無効判決
記事朝日:民法の相続規定、婚外子差別は違憲・無効 最高裁大法廷
2013/9/4
遺産相続の際、結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の取り分を、結婚した男女の子(婚内子)の半分とする民法の規定について、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)は8月4日、「法の下の平等を定めた憲法に違反しており、無効」との判断を示した。
最高裁が法律を違憲と判断するのは、9例目。社会や家族の根本を定めた民法が対象となったのは今回が初めてとなる。国会は早期の民法改正を迫られる。
問題の規定は「婚外子の相続分は婚内子の半分」とする、民法900条4号ただし書き。1995年、大法廷が「婚内子の立場を尊重するとともに、婚外子を保護するもので、合理的な理由のない差別とはいえない」と合憲判断を示していた。
この規定は1898(明治31)年施行の明治民法に盛り込まれ、戦後の現行民法にも引き継がれて、115年間続いてきた。
「出生による差別だ」との批判が絶えず、1996年には法相の諮問機関の法制審議会が「相続分は同等」とする民法改正案を答申した。しかし「不倫を助長する」などと保守系議員からの反発が相次ぎ、歴代内閣は一度も改正法案を提出できていない。
海外では欧米諸国に加え、アジアでも差別解消が進み、95年の大法廷決定以降、日本は国連の人権機関から、10回にわたって差別解消を求める勧告を出されてきた。
今回の違憲判断は、(1)01年7月に死亡した東京都の男性(2)01年11月に死亡した和歌山県の男性――の遺産分割をめぐる家事審判の決定のなかで示された。
男性にはそれぞれ婚内子と婚外子がいる。一、二審は判例に従って規定を合憲としたため、婚外子側が同等の取り分を求めて最高裁に特別抗告。規定が違憲かどうかが争われていた。最高裁は、通常の小法廷での審理ではなく、法律を違憲とする際に必要な大法廷での審理を進めていた。
提訴中
(vs 衆院遷)
更新:最高裁 “1票の格差”で年内判決へ
選挙区ごとの1票の価値に、最大で2.43倍の格差があった去年12月の衆議院選挙に対しては、弁護士などの2つのグループが、選挙の無効を求める訴えを全国の高等裁判所に起こしました。
合わせて14件で「憲法違反」の判断が示され、このうち2件では「選挙無効」の判決が出ています。一連の裁判について最高裁判所大法廷は、来月23日に、双方の主張を聞く弁論を開くことを決めました。
この結果、判決は年内に言い渡される見通しとなりました。
最高裁大法廷は、おととし、4年前の衆議院選挙を「違憲状態」と判断していますが、去年の衆議院選挙もこのときと同じ区割りのままで行われたことから、大法廷が今回さらに踏み込んで、「憲法違反」の判断を示すかどうか注目されます。
(vs 参院遷)
記事毎日:参院選:「1票の格差は違憲」全国で提訴 最大4.77倍
2013/7/22
21日に投開票された参院選で選挙区間の「1票の格差」が最大4.77倍になったのは憲法違反だとして、弁護士グループが22日、全選挙区の選挙無効を求める47件の訴訟を全国8高裁と6高裁支部に起こした。無効請求訴訟に関して公職選挙法は「100日以内の判決」を努力目標に掲げており、早ければ秋にも各地で判決が言い渡される。その後、最高裁が統一判断を示すとみられる。
提訴したのは、有識者らでつくる「一人一票実現国民会議」を率いる升永英俊弁護士のグループ。これとは別に、約40年間にわたって選挙無効請求訴訟に取り組んできた山口邦明弁護士のグループも22日午前、広島選挙区の無効を求めて広島高裁に提訴しており、近く東京高裁にも同様の訴えを起こす。
参院選を巡っては、最高裁大法廷が昨年10月の判決で、格差が最大5.00倍の2010年選挙を「違憲状態」と判断。今回は定数を「4増4減」する改正公選法が適用されたものの、議員1人当たりの有権者数が最多の北海道と最少の鳥取では4.77倍の格差があった。升永弁護士らは「憲法は1人1票の人口比例選挙を求めている」と訴えている。
参院は、衆院より少ない定数を47都道府県に割り振る上、3年ごとに半数を改選するため、衆院選よりも格差が生じやすい。最高裁は、衆院では格差が3倍未満でも「違憲状態」と判断したケースがあるのに対し、参院については独自性維持の観点から寛容に判断してきた。だが、昨年10月の大法廷判決は▽憲法による投票価値の平等の要請が(衆院選より)後退してよい理由は見いだしがたい▽選挙区を都道府県単位にしなければならない憲法上の要請はない−−と踏み込んだ判断を示した。
◇
「裁判所が選挙無効の判決を出せるようにするためだ」。22日午後、東京都内で記者会見した升永弁護士は、初めて全選挙区の選挙無効を求めて一斉提訴した理由をそう説明した。
これまでは裁判所が選挙を違憲と判断しても、無効とした場合の混乱を考慮して「選挙自体は有効」と判断するケースがほとんどだった。
升永弁護士は「裁判所が違憲でも無効としないのは、(無効にすれば)提訴されなかった選挙区の議員のみで区割り見直しを行うことになり、不公平が生じるから。
だが、全選挙区で訴訟を起こせばその必要もなくなる」との見解を示した。
グループの伊藤真弁護士は国会での憲法改正論議に触れ「(改正の是非は別としても)まずは『憲法を守れ』と言いたい」と指摘した。
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