な操作系がほとんど同じですから、違和感がないのが嬉しい所です。
秋は紅葉の真っただ中という感じで、かなり近くの葉も紅葉してきています。標準レンズでも良さそうなのですが、ほんの少しの圧縮感と後ボケの柔らかさは必要といった所で、背景ボケも1.5倍の大きさになるAPS-Cサイズのカメラは面白いといった所です。これから木々はどんどん葉を落としていきますので、見頃の内に撮影が出来て良かったという感じです。
それでは先々月末に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-5 Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/1600sec F3.5 ISO100
まだあられは降ってきていないのですが、寒い日が続いてサザンカも花を咲かせ始めました。赤色のサザンカはもう少し後なのですが、先に観賞用のサザンカが花を開くという具合です、