タクマーの時代から綿々と作られている135㎜キット・レンズで、これと55㎜標準レンズの組み合わせで持っていると、おおよそすべてのシーンが撮影できるという事になります。一番良く売れたレンズと言う事も出来て、押し入れや防湿庫の中を探せば1本くらいは出てくるだろうと思わせてくれるレンズです。
タクマー時代はF3.5の少し暗いレンズだったのですが、Mレンズになってレンズ構成の最適化が進むと、鏡胴長がかなり短くなっていき、これなら一般135㎜レンズのようにF2.8まで明るくなるのではと考えていましたら、F3.5の従来通りの明るさでリリースされたレンズです。確かに鏡胴長は短くなっているのですが、レンズの曲率をかなりきつくしてあるみたいで、旧来タクマーよりも収差の影響が出そうな印象です。
Mレンズからは望遠ズーム・レンズも出てきましたので、ズーム範囲内にある単焦点レンズへの希求感が徐々に無くなって行ったというのが、レンズ開発の流れであろうと考えています。この流れで過去からキット・レンズとして名を馳せた135㎜単焦点レンズはきれいに無くなって行ったと言う事になります。
135㎜普及型望遠レンズが消えてしまうのが、なんとも寂しいといった感じだったのですが、ズーム・レンズへ興味が移ってしまって、その後はこれらの135㎜レンズが破格でたたき売りされていたのがなんとも寂しい感じです。一時期はキット・レンズとして隆盛を見た感じのレンズだったのですが、一気に無くなってしまいました。
このSMCペンタックスM135mmF3.5が、135㎜普及型単焦点レンズの最終バージョンと言う事になりそうですが、残念ながら画質の方は思った程高いと言う訳ではありません。昔のタクマーは少し暗くて余裕を持った設計のおかげで解像感が出ていた訳なのですが、コンパクト化のおかげで収差が目立つようになってしまって、絞り解放ではなんとも頼りない雰囲気になります。
それならばとF7位まで絞り込むと解像感は出てくるのですが、背景ボケがかなり固くなってしまって面白くないといった感じになります。F5.6位ではまだ解像感が高くありませんので、少し歯がゆい雰囲気のするレンズという感じです。旧来タクマーはその点良く出来ていたと思わせてくれる訳で、このレンズを使うとタクマーに替えたくなると言う訳です。
鏡胴長がかなり短くなったのがこのレンズの特徴で、タクマーの105㎜レンズと同じくらいの長さになっています。短い鏡胴長で135㎜望遠レンズですから、しっかりとレンズをホールドして撮影しない事には微ぶれを量産してしまうという感じになります。思ったよりも手ごわいというレンズで、写真撮影の基本を改めて教えてくれるレンズとも言えそうです。
節分の時期になって、ようやく寒気も去ってくれたという時期になり、いよいよ春の撮影行といった感じになってきました。しかし、今回の強烈寒波のおかげで暖かくなったとはいえ冬の雰囲気が色濃く残っています。被写体が少なくなってしまったのですが、残雪の雰囲気や膨らみ始めた木の芽を撮影しながら撮影行が進んでいったと言う事になります。もうそろそろ春の足音が聞こえてきて、少しは安堵したという感じです。
それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Pentax-M 135mmF3.5
撮影データ:1/1600sec F7 ISO100
寒波も過ぎて、雪に埋もれていた畑のネギも、徐々に顔を見せてきました。暖かな春の日射しが降り注ぐ日が多くなりましたので、いよいよ春といった感じです。