明治時代から数えて48回目の今回衆院選は、18、19歳の未成年が初めて政権を選ぶ選挙になる。
どういう国になってほしいか。将来の暮らしや地域の安心、安全をどう描くか。それぞれ考えを巡らせ、1票を投じてほしい。
昨年6月、選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。70年ぶりに参政権を拡大する歴史的改正だった。有権者の広がりは政治への民意の反映を豊かにし、民主主義を前進させる。
18歳選挙権は昨年夏の参院選から適用され、全国で約240万人が有権者に加わった。現役高校生も投票できるとあって話題にもなったが、その結果は、20代をはじめ常態化して久しい若者の政治離れの現実をあらわにした。
18、19歳の合計の選挙区投票率は全国平均で46・78%と50%を割り込み、全体の投票率54・70%を下回った。高知県はさらに低い30・93%にとどまり、県全体の投票率45・52%とともに全国最下位に沈んだ。
地方より都市部の投票率が高い傾向が見られたことから、地方に住民票を残し、都市圏に進学や就職で転居した若者が投票しなかったケースなどが要因に挙げられた。本県は徳島と初の「合区」選挙で、県出身候補がいなかったことも重なり、関心の低迷を招いたようだ。
だが、若者を遠ざけているのは、政治への日常的な関心や期待の低さが根底にあるとみるべきだ。投票率の低落傾向が続く大人たちが範を示せていない状況もある。
防災から高校・大学の授業料、医療費、年金・介護さらに外交・防衛まで、その在り方や予算の配分、個人の負担をどうするか―。衆院選は有権者がその役割を託す政党、候補者を選び、多数派が国の針路づくりを担う政権に就く。主権者が政権の形を決める選挙である。
自分たちのことは自分たちで決めるという、民主主義の意義を広く将来世代にどう根付かせていくか。18歳選挙権の導入は「主権者とは」を学校現場で学ぶ機会を広げた。政治課題を巡る討論や模擬投票など、主権者教育が活発に取り入れられるようになった。
昨年参院選では18歳の投票率が19歳より高い傾向が見られた。本県でも主権者育成の研究指定校で学んだ高校3年生の6~7割が投票したという。主権者教育の成果といえ、幅広い浸透を期待したい。
国会では国民の多くが不安を抱く法律や制度を政権が押し切り、強引に成立させる場面が目立つ。政権を監視し、歯止め役を託された野党の存在価値も問われる。
政治への不信もあろう。かといって選挙権を放棄しては何も変えられない。考えられる限り、ベストの投票先が見当たらなければベターでいい。選挙後に選択を誤ったと思ったら、次の選挙で修正できる。選挙権は幸福探しの権利でもある。
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