100㎜マクロレンズやベローズタクマーと住み分ける形で、ずっとコンビを組むように生産されてきた100㎜中望遠レンズなのですが、実際にマクロ域を外れた景色の撮影はマクロタクマーやベローズタクマーが苦手と言う訳で、見事に補完の役割を果たしてくれたレンズです。今更ながらに残って欲しかったレンズなのですが、今はもう生産されていません。
丁度Mレンズの時から標準ズームレンズが発売されていますので、ズームレンズの方が扱いが良くて便利ですから、どんどん単焦点レンズからの置換が進んでいって、Mレンズまで生き延びていた単焦点レンズはその後綺麗に無くなってしまいました。言ってみれば最後の単焦点レンズと言えるのがこのMレンズでも有る訳で、思い入れが深いという感じです。
そして、オート・フォーカスのFAレンズが出てくると、マクロレンズの100㎜と50㎜はフローティング機能を持つようになって、従来から続いていた100㎜中望遠レンズとの住み分けが必要とされなくなりました。つまり100㎜中望遠レンズの役割をマクロレンズが出来るようになってしまいましたから、あまり存在価値を見出せなくなってしまった事が背景にあります。
最近ではズームレンズにマクロ機能が搭載されている事も珍しくは有りませんので、逆にマクロレンズ自体の希求感も減ってきたという感じです。とにかくオールイン・ワンの世界になってしまった訳ですが、この時代になって餅は餅屋という意思で作られたレンズは、写りの個性も有って結果に満足できるという感じです。
このSMCペンタックスM100㎜F2.8のレンズも、古くはタクマーの105㎜レンズからスタートしているのですが、綿々と改良が施されていった息の長いレンズと言う事が出来ます。最終バージョンとなってしまったレンズなのですが、小型化のためにいろいろと改良が加えられて、この頃進んでいたツアイスとの連携も上手く機能したレンズと言えそうです。
旧来タクマーの時代は少し柔らかな描写がウリだったのですが、Mレンズからはコントラストもかなり改善されて、かなり締まった画像になりました。ボケ味は旧来タクマーの味わいを引き継いでいるようで、ある意味85㎜中望遠レンズの代役も務められそうなしっかりした写りになっています。
このレンズの後は、標準ズームレンズとマクロレンズが引き継いでいくと言う事になるのですが、ズームレンズとマクロレンズ共に後ボケの柔らかさがなかなか出せなくて、ある意味割り切って作られているこのような単焦点レンズが欲しくなる時も有ります。やはりこの希求感はペンタックスさんのリミテッドレンズに継承されているようで、面白焦点距離のレンズですが今後手に入れてみたいと思わせてくれるレンズです。
春分の日を境にして、どうやら季節は春に向っていく様子ですから、これでスノータイヤも交換と、朝の内に一仕事を行い昼からは春を満喫する撮影行に出掛けました。先週咲き始めていた梅の花ももう満開といった具合で、後は桜の開花という気持ちなのですが、桜の開花も早まりそうな予報が出ていますので、ぽかぽかと暖かな陽気を満喫しながら撮影してきたという感じです。
それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Pentax-M 100mmF2.8
撮影データ:1/80sec F5.6 ISO100
暖かくなってきて、サカキの花も満開になりました。梅の花が咲き始めるとサカキの花も咲きだしますので、春爛漫を告げてくれる花という感じです。