タクマーの150㎜レンズは、流石に元祖タクマーでは見かけないのですが、スーパータクマーの初期から存在していた感じです。スーパータクマーのレンズでは初期型とその後SMCタクマーやSMCペンタックスレンズまで使われた後期型が存在します。105㎜レンズから150㎜レンズまでは、15㎜毎にレンズが設定されていますので、他社のレンズ設定ではあまり見かけないような印象です。
実際150㎜レンズを使うと、135㎜レンズでは少し物足りなかった画角も望遠レンズらしくなって、圧縮効果とボケ味もかなり良くなりますので、取り回しの良い望遠レンズとして使うことが出来ます。200㎜望遠レンズになると、どうしても大きさや重さが増えてしまって、加えて最短撮影距離も伸びますから、150㎜レンズがコンパクトな望遠レンズとして認知されていたような感じです。
SMCタクマー150㎜F4は、多少暗いながらも後ボケが柔らかくて、とても扱いやすい望遠レンズです。SMCバージョンになって多層コーティングが施されていますので、多少は逆光に強いのですが過信は禁物な発展途上のレンズです。最終バージョンとなるMレンズでは、コーティングとレンズ構成の改良が施されて現代流の写りになるのですが、タクマー150㎜も独特の味わいを持っていますので、色々取り換えて写しています。
レンズの構成自体は昔ながらの全群繰り出し式のレンズですから、収差の影響も多少出てきます。これが現代のズーム・レンズになると非球面や分散レンズを使ってくっきりとした画になるのですが、どうしても収差の影響から逃れる事は出来なくて多少柔らかい雰囲気に写ります。しかし、200㎜レンズ程に収差の影響を受けませんから、しっかりと絞り込んでレンズの中心部を使う様にすると、はっきりとした画になります。
今ではズーム・レンズの焦点域に入るレンズですから、150㎜望遠レンズも綺麗に淘汰されてしまったという感じです。しかし、タクマーからペンタックスMレンズに至るレンズは各々独特の個性を持っているという感じです。加えてクローズアップ・レンズとの相性が非常に良い事も隠された特徴です。とにかく昔のレンズは1本持っていれば色々な場面で使いたい訳で、さっと取り付けて望遠マクロレンズになりますから、結構便利です。
梅雨が長引くと思っていたら、梅雨末期のゲリラ豪雨に悩まされた後で、いきなり夏の天候になってしまいました。夏の陽射しは強くてコントラストも高くなりますから、SMCコーティングの施されたタクマーで撮影すると、すっきりとした画像になります。春と違ってパキパキの硬い雰囲気ですから、この季節はSMCタクマーがとても合うという感じです。
夏の撮影行は日中に行うと熱中症になりそうで、どうしても朝早い内かそれとも夜という感じになります。朝ご飯の前に少し歩き回って撮影してくるのが一番良いという感じで、歩き回る範囲は少し狭くなるのですが、その分夏に咲く草花は場所が限られていますので、狙いをつけて撮影してくるという感じです。
ひとしきり歩き回って、夏の花もこれからという感じで、梅雨時期の花がまだ咲いていますから、ヤブカンゾウやムラサキシキブなど、少し遅れましたが記録として残していきます。もう少しすれば色々な夏の花が強い日差しの下で咲き出しますので、楽しみにしながら待っているという感じです。
それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Takumar 150mmF4
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO200
夏真っ盛りの時に花を開くくずの花ですが、まだ咲いている花の数が少なくて、甘い香りはこれからという事になります。咲いている期間がかなり短くて、出会えたのはかなりラッキーという事になります。