廉価版レンズとして昔各メーカが販売していたF2の標準レンズですが、タクマーにもしっかりとあって55mmF2のレンズが存在します。他メーカの場合は少し小ぶりのレンズ・エレメントが付いて廉価版にするための努力がされているのですが、タクマーの場合は元から有る55mmF1.8のレンズ・エレメントと鏡胴をそのまま使っています。
廉価版とするにはコストダウンの要素が無くて、廉価版と呼べないような仕様になっている訳で、このレンズにF2にするための絞りリングが付加されています。絞りリングの付加だけでコストアップになるのですが、価格は廉価版と呼ばれる通り安い設定になっています。これだけの事を知っても何でこの様な事をするのか、少し不思議になります。
当時は輸出品にもかなり力を入れていましたので、このスーパータクマー55mmF2と合せるコストダウンされたカメラが存在します。それがペンタックスSP500で、シャッター・スピードが1/500秒までになっていますから、カメラの方でコストダウンを行ったという感じです。レンズ単体で販売はおそらくされていないと思われ、主に海外輸出用として販売されていました。
一部は国内でも販売されていましたので、国内用と輸出用の区別をつける必要があったと思われます。この時に刻印の色を少し変えて販売したのがこの黄文字のタクマーで、国内向けレンズはほんの少ししか生産されていないと思われるのですが、白文字のタクマーも存在するという感じです。カメラ屋さんの中古品棚にも滅多に並ばないSP500ですが、輸出されたカメラの数もあまり多くなかったように感じています。
オリジナルがスーパータクマー55㎜F1.8ですので、写りの雰囲気もオリジナルと全く同じです。普通はワン・クリック分くらい絞り込んで解像感を出しますから、撮影した結果は全く同じと言う事になります。何かと面白味に欠けるレンズなのですが、タクマー好きとすれば手元に置いておきたいレンズでも有りますから、無事コンプリート出来て良かったという満足感しか有りません。
持っていても、持っていなくてもあまり変わらないレンズですが、ワン・クリック分絞り込みますので、当然ながら解像感は向上します。つまり絞り解放でもあまり画像がふにゃふにゃにならない利点を持っていると言う事になります。このメリットは夜の飲み会などの記念写真で威力を発揮しそうで、写真を始めた方が、悔しい思いをしないように配慮していると言う事になります、
昨年は緊急入院をしてしまいましたが、周囲のケヤキや桜の木もすっかり落葉してしまって、物寂しげな雰囲気を醸し出しています。被写体がなかなか見つからないときは標準レンズが便利で、広角雰囲気や望遠雰囲気にもなりますから、見つけた被写体をすぐに撮影できるオール・ラウンド的な使い勝手が魅力です。
入院前の一時期は小春日和の雰囲気になりました。ぽかぽかと暖かくて撮影行も少し遠出がしたくなります。しかし、紅葉が過ぎてしまった感じで殺伐とした雰囲気になっています。久しぶりに持ち歩く55mmF2タクマーでしたが、絞り解放で少し被写界深度が深くなっていますから、撮影がサクサク進みます。久しぶりの暖かい日の光を堪能した1日になりました。
それでは、昨年暮れに撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 Super Takumar 55mmF2
撮影データ:1/4000sec F2.8 ISO200
長く緑の葉をつけていた蝋梅の木も、雪が降るようになると紅葉して葉を散らせます。今年は裏年の雰囲気が漂う蝋梅ですが、それでもしっかりとつぼみをつけていますので、今後に期待というところです。昨年は落雪で枝が折れてしまい、少し寂しい雰囲気になっています。