メーカ製レンズの中で、注目されて長期間製造されているレンズも多いのですが、あまり注目もされないのだけれど長期間製造されているレンズがあります。スーパータクマーの時代から綿々と製造されているレンズが、このSMCペンタックスM150mmF3.5で、その後はズーム・レンズに飲まれて姿を消してしまいましたが、長期間生産されていたレンズです。
元来F4の少し暗いレンズだったのですが、少しずつ改良が施されていてMレンズではF3.5と、少し明るくなっています。同時に小型化も行われていて135㎜F3.5のタクマーよりも少し小さくなって取り回しの良さが売りのレンズです。しかし、この時代にはすでにズーム・レンズが幅を利かせてきていますので、小型になったとはいえ単焦点のレンズはかなり疎まれたのではないかと思います。
フードは内蔵されていて便利になっているのですが、やはりコントラスト低下が少し見られるなど非力なフードでもあります。このため、タクマー時代のフードを取り付けると格好も性能も良くなって満足できると言う事になります。35㎜判カメラ用の150㎜の単焦点レンズは結構珍しくて、自身もフードの記述を見て存在に気付き、色々探して購入したという次第です。
これが中判カメラになると、150㎜の焦点距離は35㎜判換算で80㎜相当と、ポートレイト・レンズの範疇に入ります。このため150㎜望遠レンズは結構メジャーな存在で、色々なメーカがライン・アップに入れていると言う事になります。ペンタックスさんは中判カメラも製作していますので、150㎜レンズが35㎜判カメラ用として、ライン・アップの中に入ったとしても不思議ではありません。
また、Mレンズまでの間は非球面レンズや分散レンズという考えが少なかったのも、150㎜レンズが存在している理由になっていると考えています。何しろ200㎜レンズとなると収差との戦いになるわけで、コントラスト低下や収差フレアが良く出てくるようになります。では、収差の影響が少ないレンズと言う事になると、もう少し焦点距離を短くして前玉を少し小さくしないといけない感じです。
135㎜レンズよりも少し望遠で、収差の影響を受けにくいレンズと言う事になると、150㎜レンズの価値があったのではないかと思います。なるべく絞り解放からにじみが少なくなるようにと、F4の暗さになってスタートしたと言う事になります。現代では非球面レンズも分散レンズも有りますので、200㎜以上のレンズもしっかりとした画になってくれるのですが、当時とすれば収差の影響を受けにくい、最大の焦点距離を持つ望遠レンズという位置付けであったと思います。
大寒の季節に入ると雪だらけで寒いと思っていましたら、晴れの日が多くなってきてあまり雪も降らず、撮影行に出掛けられるようになってきました。コロナ禍の中でも外歩きはやはり気持ちが良いものです。まだ春一番の花は咲きだしていないのですが、少し遅めに咲きだした蝋梅の花や、膨らんだつぼみは結構被写体になってくれます。
少し短くて、望遠レンズを持っていないような気持ちにさせてくれる面白いレンズなのですが、反面手振れも心配ですから慎重にホールドして撮影を行っていきます。少し寒いとはいえ日が射すと暖かな陽光で、春の訪れを実感させてくれる休日になりました。
それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Pentax-M 150mmF3.5
撮影データ:1/640sec F5.6 ISO400
もうそろそろと思っていたら、かなり遅れて早咲きのマンサクが咲き始めていました。例年より2週間ほど遅そうで、これでやっと春が来るという感じです。