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あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

Chinon MC Macro 50mmF1.7

2015-11-22 19:21:20 | 国産レンズ
マクロスイターとそっくりさんの国産レンズです。販売されていた頃にはスイス・ピニオン社からマクロスイターとオートアルパマクロが販売されていましたが、このレンズはチノンさんがOEM製造していたと云う記述があります。このため、レンズ銘表記を自社銘にして販売していたと思われるのがこのレンズと推測できます。

レンズのコーティングは、赤紫色で国産レンズの雰囲気とは微妙に違います。むしろ旧ドイツやロシアのレンズと似ている雰囲気を漂わせている事から、レンズエレメントの供給を受けて生産されていたとも考えられます。スイターのアポクロマート構成はしっかりと行われていて、実際に撮影しても色ずれやにじみ、そしてハロの発生も少ない優秀レンズである事から、マクロスイターの銘板違い品と考える様にしています。

購入を思い立った時にWebで検索しましたが、ほとんど記述が見当たらない訳で、国内ではほとんど流通していない稀少品レンズと表現する事が出来ます。このレンズも手に入れた事自体凄くラッキーな事であって、チャンスを逃せば二度と手に入らなかったであろうと思われます。恐らくはいったん輸出されて海外ユーザの手に取られ、しばらく使われた後に故郷を偲ぶように帰ってきたレンズとも考えられます。

M42レンズ探しで、色々なWebページを眺め、また出張先でふらっと覗いた中古品棚の探索し、そしてこのカメラ良かったらどうぞと、譲り受けたものに付いていたレンズと、色々なシチュエーションでレンズが手に入ってきますが、むきになって探さない程稀少品レンズが手に入ってくるように感じます。たまたま壊れた時の補修用にと購入したスーパータクマー55mmF1.8が、帰ってから良く見るとSMCコーティングの過度期に出来た稀少品であった訳で、そこそこチャンスには恵まれていると感じています。

色ずれが少ないまっとうな描写は、現代レンズに撮ってみれば当たり前の感じですが、今から30年以上も前のレンズとして見れば大した性能な訳です。このレンズを使うと昔レンズで現代風の写りが手に入る訳で好都合な感じですが、このレンズが持っている本来の癖が更に描写性能を高めているように感じます。

それは、マクロ域での不完全な収差補正によるところが大きく、何しろ全群繰り出しで無理に繰り出し量を増やしていますから、取り切れなかった収差が意外な効果をもたらしてきます。アポクロマートとレンズ設計の良さから出てくるピント位置の解像感の高さと相まって、想像以上の効果をもたらす訳です。

中判フィルムに比べて、被写体の立体感が出し難い135フォーマット・フィルムですが、不完全な収差補正の効果が出てきて、APS-Cフォーマットのディジタルカメラでも難なく立体感が出て来ます。特に0.1倍以上の撮影時に効果が判る程に出て来ますから、面白い訳です。ファインダー像では被写界深度が深くなった様に見えますが、それ以上にぼけて写りますから、しっかりと目標点にピント合わせを行って慎重に写します。

撮影後の確認で立体感が充分に表現されているコマが多く、満足できる結果となりました。次はフィルムで行いたいと期待感が膨らむ撮影行になりました。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Chinon MC Macro 50mmF1.7
撮影データ:1/125sec F4 ISO200
前日までの雨があがって、葉の裏に隠れていた蜘蛛が透けて見えています。桜の紅葉も一気に落葉の時期になってきましたので、手早く撮影します。
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EBC Fujinon-T 135mmF2.5(Fujica ST-605Ⅱ)

2015-10-29 10:10:22 | 国産レンズ
フィルムメーカが創るレンズは、それこそフィルムの特性を知り尽くしている訳ですから、最強のレンズと思っています。古くは小西六さんが頑張っていましたが、今では光学機器メーカになってしまいました。フィルムも作ってレンズも作るメーカは、今ではフジフィルムさんのみになってしまったのは淋しい限りです。

その中でも最強のレンズがEBCフジノンです。標準レンズも揃えようと思っていますが、ST-605Ⅱに付いていた初期のフジノンレンズの写りが良いために、いまだに買えないでいます。EBCの名が示す通り蒸着コーティングと思われますが、現代ではスーパーEBCフジノンにグレードアップしています。

広島に出張で行った時に、ふらっと覗いたカメラ屋さんでフジノン55mmF2.2を見つけて、いいですねフジノンと云う話から、フィルムメーカのカメラにまつわる話を聞かせてもらい、じゃ、良い写りを愉しみましょうかと云う感じで購入しようと思った所で、店主の方がこれは滅多にない掘り出し物ですよ、と持ち出してきたのがこのレンズでした。

タクマーで135mmF2.5の大口径望遠レンズは良く聞く話で、発売当時は高すぎて誰も買う事が出来ず、仕方なしに135mmF3.5の普及版レンズで我慢した。と云う事が思い出されます。しかし、135mmF3.5のレンズはツァイス・ゾナーを範として作られていますから、普及価格でも写りは最高でとても満足できたと云う感じです。

まさかフジフィルムさんが135mmF2.5の大口径レンズを作っていたなんて、と云う感じでした。急いでWeb検索をしてみましたが、このレンズのページはほとんどありません。つまり、中古品として店頭に並ばない稀少品レンズであった訳です。写りがどのようなものかは全く判りませんので、レンズを良く見せてもらってどの様な構成かを推察する事にしました。

絞り羽根の見え方で、おおよその判別が付きます。前玉から見るとかなり奥に絞り羽根が見えます。スーパータクマー135mmF2.5と同じような感じで、エルノスター構成である事がおぼろげながら判ってきます。タクマーはその後テレフォト構成に変わっていくのですが、絞り羽根が少し手前側にあるSMCタクマー135mmF2.5とは違った見え方です。

その後も色々と調べてみると、どうやら輸出品が主だった感じで、これでは日本国内のレンズ・ラインアップに無い訳です。海を渡って外国に行ったレンズが、また故郷を偲ぶように帰って来たものか、また国内にも少量であるけれど流通していたものかは判りませんが、色々と想いを馳せる事が出来るレンズでもあるようです。

今回は黒白フィルムを詰めて撮影行に行ってきました。やはり、フジのレンズにカメラとフィルムと云う感じで、同一ライン・アップにすると最高の写りが愉しめそうで、期待感いっぱいになりました。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


Fujica ST605Ⅱ EBC Fujinon-T 135mmF2.5
撮影データ:1/125sec F5.6 Neopan Acros100
初夏の頃に紫色の花で楽しませてくれた藤ですが、今は大きな実でも楽しませてくれます。もうすぐ葉が紅葉して散ってしまいますので、今の内に撮影します。
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Auto Yashinon DS-M 200mmF4(AsahiPentax SP)

2015-10-21 19:05:11 | 国産レンズ
良く話題に上って、探している人が多い富岡光学のレンズですが、OEMのレンズが多くて、自社銘を併記しているレンズが事の他少ないので、結局は富岡レンズと判らずに手に入れていたり、破格の安値で売られていたりと、何かと話題提供が多いレンズ・メーカーです。私自身探してはいるのですが、何しろ自社銘の表記がありませんので、写りの癖や表記文字のフォントなどを見ながら、おおよそ富岡光学製と云う風に思っています。

それでも、自信を持ってこれは富岡と言っているレンズがあります。それはヤシカのレンズで、ヤシカのレンズを富岡光学が製造していた訳ですから、二眼レフの時代から綿々と作り続けられたレンズが富岡光学製な訳です。昔の2眼レフに付いていたトリローザーも富岡の香りいっぱいのレンズです。ヤシカと富岡光学の関係が判ってからは、カメラ屋さんの中古棚でヤシノンレンズを探したりするようになりました。

今月は200mm望遠レンズの紹介が多くなりましたので、オートヤシノン200mmも引っ張り出してきました。1980年代位の望遠レンズは、収差補正がほとんど取られていないある意味昔の望遠レンズですから、色収差や非点収差で分が悪くなります。ハロやフレアの点では多めに出て来ますから、発色や中央部の解像感を出せる被写体を選び、輝度差にも注意しながら撮影する事が必要です。

富岡光学の暖かな写りを助ける様に、季節は紅葉の秋へと変化を始めています。しかし、晴れた日は空の青色が満遍なく降り注ぎますし、曇りの日では色温度が高くなって、全体的にクールな雰囲気になってしまいます。今回はフィルムカメラを使いましたので、ニュートラル発色のフジフィルムでは、今回のシチュエーションでは青っぽくなってしまう感があります。

それでも、スキャン後に現像ソフトウエアでグレー補正を行うと、本来の富岡光学の暖色系が誇張されて来ますので、写りに満足できる感じです。被写体と背景の輝度差を大きくすると、被写体周囲に収差フレアが起きて色がにじみ出す様に見えますので、輝度差が程々になる様に背景を選びます。加えて被写界深度がある程度浅くなる望遠レンズですから、ある程度絞り込んで被写界深度を確保する事も大切です。

被写界深度の差からすると、初代タクマーの200mmF3,5の様な大口径レンズのごく浅い被写界深度ではなく、ある程度の深度がありますから扱いが楽な感じです。F値での差は0.5しかありませんが、F4タイプのレンズは背景が少し硬くなる分をフルサイズのフィルムにする事でカバーして、少し絞り込む事で収差を軽減して解像感を高める工夫を行っています。色々と工夫する事によって、昔のレンズでもそれなりに撮影する事が出来ます。

今回は、ISO400のフィルムを使いましたが、ISO200設定で全体的に濃いネガを作り、粒状感の改善を行っています。かご盛りフィルムは効果がはっきりと出てくる感じですが、初めから粒状性が良いフジカラー・プロ400Hでは、あまり効果が期待できない感じで、粒子感も程々と云った感じに仕上がります。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


AsahiPentax SP Auto Yashinon DS-M 200mmF4
撮影データ:1/250sec F5.6 Fujicolor PRO400H
見上げると、こぶしの赤い実がいっぱいついていて、一部分を近接拡大して切り取ります。秋に実る赤い実は青空バックで良く映えます。
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Auto Mamiya/Sekor SX 50mmF2(Asahi Pentax SP)

2015-10-09 16:25:50 | 国産レンズ
現代でも中判カメラのマミヤさんですが、昔は35mmカメラも作っている訳で、この様なレンズが手に入ったりします。最初はM42らしいオート絞りピンが出ているレンズでしたが、時代の変遷とともに一時はバヨネット・マウントに変更されてから、解放測光用のピンが付加されたM42マウントに一時的に変更され、その後はバヨネットのミラクル・マウントに変わっていきます。

マウント仕様の相次ぐ変更が行われたおかげで、このレンズもM42仕様のカメラに装着しようとすると、難題が迫ってきます。解放測光伝達ピンを外して、絞りリングの出っ張りを削り落す事で、何とかM42マウント機に装着する事が出来ます。結構難しい作業になりますので、この仕様よりも簡単なフジノン・レンズの方が、レンズ自体にダメージを与えるリスクが少ないため、お勧めであろうと思います。

SXシリーズのレンズは、M42最後発でもあるためにコーティングや発色の度合いなど、現代レンズに近い感じになります。黒白フィルムはもとよりカラー・フィルムでも不都合なく撮影が出来る、隠れた銘レンズと云う感じです。解像度が高くて癖が少ないレンズですから、報道用カメラの様な緻密な画像を得る事が出来ます。ある意味M42レンズの中では知名度がそれほど高くないために、安価に手に入ります。

このレンズの出所を探っていくと、富岡光学の名前がちらほらしています。マミヤさん自体、レンズよりもカメラの方が有名ですから、この様なOEMレンズを使用していたと考えられます。富岡光学レンズの様な金色前面コーティングはありますし、ピント位置の鋭い解像感や背景ボケの柔らかさなど、思いつく様な特性も備えています。あくまでも推測の域は出ない感じですが、写し易くて結果に満足できるレンズであることは確かです。

今回の撮影行は、この解像感の手助けを受けながら、フィルムの粒子荒れ低減策を行ってみたくて連れ出しました。レンズの基本的な解像度が高くないと、フィルムを使っていても確認が難しくなりますので、今回はマミヤ・セコールの出番となった訳です。適度に高いコントラストも、ピントが合わせやすくなって好都合です。

ネガフィルムを使う時には、少し露出オーバー気味にするとネガ濃度が濃くなって、引き伸ばし時に粒子自体が多く残っていると、粒子同士が重なって余りはっきりとは見えなくなります。先達の方からも薄いネガだけは作るなと、アドバイスされていた理由が、これであろうと思っています。今回はネオパンアクロスで、ISO100フィルムですから、これをISO80位で使用すると、濃度の濃いネガが得られる訳で期待感いっぱいです。

撮影後は早速自家現像して、仕上がりを確かめます。標準の現像時間で濃度が濃くなっていますので、早速スキャニングして確かめてみると、粒子の荒れはほとんど気になりません。1,600万画素雰囲気まで拡大しても、それ程目立った荒れは感じませんでしたから、まずは大成功と云った感じです。これからは、この戦法もありと云った感じで、少しコントラストは上がりますが、ディジタル・データ後の現像ソフトウエアで何とかなる感じです。

ディジタルでもフィルムでも、使い方次第で狙いの表現が出来ますから、奥が深い趣味です。10月からはフィルムの値段も上がりますので、買いだめしておいたフィルムも沢山あります。ゆっくり使って愉しむ事にしましょう。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


AsahiPentax SP Auto Mamiya/sekor 50mmF2
撮影データ:1/250sec F8 Neopan Acros100
秋の涼しさの中でも、日中は日差しの強さが感じられる頃、ふようの花が頑張って咲いています。寒くなると枯れてしまいますので、最後の見ごろと云った感じです。
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Fujinon 55mmF2.2(Fujica ST-605Ⅱ)

2015-10-07 17:30:25 | 国産レンズ
中古品のフジカのST-605Ⅱを買った時に、一緒に付いてきた標準レンズです。EBCコーティングのレンズではありませんが、逆光にも強くてしっかり写る優れものレンズです。結構軽いレンズですから、プラスチックも多用されていると思われ、どちらかと云うとEBCレンズの重厚さと比較してしまいますので、少しチープな印象となります。

作りはチープな感じですが、写りは確かなF2系標準レンズです。和製ズミクロンと呼ばれるXRリケノン50mmF2を筆頭として、各社が普及版レンズを作っていましたので、多少安めの感じですが、しっかりと写ります。絞り開放でF2.2と、他社製普及レンズに比べるとほんの少し暗いのですが、その分絞り開放からの解像度が高く、F2.8まで絞るとカリカリの描写をします。

フジノンレンズは、白色の描写が得意。発色の偏りが少ないために、白色の花をきれいに描写します。建造物でも、自然の風景でも、白色の雰囲気を自然に追いかけたくなる特徴を持っています。流石はフィルム・メーカと思わせる真面目な画作りは、国内最強のレンズとも言われています。加えて変な癖を持っていませんので、多少物足りない気はしますが、特殊レンズを用いないで現代の写りを実現する感じで、好感が持てます。

今回は、フジカのカメラにフジノンレンズの取り合わせで、撮影行に出掛けました。やはり、この取り合わせではフジのフィルムが使いたくなります。三点セットの同一メーカ揃いですが、この取り合わせが一番良く写る気がします。何しろフィルムの特性を一番良く知っているのがフィルム・メーカで、それに合わせ込む意気込みでレンズを作りこむ事が出来ます。

カメラにも同じ事がある様で、フィルム装填を行う時にもしっくりとカメラに馴染みます。脱着の際にストレスを感じることがありませんから、撮影に専念できてとても良い雰囲気です。思わず出来栄えの良い写真が撮れそうと思う訳で、撮影に真剣さが増す不思議な感触があります。垢抜けない格好をしたカメラですが、外観よりも中身に注力しているカメラの印象です。

今回の撮影行では、スぺリア・エクストラを用いています。まだ初秋の感じで、日中の光量は充分な程にありますから、明るい場所を探して撮影します。日陰や薄暗い場所ではどうしても露光不足になりがちで、薄いネガが出来てしまいますので、背景自体も明るい背景を探しながら撮影していきます。

フィルムで24枚撮りと云うと、結構速く撮影してしまいそうな感じですが、じっくりとピント合わせを行って、背景を選びながら露出を勘案して撮影していると、相当に時間がかかります。この為に24枚を撮り終えた時には相当ばてていると云った感じです。中判カメラでは重さも手伝って12枚が限度の様な感じで、ディジタルの様に沢山は写せない感じです。

そんなこんなで、色々歩きまわってじっと構えて撮影する健康ウォーキング、なかなか体には良い運動の様です。色々見つけて写真に残して、愉しんで体力を付ける試みは成功しているようです。

それでは先月末に撮影した写真から掲載します。


Fujica ST605Ⅱ Fujinon 55mmF2.2
撮影データ:1/250sec F7 Superia X-Tra400
秋になると水が澄んで来て、橋の上から眺める川の底の、細かな石まできれいに見る事が出来ます。フィルムは川の底まで写す事が出来て便利です。
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