春の花どころか、今年の5月は初夏の花までも一斉に咲いてしまって、もう梅雨に入るという6月初旬には見応えのある花が無くなってしまいました。これから夏の花が咲き誇るまでの間はアジサイの花になるのですが、もうすでに準備完了という感じで、少しずつ色付いてきています。梅雨の蒸し暑さの中で花を開き始めるタチアオイも、準備完了といういでたちで、今にも咲きそうな勢いです。
一時的に花の少なくなる季節なのですが、この時期になると黒白フィルムと言った感じで、風景も含めたオブジェクトを撮影したくなります。何しろ色が余り無いのが構造物という感じで、橋や川の土手、そして石組みなど普段あまり気付かない部分に兎角目が行くようになります。改めて別視点で観察すると面白いという感じで、色々見て回ります。
持ち出したSMCペンタックスM35㎜F2も、従来タクマーからかなりブラッシュ・アップされて、どちらかというと昔の出目金フレクトゴンに似たようないで立ちになっています。同時にこのレンズからトリウムレンズを卒業したという感じで、ガイガー・カウンターで測定しても放射線は検出されません。
大きさがSMCタクマー35㎜F2より幾分小さいかなという位で、ノン・トリウムのレンズを使って少し大きめなレンズになるのですが、今までよりもほんの少し小さい程度に収めた事は流石という気持ちです。かといって、旧来タクマーのように無理をしていない感じで、柔らかな後ボケとボケ変形の少ない描写が特徴です。
このレンズの描写を見ていると、おそらく原型ではないかと思われるフレクトゴン35㎜F2.4の描写と似ている事に気が付きます。質感の描写が上手くて食べ物がおいしく見える優秀レンズなのですが、このSMCペンタックスM35㎜F2は、ほんの少し味付けが違っている感じで、ドイツ系レンズに多い彩度が高い描写よりは、少し落ち着いた色合いになっています。
フレクトゴンにしようかMレンズにしようか迷ったのですが、Mレンズの方が少し力強く描写してくれる期待感から、黒白フィルムと併せて使う事にしました。早速黒白フィルム撮影のために準備を行う事にします。この際ですから定着液も新調しようと新たに液を調合して、2日間ほど寝かせておきました。やはり作ってすぐに使うと定着むらが起きてしまったりしますので、2日間ほどなじませるという具合です。
少し絞り込んでキリッと写し込みたいですから、今回はローライのスーパーパン200を使用することにします。粒度を確保するためにISO100感度で撮影するのですが、この時期は光量も十分に確保できますので、少し曇りの天気でも大丈夫といった感が有ります。小一時間ほど歩き回って、風景を含めたオブジェクトを撮影していくのですが、じっくりと被写体を探しながら撮影しますので、帰ってきた家の前で最後のカットが撮影できた感じです。
帰ってからは早速現像とスキャニングですが、今回はバルクフィルムではありませんのでフィルムの反りが多少気になります。このためフィルムスキャナの代わりにK-5とスライドデジコピアを付けて撮影します。ネガをセットするホルダーもきっちり4辺を押さえますので、反りによる微妙なピンボケが無くなって好都合でした。
今ではネガポジ変換も現像ソフトウエアで行えて、大変便利といった感が有ります。久しぶりのフルサイズ撮影のスキャニングでしたが、上手く行えてよかったという感じです。
それでは先月初めに撮影した写真から掲載します。
Asahi Pentax ME SMC Pentax-M 35mmF2
撮影データ:1/125sec F5.6 Rollei Superpan200(ISO100)
ローライのスーパーパン200は、かなりコントラストが高いフィルムですが、その分力強さも出してくれて、空の雲もしっかり描写してくれる面白いフィルムです。