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カンパの電動コンポと、シマノの電動フルAT

2011-10-31 23:48:51 | シマノ製品調査
今日もチャリ通、40km。少しチャリ通を休んでいたので、体が重い。まぁ、そのうち良くなるサ。


仕事ネタ…ではないな。

エンジニアにとって、特許検索は大事な仕事の一つ。最新の特許情報より、他社の開発動向を知ることができます。

オイラの担当製品の部品の一部に「スプロケット」があります。このスプロケットで検索をかけると、自転車のスプロケットも多数ヒットしちゃうんです。
通常、そんな仕事とは関係ない自転車特許は無視するのですが、今日はちょっと気になるカンパの特許があったので、調べてみました。(←ヒマか?)


特開平08-332990:【解決手段】自転車用の電子制御変速装置に自動動作モードを取り付け、これに、速度比の増加或いは減少に対するサイクリストの要求に応じて、システム自体がペダルの回転毎に自転車が進行する距離に亘り漸次的増加或いは減少を生じさせるのに最適な前部のクラウンホイールと後部のスプロケットの組み合わせを自動的に選択させるようにする。


つまり、カンパの「電動コンポのフルAT特許」です。

今まで、シマノの電動コンポが、なぜ「手動シフトだけ」なのか、疑問に持っていました。
フライトデッキでシフト位置は分かっており、ケイデンスも速度も分かっている。…あとは、最適なギアに「自動的に変速する」だけじゃないですか。
ロードバイクの場合のフルATには議論があると思いますが、ママチャリがフルATになることを歓迎する人は多いのではないでしょうか?


なので(多分)シマノが、この特許を潰しに掛かってます。
1996年から13年もの長い抗争の末に(不服審判までしてる)、見事に2008年末に潰すことに成功しています。(拒絶確定)


…が、カンパも諦めません。この特許からの優先権出願で、以下の特許に切り分けしています。


特開2008-285165:【解決手段】自転車用の電子制御変速装置に自動動作モードを取り付け、これに、速度比の増加或いは減少に対するサイクリストの要求に応じて、システム自体がペダルの回転毎に自転車が進行する距離に亘り漸次的増加或いは減少を生じさせるのに最適な前部のクラウンホイールと後部のスプロケットの組み合わせを自動的に選択させるようにする。


…一字一句、まったく一緒やん(クレームを変えただけか?)。
この特許も、今年の4月に拒絶をくらってますが、(他の特許を見ても)んなことで諦めるカンパじゃありません。このまま、補正だ、審判だで、グダグダ戦に持ち込むのでしょう。よしんば、また優先権出願を使うかもしれません。(←よく使われる手だが)


つまり、こんだけ見事な特許戦略を展開させていると、「電動コンポのフルATは、カンパ以外のメーカから出ることは、当分ないでしょう」が結論です。


じゃあ、カンパの電動コンポはどうなったかと言うと…、2010年の発表以来、ぜんぜん話を聞かなくなっちゃいました。
こっちはこっちで、シマノの電動コンポの特許対策に苦心して、出せないとか…。

特許件数だけで見ると、カンパ:181件(出願)に対し、シマノ:4000件以上(釣具も含むが)と、国内特許では圧倒的な差ですが、カンパのどの特許にも激しい抵抗の跡が見られ、決して負けている訳ではなさそうです。

どうやら、シマノとカンパ、両者とも特許で歩み寄る気は、さらさらなさそうです。
つまり、このままいくと、「カンパの電動コンポは発売されない」「電動コンポのフルATも発売できない」となるのでしょうか。


自転車コンポ業界の争いも激しいようです。今度はスラムの動向も調べてみようかしら。(←仕事しようよ)


今日はここまで