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安倍の特定秘密保護法 懸念だらけの半完品(12月10日施行に 国民は大不安)

2014-10-15 | Weblog

政府は十四日、国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法の運用基準と、施行期日を十二月十日とする施行令を閣議決定した。

特定秘密保護法は昨年十二月六日、世論の反対を押し切り成立。政府は今年一月から有識者による「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長・主筆)と法律の運用基準を検討してきた。八月下旬までのパブリックコメント(意見公募)を経て、政府の素案に対し三十カ所近く修正したが、根本的な見直しはせず、閣議決定した。

これにより今後、政府の意のままに特定秘密が指定され、情報に迫ろうとした市民や記者が厳罰に問われる恐れがあるなど、根本的な懸念は法成立時と変わらずに施行されることになった。

安倍の運用基準 vs 拡大解釈の懸念 

1.最も懸念されるのは拡大解釈だ。

法律では特定秘密の指定は閣僚など各行政機関の長の判断。「防衛」「外交」「特定有害活動(スパイ防止)」「テロの防止」の四分野が対象だが、運用基準で五十五の細目に分けており、政府は、意図的な拡大ができないようにしたと説明している。

ただ、その細目も曖昧な表現が目立ち、「領域の保全のために政府が講ずる措置またはその方針」など、政府が幅広く拡大解釈できる項目が並ぶ。運用基準で「必要最小限の情報に限る」と留意事項も加えたが、指定判断は政府に委ねられたままだ。このため閣議決定で増やすことも可能で、時の政府の判断で範囲を広げることができる。

安倍の監視機関 vs 身内組織の懸念

2.拡大解釈の歯止めになるべき監視機関は身内の組織にすぎない。

拡大解釈や不適当な延長をチェックする監視機関として、運用基準で「独立公文書管理監」を設置したが、立場は審議官級にすぎず、行政機関の長に対応するには立場が弱い。

内閣官房に各府省庁の次官級による「内閣保全監視委員会」がつくられるが、官僚機構に変わりない。また支援する「情報保全監察室」職員も各省の寄せ集めの二十人規模で、独立性や権限に限界がある。

安倍の秘密指定期間 vs 永久指定への懸念

3.秘密指定の期間は原則三十年だが、一度指定されれば、政府の判断で永久に指定され続ける懸念もそのまま残った。

指定期間は原則三十年としながら、内閣の承認を得れば六十年まで延長可能。さらに特に七つの項目に該当すると判断すれば、六十年を超えても構わない。運用基準では、三十年超の指定は「特に慎重に行う」と促すにとどまった。

安倍の罰則規定 vs 行政側フリー

4.秘密を漏らした側には罰則があるのに、不当な秘密指定への罰則がない問題も改善されていない。

法律では、特定秘密を漏らした公務員らに最高懲役十年の厳罰を科すことに加え、秘密を知ろうとした市民や記者が漏えいの「そそのかし」「あおり立て」「共謀」を行った場合も最高懲役五年の罰則が適用される。どんな行為が「そそのかし」などに当たるかは曖昧。

また「米国の秘密制度では『非効率性の助長』などに当たる秘密指定をした場合行政側にも罰則規定があるが、日本版秘密保護法にはない。


 <秘密保護法>130議会が撤廃意見書 根強い不信感反映

10/15/2014 Mainichi

国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の昨年12月の成立の後、同法に対し少なくとも計195の県議会、市町村議会が廃止や慎重な運用を求める意見書を可決したことが分かった。衆参両院が受理した意見書をもとに毎日新聞が集計した。特定の法律に対し、これだけの意見書が可決されるのは極めて異例。成立後、約10カ月が経過した今月に入ってからも5議会が意見書を国会に提出しており、同法への根強い不信感は消えていない。

可決された意見書のうち少なくとも130市町村議会が、同法の廃止や撤廃を明確に求めた。今月に入ってからは北海道洞爺湖町、岡山県吉備中央町、徳島県佐那河内村の3議会が廃止を求める意見書を国会に提出した。

 茨城県取手市議会の意見書は「国民主権・基本的人権・平和主義という日本国憲法の基本原則をことごとく蹂躙(じゅうりん)する」との表現で強い懸念を表明。三重県亀山市議会の意見書は「まさに国民の目と耳をふさぐものだ」と訴え、撤廃を求めた。また、甲府市議会は「指定される秘密が恣意(しい)的に拡大する恐れがある」と運用に関する懸念を表明した。

 極東最大の空軍基地である米軍嘉手納飛行場を抱える沖縄県嘉手納町議会では「影響を最も受けやすい地域として危惧している。住民が自らの生命財産を守るための実態把握さえもできなくなる」として、米軍の運用や基地政策に関する情報が得られなくなる懸念から、廃止を求めた。

 県議会では同法撤廃を明示的に求める意見書は可決されていないが、慎重な運用を求める意見書が、岩手、新潟、鳥取の各県議会で可決された。

 新潟県議会は「撤廃を求める意見書」や「修正を強く求める意見書」を否決した上で「国民に明確な説明を行い、十分な理解を得るよう強く求める」との意見書を可決した。ある自民党県議は「撤廃や修正までは必要ない」と前置きした上で「支持者の間に反対意見があり、否決して終わりというわけにはいかなかった。何かしらの意思表示は必要だと考えた」と語った。

 意見書は政府や国会への強制力はないが、地方議会の意見を国政に反映させるために地方自治法99条に定められており、一定の影響力を持つとされている。

 一方、政府は14日の閣議で、特定秘密保護法に基づく秘密の指定や解除のあり方を定めた運用基準と、法の施行日を12月10日とすることや秘密指定できる行政機関を19機関とする政令を決定した。同法は(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)防止(4)テロ防止--の4分野23項目を秘密指定できるとしているが、運用基準ではさらに明確化し55項目に細分化した。また監視機関として、内閣府に審議官級の「独立公文書管理監」と、そのスタッフとなる「情報保全監察室」を新設。内閣官房に各府省庁の事務次官級をメンバーとする「内閣保全監視委員会」も設置する。MAINICHI 

 ◇廃止・撤廃の意見書を可決した市町村議会

 <北海道>根室市、芦別市、池田町、上士幌町、浦幌町、江差町、大空町、奥尻町、上川町、上砂川町、清里町、黒松内町、小清水町、標津町、斜里町、新冠町、増毛町、津別町、豊富町、奈井江町、中川町、美瑛町、日高町、平取町、福島町、本別町、幕別町、むかわ町、森町、和寒町、広尾町、厚沢部町、中頓別町、遠別町、清水町、幌加内町、東神楽町、新ひだか町、佐呂間町、洞爺湖町、知内町、更別村、占冠村、中札内村、初山別村<青森>佐井村、蓬田村<岩手>花巻市、軽米町<宮城>美里町<秋田>仙北市、五城目町、三種町<山形>山形市、長井市、河北町、川西町、大石田町、小国町、飯豊町、西川町<福島>石川町、桑折町、浪江町、南会津町、三春町<茨城>取手市、美浦村<埼玉>小鹿野町、鳩山町、宮代町<千葉>白井市、銚子市<神奈川>葉山町<山梨>甲府市、市川三郷町<長野>佐久市、中野市、小布施町、長和町、小海町、下諏訪町、富士見町、飯綱町、坂城町、阿智村、小川村、木島平村、木祖村、中川村、生坂村、山形村、豊丘村<愛知>飛島村<三重>亀山市<滋賀>湖南市<大阪>吹田市<兵庫>新温泉町<奈良>生駒市、吉野町、川西町<鳥取>米子市、琴浦町、日南町、湯梨浜町<島根>吉賀町<岡山>吉備中央町<広島>庄原市<徳島>鳴門市、板野町、佐那河内村<愛媛>上島町<高知>安芸市、本山町、大豊町、四万十町、土佐町<福岡>志免町<長崎>長与町<宮崎>門川町<鹿児島>出水市<沖縄>嘉手納町、西原町、北谷町、与那原町、大宜味村、北中城村、宜野座村、中城村、読谷村


特定秘密保護法:基準修正 公募意見の懸念、正面から答えず

9/15/2014 Mainichi

 
政府が特定秘密保護法の統一基準案を提出した第3回の情報保全諮問会議。会議に臨んで一礼する安倍晋三首相(右手前から3人目)と渡辺恒雄座長(左同)ら=首相官邸で2014年9月10日撮影
国民の意見に基づく修正は細かい範囲にとどまった。政府は10日、特定秘密保護法の運用基準案を修正し、有識者会議「情報保全諮問会議」に提出した。政府は先月下旬まで実施した意見公募(パブリックコメント)を受けて27カ所を修正したが、(1)チェック機関(2)内部通報(3)恣意(しい)的な秘密文書廃棄の恐れ−−といった主要な論点については修正がなかった。基準案は省庁間の調整を経て、10月上旬をめどに閣議決定される予定だ。
 

 ◇チェック機関

政府は特定秘密の指定が適正か検証する「独立公文書管理監」を審議官級の官僚から任命し、事務局の「情報保全監察室」を内閣府に置く。

きちんとチェックができるのかが制度運営上の焦点の一つになっている。

パブコメでは、独立性を確保するために、管理監や監察室員を出向で配置するのを禁止すべきだという意見や、管理監などからの文書提出要求を拒否する権限を省庁に与えず、すべての特定秘密をチェックできるようにすべきだとする意見が寄せられた。

しかし政府は基準案の修正をせず、「人事配置は今後の検討課題」とした。文書提出要請についても「相当な理由なく拒むことはできない」と以前からの説明を繰り返すにとどまった。

◇内部通報

基準案では特定秘密保護法に明記されなかった内部通報制度の導入が明文化された。違法な特定秘密の指定や意図的な情報隠しを防ぐ効果のある制度になるかが焦点だ。

パブコメでは、通報に際しては情報を要約するという規定を改めることを求める意見や、通報者への報復人事を防ぐ対策を定めるよう求める意見が届いた。

しかし、政府は「要約して通報するなどし、特定秘密を漏らしてはならない」と答え、通報を積極的に機能させることよりも、秘密を漏らさないことを重視する姿勢を示した。報復防止策についても「一律に規定するのは困難」とした。

◇秘密指定

秘密指定を役所が恣意的に行い、情報隠しが起きないようにすることもポイントの一つだ。パブコメでは「指定による不当な利益を禁じる規定が必要だ」とする意見が出た。政府は「そもそも『特に秘匿が必要』でなければ指定の要件を欠く」として、正面から答えることを避けた。

また、文書が勝手に捨てられないことを制度上担保する必要性も指摘されている。基準案では秘密の指定期間が30年を超えるものについては秘密でなくなった段階ですべてを国立公文書館に移管するように規定した。

これについてパブコメでは「30年以下の特定秘密文書も公文書館に移管すべきだ」という意見があったが、政府は「(秘密でなくなった後も保存をすべき)歴史公文書に該当しないものを廃棄するときは、首相の同意を得る」と答え、公文書管理法に基づいて、特別扱いはしないとした。

 ◇

基準案や政令は各省庁の調整を経て10月上旬ごろ閣議決定。特定秘密保護法は12月上旬ごろ施行される。施行後は、政府が有識者会議「情報保全諮問会議」と衆参両院の「情報監視審査会」に年1回、運用状況を報告する。

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◇運用基準案の主な修正点

・「基本的な考え方」に、国民の知る権利の尊重について記述

・特定秘密を緊急廃棄した時は、理由を記載した書面を作って、閣僚らに報告

・適性評価の苦情処理の結果を通知する際は、判断の根拠を具体的に説明

・チェック機関の独立公文書管理監が閣僚らに特定秘密の指定について是正を求めた時は、各省の事務次官で構成する内閣保全監視委員会にも内容を通知

・運用基準は、特定秘密保護法の施行後5年を経過した場合に見直し、内容を公表