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2017衆院選 安倍に告ぐ 加計・森友学園問題 解明せねば政治の信頼失われる(愛媛新聞)

2017-10-20 | Weblog

約束を守る政治家か政党かどうかを見極めなければならない

今回の衆院解散には、多くの国民が今も疑問を感じているはずだ。加計・森友学園問題で、安倍晋三首相は「真摯(しんし)に説明責任を果たす」と言ったにもかかわらず、臨時国会で審議もせず冒頭解散した。問題の核心は、首相や周辺の人々と近しい人物が優遇され、公平公正な行政がゆがめられたのではないかという点にある。民主主義の根幹が問われており、疑惑は必ず解明されなければならない。

 今治市への獣医学部新設の事業者に決まった加計学園は、首相の「腹心の友」が理事長を務める。新設を巡る省庁の文書に「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」との記載があり、官邸や官僚が首相の意向を忖度(そんたく)し「『加計ありき』で手続きが進んだのではないか」との疑いが噴出した。

 疑惑は、獣医師確保や新学部の必要性とは分けて考える必要がある。首相は、事業者決定に「私が関与したという人は一人もいない」と強調するが、関与が疑われる議員や官僚は「記録も、記憶もない」を繰り返すだけ。記録を示さないことには、説得力を持ち得ない。関係記録を残す今治市や愛媛県も、疑惑を抱えたままの開学を避けるために、また行政の透明化を図る観点からも、自ら記録を公開する責務がある。

 首相は「選挙はまさに民主主義における最大の論戦の場だ」と言いつつ、選挙戦では問題にほとんど触れていない。本紙の県内候補14人へのアンケートでは、獣医学部新設決定のプロセスに関して「透明」「不透明」「その他」から回答を求めたところ、「透明」はゼロ。自民党は4人とも「その他」とし「政府説明が国民の誤解や不信を招いた」「丁寧に説明を尽くすべきだ」などと指摘した。身内からすら出る疑問や注文を、首相は重く受け止める必要がある。

 野党は「獣医学部設置に関する情報は全て公開」「国政調査権を使った真相究明を求める」と公約に掲げる。政府が隠す疑惑の解明に、全力を挙げなければならない。野党の存在意義も問われている。

 国有地が格安で売却された森友学園問題では、財務省局長は「売却価格は適正」と強弁し、交渉記録の文書を求められると「破棄した」と突っぱねた。学園が開設する予定だった小学校名誉校長には、首相夫人が一時就任しており、加計学園と同様に政治の強い関与が疑われる。首相がなすべきは、行政府のトップとして、関連資料を財務省に出させることだ。

 首相は、疑惑に「信なくば立たず」「李下に冠を正さず」との言葉を引き反省の意を示したが、実行しているとは到底言えない。9月の共同通信世論調査でも、79%が政府の説明に納得していないと答えた。信頼は、全ての政治家が最も重視すべき資質である。有権者は聞こえのいい訴えだけではなく、約束を守る政治家か、政党かどうかを見極めなければならない。


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