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あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

富岡の流れ

2016-08-16 18:50:22 | 国産レンズ
当ブログでも、皆さんに見られているキー・ワードを探ると、富岡光学の名前をよく目にすることが出来ます。TOMIOKAの銘が入ったレンズは中古品でも結構高くて、手に入れるのが難しいのですが、研究本を読んでいくうちに富岡の流れが良く判ってくることになります。富岡光学とヤシカの関係が深くて、トリローザーを始めとして、色々なレンズが富岡光学製です。

有名な55mmF1.2のレンズは、後玉のふちを削って自動絞りピンを付加した話が有名ですが、色々なメーカにOEM供給されていたということです。リケノンやコシノンといえば、今のペンタックスさんやコシナさんで、カール・ツァイスのレンズの流れが一致してくるのが面白いところです。本来のヤシノンはその後コンタックスへと変貌を遂げて行きますので、日本版ツァイスと富岡光学の関係は深かったであろうと思います。

その様な目で改めて見てみると、さまざまなレンズに富岡光学の息がかかっているように感じます。コシナさんのツァイス・レンズは有名ですが、源流は富岡光学かもしれませんし、ツァイスとの技術提携もあったペンタックスさんも、タクマーでは少なかったかもしれませんが、後のSMCペンタックスAレンズでは、F1.2の標準レンズを目にすることが出来ます。

ご本家ヤシカさんのレンズのほとんどが富岡光学製ですから、ヤシカ銘のカメラを購入すれば、至って普通に富岡光学の写りを堪能できます。ピント位置の鋭い解像感と色乗りの良さで見せ付けてくれる感じで、ドイツ・ツァイスのレンズを思わせる日本版のレンズです。ヤシカのブランドは消えてしまいましたが、今でもカメラ屋さんで普通に見ることが出来る中古品ですから、意外と入手性は高いのかもしれません。

富岡光学というと判らない感じで、銘の打たれたレンズはごく少数のトミノンレンズと、これもまたごく少数のOEMレンズです。しかし、相当多数のカメラに搭載されていたことは事実で、コンタックスの最終期にあたる、ディジタルカメラにも搭載されていたTスターのレンズは、恐らく富岡光学製と考えています。

意外にも身近にある富岡光学レンズな訳で、今は2眼レフのヤシカDを愉しんでいます。このカメラもレンズは富岡光学な訳で、レンズ・シャッターですからその前にある絞りは円形絞り、充分に絞り込んで撮影すれば、中古価格からは想像できないような立派な写りになりますから、富岡の味わいを愉しみたくなったらヤシカDを使うようにしています。

あまり富岡にこだわらないようにして探していても、気づいたら結構富岡レンズが増えている。その様な感じです。絞り込んでも背景ボケがあまり硬くならない優れものレンズでもありますので、気軽に購入して写りを堪能できる。今の時代の富岡レンズはどこかに潜んでいるような感じです。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


Yashica-D Yashikor 80mmF3.5
撮影データ:1/100sec F8 Fujicolor PRO160NS
金属の質感が確かめたくて、公園のブランコを撮影してみました。暖色の色がきれいに出る富岡レンズは、金属の質感もきれいに出してくれます。
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Fujinon 55mmF2.2

2016-07-27 19:07:58 | 国産レンズ
明るく写って、白色の描写がとてもきれいなフジノンレンズです。色彩の派手さはないのですが、実直真面目に写る雰囲気はディジタルカメラやフィルムを問わず、ディジタル素子やフィルムの個性を引き出してくれますので、手放せない一本になっています。一般普及用のキット・レンズですから、多少暗いことはあまり考えないで、おおらかに写すと良い結果が得られます。

フィルム・メーカが作るレンズは、時代を超えて愛される一級品であると考えています。古くはコニカのヘキサノンがありましたし、今ではフジノンがスーパーEBCフジノンになって、X-フジノンに進化しています。ヘキサノンのレンズは、当時の価値とほぼ変わらないような中古価格で売られていますし、その価格を裏付けるような見事な写り具合は立派です。

そんな中でのフジノン55mmF2.2ですが、中古カメラ店でも直ぐに売れていく中古品のようで、探すのに結構苦労します。現代のコンパクト高級カメラであるクラッセは、相当高額で見付けにくい感じです。カメラよりもフィルムの生産に重きがおかれていた時代ですから、フジカのカメラも中古品棚に並ぶことはめったにありません。

今では、ディジタルカメラの個性として、プロビア調やベルビア調の表現が良く用いられるようになりました。フィルムで撮影してもフィルム本来の発色を一番引き出してくれるのがフジノンであり、ヘキサノンであると考えています。コダックでもその様なレンズがあるということですが、未だ購入には至っていません。

ディジタル全盛の今の時代において、その価値が見直されているレンズであるとも考えることが出来ます。何しろディジタル現像ソフトウエアにおいても、そのままずばりの表現をしていませんが、VやPのテイストが存在していますし、そのテイストを一番楽しめるのがフジノンのレンズという風に考えることも出来ます。

最短撮影距離が長くて、被写体があまり大きくは写せないけれど、開放F値が暗くて夜の街に連れ出すには勇気がいるけれど、基本に戻りたい時にはこのレンズを使います。タクマーの55mmF1.8もありますが、発色や彩度の基本に戻りたい時には、やはりフジノンレンズやヘキサノンレンズです。フィルム・メーカが持っているレンズ技術は、やはり他のレンズメーカの技術とは一味違います。

フジノン55mmF2.2は、簡単にフジフィルムの味わいを愉しめるレンズですが、白色の被写体では白色がはっきりと出すぎて、簡単に白とびになってしまう感じです。背景との輝度差も良く考えて、あまりコントラストを稼がないようにすることも大切と考えています。どちらかというと薄曇りのときにコントラストを稼ぐレンズですが、晴れた日の真っ白表現もインパクトがあって良いと感じています。

お盆の花もきれいに咲いてきました。明るく元気良く写るフジノンレンズは、活力を与えてくれる描写。その様に感じています。

それでは、今月中旬に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Fujinon 55mmF2.2
撮影データ:1/125sec F4 ISO200
やぶみょうがの花も盛りを済んで、足元を見たら小さなやぶみょうがが花を開いていました。清楚な雰囲気で一枚撮影です。
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Zenzanon 150mmF3.5(Zenza Bronica EC)

2016-07-03 10:18:20 | 国産レンズ
中判カメラで望遠撮影は、やり甲斐があって面白いのですが、カラー・フィルムばかりを使っているとお小遣いが段々減ってきて、基になるフィルムが買えなくなってしまいますので、黒白フィルムも間に挟んで使いながらチャレンジを行っていきます。中判カメラ用の望遠レンズとなると、それなりに大きくて重たいので敬遠されがちな感じです。

ゼンザノン150mmF3.5は、手に入れやすい普及型の望遠レンズです。ゼンザブロニカ自体、フォーカルブロニカと呼ばれている、フォーカルプレーン・シャッターを用いたカメラは希少品で、レンズ自体も見つけるのが至難の業ですし、アクセサリーも売られていることが判っているのですが見たことが無いという感じです。本当は75mm標準レンズだけで撮影を行うつもりでしたが、手を伸ばしたのが150mmゼンザノンでした。

やはり中判カメラは広角レンズで撮影が行いやすい感じです。そこそこ深い被写界深度で撮影できますので、しっかりとピントを合わせればほとんどのコマが満足できる仕上がりになります。150mmレンズは35mm判フィルム換算で85mmの中望遠レンズの画角になります。あえて150mmレンズの選択をしたのは、優雅なボケ味と浮き出るように被写体が描写されることにあります。

しかし、そのボケ味と立体感を得るためにはかなり苦労する訳で、35mm判フィルムよりも大きな効果が望めますから、自ずと撮影にも力が入ります。撮影する被写体を撮影行に出かける前に決めておき、時間をかけて1枚を撮影していきます。スナップ撮影行の考えで撮影すると大半のコマが失敗してしまいますから、時間をかけて立ち位置とピント位置を確認してやっと撮影を行います。

ゼンザノン150mmF3.5は、絞り込んでも背景ボケがあまり硬くはなりません。積極的に絞り込んで撮影したほうが良いと思われるレンズです。逆に絞り開放付近では描写が柔らかくなりますので、はっきりと写しこみたい時には有色フィルターと黒白フィルムのコンビでコントラストを稼ぐようにします。

うんと絞り込んでもボケの角があまり目立たないレンズですから、絞り羽根の枚数が少なくても、円形絞りになってはいなくとも、納得の出来る結果となります。6枚絞りのごく普通のレンズなのですが、35mmフィルム用レンズほどに気を遣わなくて良いところが助かります。

前回のカラー・フィルム撮影の時は、かなり画像が柔らかくなってしまって、成功コマが少なくなってしまいましたので、今回は黒白フィルムでリベンジをしてみました。ごく普通の描写をするネオパンアクロスで、帰ってからは自家現像とリーズナブルに作業を進めます。気をつけて撮影した感じですから、仕上がりで微妙なピント外しも少なく、深度設定も大体合っており、現像後のスキャニングでほっとした感じです。

それでは、先月半ばに撮影した写真から掲載します。


Zenza Bronica EC Zenzanon 150mmF3.5
撮影データ:1/125sec F5.6 Neopan Acros100
夏が近くなると咲き出すしゃらの花。白い花ですから黒白フィルムでも雰囲気が良く出せて満足しています。
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Auto Chinon 55mmF1.4(Fujica ST605Ⅱ)

2016-06-19 15:23:22 | 国産レンズ
久しぶりのオートチノン55mmF1.4です。富岡光学のOEMレンズであることは間違いないようで、今では中古品しかありませんが人気のレンズです。ずんぐり、ぼってりとした重量級の標準レンズで、明るくて細かな写りが愉しめる昔ながらのレンズです。

このレンズを装着していると、他のレンズが華奢に見えるほどで重厚感にあふれるレンズです。ずっしりとした重さを感じるレンズで、レンズがみっしりと詰まっている高級感があります。また、ピントリングもしっとりと動きますから、MF派の自身にとって見れば動きの高級感で手放せない一本になっています。

暖色の色がきれいに見えて、絞り開放からの解像感も高いレンズですので、富岡光学のレンズと考えて写すようにしています。APS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラでは、ちょうど80mm画角のポートレイト・レンズになりますし、フルサイズの35mmフィルムでは、ボケのきれいな標準レンズになります。

フルサイズにAPS-Cと、どのようなフォーマットで使っても満足できるレンズで、買って良かったと思わせてくれるレンズです。絞り開放ではかなり被写界深度が狭くなって、手持ち撮影よりは三脚を使って体の前後振れを防ぐようにしないと、すべてのコマがピンボケになってしまいます。

APS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラでは、被写界深度が深くなる傾向にありますので、背景ボケの硬さにも気を配る必要がありますが、フルサイズのフィルムではボケの角が取れて少し柔らかな描写になりますから、思い切って深めに絞ると好結果が得られます。APS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラではF5.6くらいが関の山のところは、フルサイズのフィルムでF8からF11くらいまで絞り込めます。

その分被写界深度が深くなりますから、少し大きめの花や葉も背景から浮かび上がるように表現できます。フィルム時代の愉しみ方という訳で、フルサイズのディジタル一眼レフ・カメラではどのような表現になるか、興味は尽きません。ディジタルでもフィルムでも活用できそうなレンズは、そう多くはありませんので富岡レンズの面目躍如といった感じです。

カラーの写りは以前愉しみましたので、今回は黒白フィルムで挑戦です。線が細く描写される少し軟調気味に描写するレンズですから、トライXの硬調描写で写りがどのように変化するか、いろいろ写す撮影行に出かけました。初夏の黒白フィルムも木々の元気よさが出せて良いものです。周辺を散策しながら伸び盛りの花や葉を写していきます。光が強くなったこの季節は、葉裏に透ける光の強さがまぶしく感じられ、ちょうどよい被写体になります。夏の黒白フィルム、これもまた良いものです。

それでは、今月始めに撮影した写真から掲載します。


Fujica ST605Ⅱ Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/500sec F8 Kodak Tri-X400
初夏になるとアメリカ楓が葉を大きく広げ、木陰は優しげな緑の光に包まれます。葉裏に透ける光が強い光をやわらげてくれて、一服の清涼剤になります。
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D.Zuiko 28mmF3.5(Olympus-Pen EE-3)

2016-06-17 06:50:06 | 国産レンズ
フィルム時代のペン。今ではディジタルのペンですが、ズイコーレンズの写りの良さは今も昔も同じ様な感じです。フィルム時代はハーフサイズのペンとフルサイズのOMシリーズがありましたが、ディジタルになるとマイクロフォーサーズと、ハーフサイズに近いフォーマットになっています。

やはりペンは縦型構図のハーフサイズ。これが身に染み付いていますので、なかなかディジタル機を買う気にならないといった感じです。実際に撮影してみると、あれ、などという感じで戸惑いながら撮影している感じが残ります。それにしても、昔のペンの描写能力は高く、印刷して鑑賞を行いたい気にさせる不思議なカメラです。

Dズイコー28mmF3.5は古い昔ながらのレンズですが、しっかりとした写りになります。コントラストもほどほどで、白飛びや黒つぶれになりにくい、トーンの勾配が緩やかな描写をします。解像感も良くてフィルムの粒度以上の解像力があります。このレンズでフルサイズならば、かなり良い画像になるのではという期待感もあります。

しかし、オリンパスペンに求めるものが解像力であるかというと、少し違うような気がしています。解像力であれば一眼レフ・カメラのほうが良いわけですし、フィルムでもディジタルでも同じ様な感じです。発色や解像力とは違った表現力をペンが持っているから、と考えることが出来ます。

では、何を求めているかということですが、その場の雰囲気という感じです。何しろハーフ・サイズのカメラですし、四つ切の引き伸ばしでは細かい部分のあらが見えてきて、隅々までプリントを見ていると面白くありません。少し離れたところからプリントを見ると、じわじわとその良さが判ってくるような気がします。

少し近寄らないと細かな部分が見えてこないという訳ではなく、線の太さの誇張もするレンズですから、離れた場所から見ていてもしっかりと主張すべきところが見えてきます。コントラストもはっきりと出てきますから、近寄って鑑賞するよりも少し離れて全体の雰囲気を堪能することが出来ます。

あまり細かな部分はつぶれて注目点から外れてしまい、主張すべきポイントが明確になってきます。これが雰囲気表現になってくると考えていますが、そこそこに引き伸ばしてプリントし、少し離れて鑑賞すると満足できる画になります。ちょうど人物の体一人分の範囲の情景を雰囲気満点で再現してくれる感じになります。この再現は一度体験すると病み付きになり、人物一人分の範囲に納まる情景を求めて撮影行を行うことになります。

月に一回は撮影したい気分にさせてくれるオリンパスペンですが、その場の雰囲気表現を求めて、これからも撮影を続けていくことになると思います。

それでは、今月始めに撮影した写真から掲載します。


Olympus-Pen EE-3 D.Zuiko 28mmF3.5
撮影データ:ISO400 Auto Fujicolor PRO400H
早めに咲き始めたたちあおいの花。すでに半分ほど咲いている感じですが、少し道の粗い面が勝ってしまって、たちあおいの花が強調できなかったところが残念なところです。
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