人質テロ JICA一部昨秋帰国 治安悪化受け 都市は活動継続
バングラデシュで国際協力機構(JICA)が発注したプロジェクトに参加していた日本人8人が死傷した人質テロ事件を巡り、JICAが昨年10月、治安が悪化していると判断し、現地に派遣されていた青年海外協力隊員ら48人のボランティアスタッフを急きょ帰国させていたことが分かった。一方で事業を継続させる必要があるとしてプロジェクト参加者は帰国させなかったという。結果的に日本人がテロに巻き込まれる事態となり、JICAは治安情勢の判断が妥当だったかなどを検証する方針だ。
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JICAはその後、任期途中の協力隊員らについては他国に任地を振り替えるなどし、同国への新規隊員の派遣を見合わせてきた。JICA関係者は「地方にいるスタッフは屋外を単独で移動するケースが多く、安全を確保できないと考えた」と説明する。
一方で、主にダッカなどの都市部に滞在して活動することが多いJICA職員やJICA発注プロジェクトに参加するコンサルティング会社関係者、専門家については、プロジェクトを継続するなどの理由で帰国させず、「移動する際には必ず車両を利用し、不要な夜間の外出を控える」ことなどを求めたという。
JICAによると、通常は発注プロジェクトに関わるコンサルティング会社などの関連スタッフに対し、現地の治安情勢などについて細かく説明しているという。JICAの担当者は「ラマダン(イスラム教の断食月)期間中はテロが多いので注意するようアドバイスしていたはずだが、今回の被害者に伝わっていたかなどについても調査する」としている。
バングラデシュには68人(1日現在)のJICA関係者が滞在中だが、今回の事件の情報収集に当たるスタッフを除き、宿舎などで待機させているという。毎日 7/6