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ため息 上がる固定金利に下がる資産価値 「こんな’アベ’コベ誰がした」

2013-07-03 | Weblog

記事:郊外の新築価格、10年後は“7割減”に

これは想像でも予想でもなく現実の話。

例えば、首都圏の場合、山手線の主要駅から私鉄でおよそ30分超、駅から徒歩10分超の中古マンションの価格を調べてみるといい。主に千葉、埼玉方面では築10年以上の中古マンションの価格は、おおむね新築の半額から6割程度である。近畿圏でも奈良や滋賀方面では同様の現象が見られる。

今はまだ「新築の半分なら」と、そういう中古マンションを買う人もいる。でも今後10年はどうだろう?

この「築10年物件が新築の半額」というエリアは、今は少し不便な場所に限られている。しかし、このままマンションは増え続けるのに都市圏の人口は減るか、よくて横ばい。そういった供給過剰が10年も続くと、この「半額エリア」はどんどん都心に近寄ってくる。需要と供給のバランスを考えれば、当然のことである。

そして今の「半額エリア」は、10年後には「7割減エリア」になっている可能性が高い。もっとも、そういう少し不便なエリアでは、今後新築マンションの供給が激減するだろう。おそらく、10年後にはほとんど供給されなくなるはずである。今でも一部の大手デベロッパーは、郊外エリアでの事業を避けている様子がうかがえる。

そんなマンションを自己資金が1割程度、35年返済の住宅ローンを借りて購入するとどうなるのか。

それは誰が考えても分かる。購入直後からローン残高が資産価値(売却可能価格)を上回る逆ザヤとなり、それがずっと完済直前まで続くことになる。つまり「売ろうにも売れない」という状態だ。そういったことは何としても避けるべきだと思う。

そもそも住宅ローンの「35年返済」というシステムがかなり非現実的である。今の時代、誰が35年もの安定収入を期待できるというのか。日本を代表するような大企業でも、経営不振に陥れば人員を整理する。35年の安定収入など、今や公務員以外にはほぼあり得ない将来予測ではないか。

この「35年ローン」というのは、不動産価格が右肩上がりに上昇していた「土地神話」時代の遺物である。購入した物件の価格が年月を経るごとに上がっていくのなら、いつでも売却して一括返済できる。そして売却益も得られる。しかし、これからは「売ると損をする」時代になる。

今は長くても20年程度の返済期間でローン利用を考えるべきだと思う。どうしても「35年返済」が必要なら、米国のように「物件を債権者に引き渡せば借金はチャラ」になるノンリコースにすべきである。

そうすれば、住宅ローンが原因での自己破産や自殺と言った悲劇が防げる。日本の住宅ローンは、資産低減のリスクを購入者に100%背負わせている所に大きな問題がある。

 榊淳司住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある。


参考:


「ノンリコースローン(非遡及型融資)」

日本は自宅を失っても住宅ローンはなくならない。東日本大震災3月11日以降、「二重ローン問題」が注目を集めた。津波で自宅を流されても残債は返済し続けなければならない。日本の住宅ローンは借り手側に過剰ともいえる負担を課している。住宅金融に内在するリスクの多くを、銀行側が一方的に利用者に負わせている。

一方、米国では返済が滞り自宅を追い出されても、日本のように“引き続き”ローンの返済を迫られることはない。米国の住宅ローンは「ノンリコースローン(非遡及型融資)」といって、返還請求権が個人の資産にまで及ばない決まりだ。

いくら残債があろうと融資担保(自宅の価値)を超えて借り手側に返済を請求することはない。当然、マイホームは失う(強制売却)ことになるが、自宅を手放しさえすれば住宅ローンからは完全に解放される。担保割れ分は金融機関側がリスク処理する仕組みだ。

 


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