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ヤイ ド・アホ安倍よ、耳の穴ァかっぽじって、よく聞きゃアがれ(最後の通告 浜矩子)

2016-10-11 | Weblog

どアホノミクスへ「最後の通告」(同志社大教授・浜矩子)

案の定、アベノミクスは失敗に終わるのか。開始から3年半が過ぎ、成果をめぐり議論が渦巻く。当初から厳しく批判してきた同志社大大学院の浜矩子教授(64)は『どアホノミクスへ 最後の通告』(毎日新聞出版)を上梓し、安倍晋三政権の「ご都合主義」「邪な魂胆」をえぐる。

記者 先生は『最後の通告』で、〈日本のような経済大国が、ここからさらにGDPを大きくする必要がどこにあるのか〉と成長を疑問視されました。「三本の矢」「成長戦略」などからなるアベノミクスの方向性とは明らかに違います。

  成長が経済にとって間違いなく必要な場面は、私は二つしかないと思います。一つは、これから全てが始まろうとする時。大急ぎで経済規模を大きくしないと人々が飢え死にし、生存権を守れません。もう一つは、それまでの全てを失った時。日本の戦後間もない焼け跡状態のようなケースで、一刻も早く経済規模を拡大して人々の所得を増やさないと、せっかく平和になったのに餓死してしまう。

この二つを除けば、常に間断なく経済の規模を大きくする理由はありません。むしろ、やればやるほど環境への負荷がかかり、無理やり規模を大きくしようとすれば人の選別・差別も厳しくなって不幸になる。「成長」という概念には、死活的必要性がある場面と、もうお呼びでない場面があるわけで、そこを識別しないとどんどん大きくなった揚げ句に経済が破裂してしまう。成長という言葉に「より良い状態になる」というニュアンスがあることが人々を幻惑させていると思います。

◇10、20代男子が安倍政権を支持する理由

記者 では、日本のような先進国の経済政策の目標はどうあるべきですか。


  すごくシンプルで、ポイントは分配です。日本は有り余る富と豊かさを手に入れているのに、子どもの6人に1人がおなかいっぱいご飯を食べられません。このような問題こそ、成熟経済大国が焦点を当てるべきテーマです。こんなに豊かな国で、相対的貧困率も子どもの貧困率も16%。いかに分かち合いが下手かを、この数字が明確に物語っています。

豊かさの中の貧困問題を放置していると経済社会の基盤がぼろぼろと崩れ、経済活動自体が行き詰まると思います。社会的にも不穏になり、安倍晋三や(米大統領候補の)ドナルド・トランプのような人が強さを掲げると、追い詰められた人々がふと引き寄せられてしまう。非常にまずい状況です。

米国では(上位1%の超富裕層が持つ資産額が、残る99%の資産額を上回るほど格差がひどいという意味の)「1対99」になってしまった。このように格差が広がることで、トランプのような人にひときわ人気が集まってしまう。金融政策だって正常化(金融緩和の終了)に向けて進もうとしても、なかなかうまくいかない。それも物価が正常に上がらず、デフレ感が払拭(ふっしょく)されないからで、その根底には格差の問題があるといえるでしょう。

記者 米大統領選の予備選で、民主社会主義者を自称するバーニー・サンダース氏が盛んに「1対99」の解消を訴え、善戦しました。若者が熱狂的に応援したようですが、日本の若者の投票行動を見ると自民党支持が多いようです。

  世論調査では明らかにそうです。日本では「1対99」ではなくて「84対16」。貧困率は16%で、つらい方の側が少ない。米国ではもはや「豊かさの中の貧困」ではなく、「貧困の中の豊かさ」という状況になり、いわば革命の機が熟している。つまり、虐げられていると感じている者が多数を占めてくると、体制変革を求める求心力が強まりやすくなるわけです。

日本はそこまで行っていません。立場的に弱者の人は数がまだ相対的に少なくて弱い。大きなうねりを引き起こすことができない状況だと思う。相対的に少数である弱者の中で、心理的に一番追い詰められているのは10代、20代の男子だと思います。その世代が一番、安倍政権の支持率が高い。10代、20代の男子は先行きに希望が持てず、どうしたらいいのか分からない。非常に不安感が強いし、知的に脆弱(ぜいじゃく)です。女子は幼い時から差別に出合ったり、理不尽さに向き合わなければならない。その分、知的踏ん張りが利きやすくなっている。ところが若い男子たちは「強い日本を取り戻す」「あの時の日本人にできたことが今の日本人にできないわけがない」という主張にサーッと引き寄せられてしまう。

◇「ベーシックインカム」にダマされるな!

記者 若者を中心に支持が広がりつつある「ベーシックインカム」(全国民に最低限の生活ができる程度の金額を給付する代わりに年金や生活保護を廃止しようとする制度)に対し、浜先生は疑問を呈していますね。「働かざる者食うべからず」というお考えですか(笑)。

  全然違う、正反対です(笑)。「働かなくても食う権利、生き永らえる権利は全ての人間に保障されるべきだ」。それが社会保障や基本的人権の考えの基盤です。その原理原則に対応したベーシックインカム制度は、本来の趣旨や狙いにおいて良いものだし、崇高な認識が生み出した概念だと思います。サンダースもマーティン・ルーサー・キング牧師もベーシックインカムの支持者です。

ところが、今の日本におけるベーシックインカムの議論では、財政負担の軽減や「小さな政府」の実現、財政効率化の目的で実現したいという主張が多い。そのためには、弱者救済のためのセーフティーネットを「全て現金給付に変えてしまえばいい」となる。下手をすると、体のいい厄介払いにつながってしまいます。障害者に向かって行政が「ベーシックインカムを給付してあげるから働こうとしないでください」と言い渡すようになるかもしれません。障害者雇用を企業に義務づける現行制度は、「企業の効率が落ち、生産性が下がるから廃止しよう」となる。そんな発想が前面に出ると、弱者にとって、ベーシックインカムは労働市場からの立ち退き料になってしまいます。概念自体はすばらしくても、使う者の魂胆が邪(よこしま)だったら本来の狙いとは違う使われ方をされかねません。

ベーシックインカムを導入すると、毎月の給付を飲んじゃうとかパチンコに使う人もいる可能性が大いにあります。そういう人たちが命危うき状態になっても、「もう給付したのだから助けません」となれば基本的人権の侵害です。概念が崇高であるだけに悪用が非常に怖いと思います。