ペンタックスQに、ちょうどおあつらえ向けの標準レンズです。ペンタックスQシリーズが、昔のオート110を基に作られていますので、そのカメラに合わせる意気込みで作られたのがこのレンズでもあります。このレンズが基本となって色々なレンズが作られていったわけで、製作ナンバーも01となっています。
このレンズがペンタックスQのキット・レンズになったかというと、高級な位置付けでもあったがために次に作られたスタンダード・ズームがその役割を果たしています。昔からのユーザは標準単焦点レンズにこだわりを持って使っていますので、このレンズは昔のタクマー55㎜F1.8と重ね合わせるようにして見られたという事になると思います。
という事になると、しっかりした画質再現と線の細い描写が求められるという事になり、レンズの構成枚数は多くなるのですが、現代流の分散レンズと非球面レンズを使ってリメイクされたという事になります。明るくて収差も少なくなるように設計されていますので、現代流のはっきりとした写りの中に、ペンタックスさんの柔らかさを兼ね備えた感じです。
ペンタックスQ7になってセンサー・サイズが多少大きくなりましたので、画角的には40㎜相当とスナップ撮影にちょうど良い範囲になりました。フィルムカメラの35㎜レンズと55㎜レンズの間位の画角ですから、街中のスナップ撮影とすればかなり使えるという感じです。さっと持ち出して使える雰囲気ですし、レンズ自体が出しゃばりませんのでイージー・ライクに使えます。
これだけ良いレンズに仕上がっているのですが、センサー・サイズが小さくなっているメリットもあって、昔のようなすっしり・ぼてぼての重量級レンズにはなりません。レンズ自体が小さいのでなせる大きさという訳で、軽くて小さいレンズに仕上がっています。昔ながらの標準レンズと考えてしまうと少し物足りない印象ですが、装着するカメラがペンタックスQですから、ちょうどよいつり合いになります。
加えてそこそこマクロ撮影も楽しめるのも、このレンズの特徴です。かなり寄れるのですが、オート・フォーカスに頼りすぎてしまうと、近接撮影時のピント外しが多くなります。面倒くさくてもオート・フォーカスでピントを合わせた後で、ピントリングを回しながらピント一の追い込みをすることは必須という事になります。フォーカスエイドをしっかりと使って合わせこむ事が必要です。
何しろ一眼レフ・カメラでは、光学ファインダーでピント位置を簡単に把握できますので、TFT液晶画面でピント合わせを行うとなると、不慣れなこともあってかなり難儀します。マクロ撮影というときにはしっかりと時間をかけて、1カットに十分時間をかけて撮影するといった感じで、かなり慎重に撮影するという事になります。
それでも、コンパクト・ディジタルカメラと同じような大きさで、コンパクトカメラよりも画質が良い訳ですから、天候が思わしくないときの撮影行には威力を発揮するという感じです。昨年暮れのクリスマス寒波以来、ずっと毎日何かしら雨か雪のぐずついた天気が続いていますので、ペンタックスQ7とスタンダード・プライムの組み合わせで、晴れ間が出たときにさっと撮影が行えたという事になります。
新年になってそろそろ咲き出すかと期待している蝋梅も、つぼみがかなり膨らんできていよいよという感じなのですが、まだ咲き出してきません。昨年は晩秋ごろまで暖かな日が続きましたから、落葉も遅くなってしまってさもありなんといった感じなのですが、桜の木は休眠打破の寒さにどうやら逢った様子で、少しずつつぼみが膨らんで春への歩みを進めた様子です。お正月休みは色々と発見ができた休日になりそうです。
それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。
PENTAX Q7 Standard Prime 8.5mmF1.9
撮影データ:1/60sec F5.6 ISO250
雪が降るころまで、つげの木が黒々とした実をつけている感じです。この後徐々に実が落ちて、雪解けごろにはきれいになくなってしまいます。