goo blog サービス終了のお知らせ 

あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

タクマーの写り

2023-04-25 06:51:28 | タクマー・レンズ

現代版D FAレンズを入手して、ひとしきり撮影して思う事は、やはり現代流の写りと言う事です。レンズ硝材の違いもあると思うのですが、コーティングやレンズ構成も大幅に見直されていますので、旧来タクマーとの違いもよく判る感じです。Mレンズからはツァイスとの技術提携も進みましたので、このあたりのレンズから現代流の写りに変わって行ったという感じです。

端的に表現すると里びの雰囲気という感じなのですが、どちらかというと抜けがあまりよくなくてもっさりとした写りと言う事になります。昔レンズは結構収差を残しているというか、かなり改善はされているけれどいくばくかは残っているという雰囲気になります。逆にこの雰囲気が微妙な味付けとして表現に使えますので、一概に悪いとも言い切れません。

良く撮影するのがネイチャーやお里の雰囲気と言う事になるのですが、どちらの被写体も新しいという雰囲気ではありません。俗にいう古ぼけた感じであって、侘びと寂の雰囲気が漂います。樹木や河原の土手もそれこそ何十年同じ形で存在していますので、少し古ぼけた雰囲気を醸し出しています。

この様な被写体をD FAレンズで撮影すると、何となく新しいような雰囲気になってしまう訳で、雰囲気が違った感じになってしまいます。これはペンタックスQ用のレンズでもいえることで、抜けの良い新しい雰囲気で写ってしまいますから、少し画像を古ぼけた雰囲気にしようとするとかなり難儀するという感じです。

青空と新雪の初々しい感じでは、殊更よく写ってくれるのですが、民家の軒先に吊るして干してある玉ねぎなどは、鮮やかに写ってしまって面白くないという感じです。やはり住み分けという感じで、新緑の季節や桜の花など鮮やかさを求める時にはD FAレンズがマッチしそうですし、秋の少し寂しげな雰囲気の時にはタクマーが似合いそうです。

タクマーで撮影するとうっすら里びの雰囲気になってくれる訳で、どぎつく変化すると言う訳ではないのですが、やはりこの描写は自然がいっぱいの石川県ですから、とてもマッチするという感じです。では、D FAレンズを使ったときに里びの雰囲気となると現像ソフトウエアの出番になるのですが、K-1には里びのモードが付いているという嬉しさが有ります。

それでも里びのモードはかなりきつく写りますので、少しマニュアルで彩度を持ち上げながら各色の増減度合いを少しフラットに持ってくる調整も必要というところです。いずれにしても現像ソフトウエアのテイストで作ってしまってありますので、殊更気にもならないのですが、現代レンズの完璧な写りに少々味わいの鼻薬を付けるという感じです。

その時の雰囲気を予想しながら、撮影行で持ち出すレンズを選べるというのは、ある意味贅沢なことかもしれません。現代版の抜けの良さや多少もっさり写りのタクマーを、被写体の雰囲気に合わせてチョイスできる訳で、面白いと言う訳です。今まではタクマーとQ用レンズと言う組み合わせでしたが、選択肢が増えて良かったという感じです。

それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。

PENTAX K-1 SMC Takumar 300mmF4

撮影データ:1/160sec F8 ISO200

暖かな日が多くなって、早くもとさみずきの花が満開になりました。結構早い満開という感じで、桜の花が咲きだすころには盛りを過ぎてしまう勢いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Super Takumar 105mmF2.8

2023-04-19 06:51:32 | タクマー・レンズ

D FAマクロレンズが手に入って、そればかりで撮影をしてきたのですが、マクロレンズ自体はマクロ域で解像度が出るように工夫されていますので、今のフローティング機構が付いたレンズでは柔らかな表現が苦手です。その点昔からのタクマーではマクロ域と中遠景域の住み分けをするようにレンズが設定されていましたので、何かと使いやすいと言う事になります。

105㎜中望遠レンズは、元祖タクマー時代から存在するという感じで、85㎜大口径中望遠レンズの補完をするような形で愛用されてきたと考えられます。85㎜大口径中望遠レンズはそれこそ高くてなかなか手が出せないのですが、少し暗くてもリーズナブルな中望遠レンズが欲しいという欲求は有りました。

このため、ツァイスでは85mmF2.8の少しかわいらしいレンズが販売されていましたし、ペンタックスさんも85㎜F2の小型化に特化したレンズを販売していたという感じです。やはり明るくすれば、レンズ玉自体が大きくなってしまいますので、小型にしたレンズで少しリーズナブルという発想も受け入れられたのっではないかと思います。

やはり85㎜大口径中望遠レンズは、大口径の利点を活かして圧縮効果と立体表現を重視した画作りが得意です。しかし、近接域では紙のように薄くなった被写界深度と戦う必要があって、手持ち撮影では微妙なピント外しを量産してしまう事になります。結構扱いが難しいのですが、絞り込んでしまうと柔らかな後ボケが固くなってしまって、面白くありません。

この為に同じような画角で少し暗いレンズが105㎜F2.8と言う事になります。圧縮効果もそれほど強くありませんし、F2.8と余裕のある設計ですから、85㎜ポートレイト・レンズに近い代替えレンズとして、かなり好評であったと思っています。近い焦点距離でベローズタクマー100mmF4やSMCマクロタクマー100㎜F4が有ったのですが、表現が全く違うレンズに仕上がっていますので、びっくりといった感じです。

このレンズがもてはやされていたのはペンタックスMレンズまでという感じで、この後ズームレンズが普及するにしたがって、標準ズーム・レンズの範囲にある単焦点レンズはきれいに無くなってしまいました。かなり残念な事なのですが、もう一度復刻レンズとして登場してもらえると嬉しいレンズの一つです。

85㎜ポートレイト・レンズに比べると、少し望遠寄りになって画角が狭くなるのですが、その分背景ボケが柔らかくなるのが嬉しい所です。柔らかな後ボケによって被写体が浮き上がるように表現できますから、マクロタクマーの表現が及ばなかった中景からの表現を見事にカバーしている訳で、見事に住み分けをしていると言う事になります。

季節は春を先取りしたような暖かさになって来て、梅の花もほころび始めました。これからは花の大きさが多少大きくなって集まって咲きますから、中景からの描写が上手いレンズも活躍できると言う事になります。加えて春の少し柔らかな表現を求めたいですから、今回の撮影行はスーパータクマーをチョイスしています。暖かくなってきた春を満喫するようにいろいろな花が咲いていますから、忙しい撮影行になってきました。

それでは、先月中旬に撮影した写真から掲載します。

PENTAX K-1 Super Takumar 105mmF2.8

撮影データ:1/400sec F5.6 ISO200

梅の開花ニュースが飛び込んできていますが、いよいよ実のなる梅の木も花を咲かせてきました。まだ一輪だけですが、来週には満開になっていて見応えがある雰囲気になりそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SMC Takumar 120mmF2.8

2022-12-25 06:50:16 | タクマー・レンズ

当初タクマーの設定焦点距離にはなかったレンズで、今ではペンタックスさんの面白焦点距離レンズとして、注目を集めている面白いレンズです。一時期は中古価格もかなり跳ね上がってしまって、入手が難しいというハンディキャップもありましたが、今では中古価格も少し落ち着いてきて、入手はしやすそうなのですが元来生産数も少ないレンズですから、あまり見つけられないといった感じです。

この焦点距離にした理由として、従来135㎜望遠レンズは、手持ち撮影するときに手振れとの戦いになるという宿命があったからということができます。この頃はフィルムしかなかったわけで、当然ながらレンズにもカメラにも手振れ補正機能はついていません。撮影が終わった後で引き伸ばしてみると、いっぱいぶれているところが見つかるわけで、がっかりという感じでした。

かといって105㎜F2.8のタクマーにすると、手振れは少なくなるのですがが核的に広い部分が写り込みますので、望遠レンズのダイナミックさには少々欠けるといった感じです。元来遠くの場所にある被写体をぐっと引き寄せるのが望遠レンズですから、少々物足りないといった感じで、手振れが少ない望遠レンズといった欲求も多かったであろうと思います。

良くぶれを起こしにくいシャッター速度ということも教えてもらって、焦点距離分の1秒のシャッター・スピードを切ることができれば、手振れは相当防げるという感じでした。昔のカメラのシャッタースピードは粗めに設定されていて、1/125秒の次は1/250秒という設定でしたので、1/125秒のシャッターが切れるレンズとして、120㎜レンズが浮上したのではないかと考えています。

この時に中判カメラを作っていたのもペンタックスさんであり、120㎜レンズというと35㎜判レンズでは珍しい存在なのですが、中判レンズとなるとそれなりメジャーで存在しているレンズもあるといった感じです。焦点距離にそれほどこだわりがない、ペンタックスさんだからこそ出来たレンズといえそうです。

135㎜と105㎜レンズの良い所取りをしたレンズでもあり、質感描写にも優れているレンズとして紹介されているのですが、F2.8と多少大口径化したおかげで収差の影響も出てきており、コントラストが幾分低めのレンズに仕上がっています。細かな部分まで描写するのですが、コントラストが多少低くてピントが合わせ辛い独特の癖を持っています。

製品を発表した時は、ユーザの頭の中に焦点距離の固定概念がありますので、最初の内はあまり目を向けてもらえなくて、相当に苦労したのではないかと思います。注目を集めたのが、後々のディジタル一眼レフが出来てからというのが、何ともかわいそうという感じで、M42レンズがまだ使えると注目が集まりだしてからですので、改良された後のMレンズが評価されているといった感じです。

12月に入っていよいよ雪と冬将軍の足音が近づいてきました。毎日雨かみぞれの思わしくない天候が続きます。丁度晴れ間が広がったのが土曜日で、昼から休みになりましたから近場をさっと回って撮影をしてきました。もう紅葉の葉がほとんどないような雰囲気ですが、少し離れた枝に実と紅葉残りの葉がありますので、120㎜レンズでもと持ち出しました。

SMCタクマー120㎜F2.8はコントラストが多少低いがために、絞り開放付近で撮影すると少し頼りない写りになってしまいます。背景は少し硬くなるのですがF5.6位まで絞り込むとコントラストが改善されてきりっとした写りになります。青空バックだからそれでも良いかという気持ちで撮影しましたが、ディジタル現像時にかなり雰囲気良く撮影できた結果を見て満足したという感じです。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。

PENTAX K-1 SMC Takumar 120mmF2.8

撮影データ:1/500sec F5.6 ISO100

アメリカ楓もきれいに葉が落ちてしまって、実が見えるようになりました。まだ茶色になりきらない実もあって、グラデーションが付いてきれいに見える感じです。雪が積もるときれいに落ちてしまいますので、今のうちに撮影しておきます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SMC Takumar 85mmF1.8

2022-12-15 06:50:11 | タクマー・レンズ

大口径中望遠レンズと言うよりは、ポートレイト用大口径レンズと呼ぶのがあっていそうな重厚なつくりです。またガラスの塊と呼ぶのが相応しいような、大きくて重い望遠レンズです。タクマー・レンズの中でもこの85㎜レンズは別格という感じで、中古価格も相当に高いある種の探す目標になっているレンズでも有ります。

しかし、昔ながらのタクマー・レンズですので、画質の点から判断すると現行のレンズの方がはるかに写りも良い訳で、敢えて昔のタクマーとこだわる必要もないような感じです。写りの点からいっても、同じM42レンズのツァイス・ゾナー85㎜F2.8の方がはっきりと写りますし、敢えてタクマーという感じにもならないのが悔しい所です。

タクマー・レンズの中古品を色々買いあさって行って、最後に残るのがこのレンズという感じで、さて買おうか、それともどうしようかと悩むのもこのレンズです。結局は少し難があるようなレンズを見付けて購入してしまう事になるのですが、このレンズも前玉に見えないような傷が付いていて、この為に破格の値付けがされていたものです。

目に見えないような傷ですから、当然ながら実写してもこれと言った気になる描写の癖は出てきません。ハロでも多めに出てくれば仕方がないという感じなのですが、得をした気分になって今でも常用していると言う事になります。しかし、大口径中望遠レンズは結構扱いにくいレンズでも有る訳で、今でも毎回挑戦者の気分になって使っています。

昔ながらの全群繰り出し式のレンズですから、遠景でも近寄ってもこれと言った主張が有りません。あくまでも率直な描写という感じで、被写界深度がかなり薄いレンズとして考えておかないと、微妙なピント外しを量産してしまいますし、かと言って絞り込んで撮影すると普通の中望遠レンズになってしまいます。

絞り解放では流石に解像度が不足しますので、ハロが薄く被るような感じで柔らかな雰囲気になります。しかしハロを嫌って絞り込むと、柔らかだった後ボケが急に硬くなって角ばりますから、立体感の表現の点からすると満足しないと言う事になります。結構気難しいレンズでも有りますから、背景ボケとハロの解消の両面から折衷点を探すと言う事になります。

色々絞りを変えながら撮影してみると、どうやらF2.8位で満足できる雰囲気になってくれる事が判ります。他の明るいレンズで絞り解放の値ですが、このSMCタクマーでは標準レンズ並みの明るさが有りますので、解像感もしっかり出ている写りを愉しむことが出来ると言う訳です。しかし、被写界深度はあまり深くなりませんので、ファインダー像をしっかりと確認して撮影すると言う事になります。

絞り込み量によって画像の調子が変わりますから、F2.8を中心にして、少し硬調に仕上げたい時には1クリック程絞り込み、柔らかい雰囲気に仕上げたい時には絞り解放付近での撮影という風に設定しています。あっという間に通り過ぎた秋ですが、まだ残る秋の雰囲気を撮影しようと出かけてきました。まだ少しは残っている訳で、トリミングしたような感じになる85㎜レンズで満足したという感じです。

それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。

PENTAX K-1 SMC Takumar 85mmF1.8

撮影データ:1/8000sec F2.8 ISO200

秋も深まってくると河原のススキがきれいに穂を膨らませて、海原のように見える時期になります。もっと多くあると見事なのですが、これでも結構見ごたえがあります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Super Takumar 150mmF4

2022-12-01 06:51:06 | タクマー・レンズ

中判レンズとすれば、よく見かける焦点距離のレンズなのですが、35㎜判カメラ用となるとあまり見かけないレンズでも有ります。ペンタックスさんの面白焦点距離レンズなのですが、ペンタックスSPの時代に生産が開始された、ある意味歴史の有るレンズです。Kマウント以降もMレンズまで続投しましたので、息の長いレンズでも有ります。

スーパータクマー時代に生産が開始されたのですが、前期型と呼ばれる最初期品で、画質上も思わしくないと思われた様子で、直ぐに後期型のレンズに変わって行く事になります。変更点は後玉径が大きくなっている事で、画質上も余裕を見る造りに変わってきています。この構成はSMCペンタックスレンズまで続きましたので、改良が功を奏したというレンズと言えるかもしれません。

最初期型のレンズは生産数もかなり少なかった様子で、中古市場でもめったに出てこない希少レンズです。しかし、後期型のレンズの方が画質的にも良いという印象ですので、いまだに前期型の希少レンズを入手するに至っていません。以降ずっとそのままのレンズ構成で、開放測光用のレバーが付加されて、Kマウント化もされたレンズです。

しかし、ペンタックスMシリーズの時に小型化の要求が出てきました。従来からの長細いひょろひょろとした外観から、小さく締まったレンズに変わります。この時にツァイスとの技術提携が進んでいますので、小さく明るくなってブラッシュ・アップしたと言う事になります。開発戦争の中を生き抜いた希少レンズと言う事も出来ます。

モノコートのタクマーですから、それほど逆光や斜光に強いとは言えません。このため、しっかりとフードを取り付けて、光線の射しこみ具合をよく見てレンズに迷光が入らないように気を付けます。コーティングが施されているという安心感は禁物で、順光重視で撮影を行うとしっかりとした画像を得ることが出来ると言う事になります。

スーパータクマーの写りは結構繊細で、細かな部分までしなやかに写し込みますから、SMCタクマーの力強さとは一線を画すという印象です。カメラの解像度を下げると細かな部分が一体化してつぶれてしまい、べたっとした印象になりますので、撮影後にコントラストを少し上げて、エッジを利かせる調整を行っておくと、べたっとした表現が抑えられると言う事になります。

長焦点距離のレンズですので、圧縮効果もかなり出てきます。加えてこのレンズは背景ボケもかなり柔らかくて、近接撮影を行ったときに背景が柔らかくボケてくれますから、立体感も綺麗に出せて仕上がりに満足できる感じです。200㎜レンズ程に前玉径を大きくしていない事により、収差の影響も少なくなっていて、逆光や斜光に気を付ければコントラストもそこそこ確保されたくっきりとした画になります。

週末の休日が、当初は雨の一日になっていたのですが、休みが近付くにつれて晴れの予報に変わって、当日は雲一つない絶好の撮影行日和になりました。しかし、替わりやすい秋の空という感じで、次週はあまり天候に恵まれないという予報になっています。今のうちにという感じで、撮影行に出掛けてきて良かったという感じで、深まりつつある秋の雰囲気を撮影してきました。

それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。

PENTAX K-1 Super Takumar 150mmF4

撮影データ:1/125sec F5.6 IS0 00

結構朝晩の気温が下がりましたので、アメリカ楓もそろそろ紅葉という感じです。まだまだ緑の葉が多いのですが、一斉に紅葉して落葉しますので、見つけた時に撮影します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする