新自由主義経済が終わりを告げ、新たなる局面に世界は突入している。
それはなにか?
著者は、シュンペーターに倣って資本主義からの「社会主義」化と呼ぶ(それが資本主義の「変異」)。
実際、アメリカのバイデン政権は大きな政府に大胆に舵を切り、「静かなる革命」を成し遂げようとしつつある。
地政学的には、中国の台頭によって、また現在進行形のトピックとしては「コロナ」によって、各国は財政出動を拡大し、政府が経済に多大な影響を及ぼす社会が到来しようとしている。
そこに立ち現れてくるのは、一種の計画経済のごときものである。
著者はまた「階級」についても言及する。
それは、かつての資本家vs.労働者ではなく、現在の社会構造においては「金融階級」vs.「労働者階級」であるという。
そして、肥大化しすぎた金融階級の「パワー」を弱め、労働者階級がもっと力を持つように政策誘導することが肝要だと説く。
保守の論客が階級対立を語り、労働者の復権を説くというのは一見矛盾しているようにも思える。
しかし、その論説の結構は非常に説得的で、学ぶところ大であった。