goo blog サービス終了のお知らせ 

チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

北京ダックの炒飯

2013年07月30日 | 料理

晴れ、25度、91%

 パリパリに焼かれたアヒルの皮を薄いクレープのような生地に、甘味噌、キュウリ、晒しネギを一緒にはさんで食べる北京ダックは中華料理でもご馳走、つまり家庭料理ではありません。お接待などで中華を食べる機会も多く、最近では、フカヒレのスープも生きたまま蒸し上げたエビももうたくさん、そんな私ですが、北京だけはまだまだ大好きです。

 まだ、香港に来た初めの頃、パリパリの皮をテーブルに出された後のアヒルは厳かにトレーに乗って調理場に戻って行きます。アヒルの身は、誰が食べるのかしら?と思っていました。あるとき、お隣のテーブルで香港人が北京ダックを食べていました。彼らの皿には薄く切られたアヒルの皮にちゃんと身が付いています。皮を食べるのが正式なんて決まりはありません。以来、一緒にテーブルを囲む方に伺って、身の付いたアヒルの皮を出してもらいます。

 香港人のスタッフたちとテーブルを囲んだ時のことです。さて、お開きという時に、お店の人が何やら大きな箱を2つ持ってきました。その晩は2羽北京ダックを頼んだのですが、皮と身を削ぎ取った後のアヒルのガラでした。香港では飲茶でおまんじゅうひとつ残っても、包んで持ち帰りできます。アヒルのガラの持ち帰りです。さて、ガラは当然いいだしが出るので、スープに使うと聞きました。ひとつもらって帰ったのですが、スープをとるとアヒルの臭いが家に充満します。しかも脂をとるのに一苦労。

 先日のお店では、何やら主人に店の人が話しています。1,500円程かかるけどアヒルのガラを持って帰るか?と聞いているようです。お金をとられるのは初めてです。主人はお構いなく、頷いています。

  ピカピカのアヒルをお見せしたかったのですが、持ち帰った北京ダックです。我が家の、外食はお客様との時が多いので、ブログのために写真なんて撮ることは出来ません。この日のアヒル、皮を削いでくれた人が下手だったのか、ご覧のように身がしっかりと付いています。これをペティナイフできれいに削ぎ取ると、鳥のもも肉、3枚程の身がとれました。アヒルの身は鳥にしてはやや赤みがかっています。パサパサではなくややねっとりした身です。

 私のお昼に炒飯を作りました。 さっぱりと小ネギだけです。アヒルの味は、少しぼやけた味がします。そこで、メリハリを利かせるために、胡椒の代わりに、京都 原了郭の黒七味を使いました。 黒七味は、香り、辛みともにずば抜けています。汁物ならテーブルで一振りですが、炒めながらどっさり使います。寝ぼけた炒飯が一変においしくなるから不思議です。

 炒飯がへたくそな私は、いつもおこげを作ります。ところが、この おこげがまた美味しいのです。炒飯を食べ終わるまで、中華鍋にそのままにしておくと、ペロッとはがれてくれます。身を外す時から私の手は脂だらけ、台所はアヒルの匂い。モモさん、朝寝も出来ず、ウロウロソワソワでした。モモさん、アヒルの身もお好きです。

 北京ダックの正しい食べ方からは、ずっと離れていますが、私は身の付いた皮だけを食べます。薄餅、甘味噌もキュウリも晒しネギも要りません。身の付いた皮と赤ワインだけで満足です。


インドチキンカレー

2013年07月24日 | 料理

小雨、25度、91%

 インドも北と南では食べるものが違います。私が行くインドは北ばかり、市場に行くと道端に並べられた野菜はどれも乾涸びてみえます。トマトだって、真っ赤ではありません。タマネギなんか私の握りこぶしくらいです。北は、小麦がとれます。南は、お米がとれます。南のカレーは、ココナッツを使うのが特徴です。

 私が初めて作ったインドのカレーは、インド北部の出身の方の本でしたから、以来、北の方の汁気の少ないカレーです。香港には、インドから直接来る食材が昔から豊富です。スパイスにしても、豆類もバスマティライスだって、最近では、パンニールチーズの冷凍も手に入ります。挙げ句に、インドのあの小さなタマネギ、トマトだって売っています。どこの国の人も自国の食べ物が一番のようです。

 クミンシードとタマネギ、トマトで作るカレーのベースが基本です。これにマトン、チキン、豆をくわえ、コリアンダーの粉末、ターメリック、レッドペッパーで風味を付けます。 基本の香辛料です。仕上げに、それぞれのマサラを一振り。ミートマサラ、チャナマサラ(豆用)、ブリアニマサラなどインドのマサラを使います。レッドペッパーは、変色防止のため冷凍庫に入れています。

 今回は香港のトマトを多く使ったために、やや汁気が多めになりました。香りのよさは、インドカレーが最高だと思っています。プレーンなプラオライスもいいのですが、ナンを焼きました。 ナンは、ごちそうのパンです。パンといっても、発酵なしのパン。本場ではタンドールの内壁に貼付けて焼き上げます。我が家では鉄鍋で油を引かずに焼きます。ナンはごちそう、普段はチャパティという全粒粉のやはり発酵なしのパンが焼かれます。一昨年、デリーのアルクベーリーさんのお宅に伺った折は、お手伝いさんが食事の間中、温かなチャパティを持って来てくださいました。もちろんナンも焼きたてが一番。形作っておいて、主人が帰ってから焼き始めます。

 インドカレーは、ギーや、生クリーム、ヨーグルトで辛さを押さえます。これは、イギリスの統治下にあったからではなく、昔からのインド料理の秘訣です。そしてどんなに乳製品を使っても、やっぱりインド料理になるから不思議です。


ピクルス

2013年07月20日 | 料理

小雨、27度、97%

 私、あまりお漬け物を食べません。お漬け物と真っ白いご飯という組み合わせでは、物足りません。お漬け物があればお茶請けになってしまいます。それでも気が向けば、せっせとぬか漬けを作ったり、キムチを漬けたりします。決まって、自分が食べたい時です。香港には、日本の大手の漬け物屋さんがコーナーを作って売っています。もちろん香港地場ものの漬け物もあります。高菜漬けなんて、日本のそれとほとんど変わりません。もちろんご飯とも食べますが、炒飯や炒め物の隠し味に使います。

 考えてみれば作り置きが出来て、ご飯に塩分を補って、野菜の繊維質も取れる漬け物は、日本の食生活にマッチしたものです。昔からある食べ物は、それなりの理由があるものです。

 お漬け物がないので、朝のご飯の時に野菜がないなんて事になります。そこで、時折ピクルスを作っておきます。塩揉みした野菜の水気を切って、甘酢で漬けるだけです。一晩も置けば食べれるようになります。野菜は身近なものばかり、夏大根、セロリ、人参、キュウリ。彩りを考えて拍子に切ります。甘酢も中華風や洋風と気分で。中華風の時は、 鷹の爪と実山椒を入れて、主人の好みに合わせて我が家は少し甘めです。人がみえる時なども、ピクルスを当てに、ビールをお出しして、次の用意にかかれます。作り置きの食べ物は、何かと便利です。

 キュウリばっかりのピクルス、色取り取りのピーマンのピクルス、ピクルスなんていってももお漬け物の一種です。冷蔵庫で、4,5日持ちます。


蓮のちまき

2013年06月13日 | 料理

曇り、24度、86%

 昨日は、端午節で香港はお休みでした。香港の数カ所で、ドラゴンボートのレースがありました。日本と同じように端午節にはちまきを食べます。日本の青笹のちまきとは違って、乾燥した笹の葉に包みます。甘いものからご飯代わりになるものまで、数種類あります。茹でて作るので中がべっとりとしています。鹿児島の灰汁巻きのような感じです。べっとりが苦手なので、滅多に買いません。

 そこで、我が家のちまきの登場です。30年近く作り続けて来た蓮のちまき、息子の運動会、お客時には欠かせないちまきです。季節やその時の体調によって味の濃さが変わります。

 餅米、3カップは、洗って水に30分程漬けておきます。干しえび、貝柱はケチらないで、沢山使います。 干しえびと貝柱、干した椎茸は、水で充分戻します。干し椎茸は大きさにもよりますが、5枚程。チャーシューは、香港なら街に出れば売っていますが、ブタの固まりを煮て作ります。

  今回はさっぱり目のブタ煮です。黒の粒こしょう、しょうがとお酒、お醤油で2時間ほど煮ます。これは荒くみじん切りにしておきます。しょうがはみじん切り、香港では葱頭というタマネギの赤ちゃんのようなものを微塵にしますが、なければ入れなくてもかもいません。

 オイルをひいた鍋で、しょうが干し椎茸のみじん切り、貝柱をほぐしたもの、干しえびを炒めます。ここに、チャーシューを入れ、大事なのはこれらの具を炒めながら味を付けることです。そうしないと、餅米にまんべんなく味がつきません。味付けは、オイスターソースとブタを煮た時の煮汁を使います。砂糖、お醤油で代用してもいいでしょう。その時は、目安が砂糖は大さじ1、醤油は大さじ4~5。若い方達が食べるなら。味付けはもっと濃くてもいいと思います。しっかりと、味を馴染ませたところで、水を切った餅米を加え、さらに炒めます。餅米が透き通るようになって来たら、椎茸、貝柱の戻し汁カップ1を加えます。さらに炒めると、あっという間に、この水分を餅米が吸ってくれます。餅米が水分を全部吸って重たくなったら、火を止めます。 炒め上がったところです。

 これを蒸し器で40分程蒸します。 

 蓮の葉っぱは中華材料の専門店で手に入ります。日本にいる時は、横浜の中華街で買っていました。ざっと水洗いして、湯がいておきます。 蒸し上がった餅米です。これを、蓮の葉に包みます。餅米3カップで、4枚の蓮の葉を目安にしてください。 このとき、銀杏やウズラのゆで卵を一緒にだかせます。今回、このちまきを冷凍にして、息子に持って行くつもりなので、ゆで卵は省略。傷みが速くなりそうです。包み方は、蓮の葉の大きさや破れ具合がありますので、工夫してみてください。蓮の葉に包んだら、後20分程蒸し上げておしまい。

 蓮の葉が手に入らない時は、アルミホイルで代用出来ます。

 チャーシュー以外は乾物で出来るので、材料のストックがあれば、意外にはやく作ることが出来ます。お客時には、蓮の葉に包んだ段階までを前日に済ませておき、お客様が見えて最後の蒸す作業をすると、台所も散らかりません。

 蓮の葉の香りは、私たち日本人には馴染みが少ないものですが、この香りなくしては、このちまきの魅了は半減です。葉っぱを、テーブルの上で開けるとき、フワッと香りが立ち上ります。 そして、いらしてくださった方が、あら!と声を上げてくださるのが、私の楽しみです。

 お客様の顔ぶれを考えて味付けをします。今回は我が家二人なので、さっぱりとしたちまきにしました。


花豆

2013年05月22日 | 料理

大雨、雷、洪水、23度、99%

 先日の福岡でのこと、実家の荷物も搬出し終えて、随分気持ちが楽になって細々した所用を片付けていました。会わなくてはいけない方もあって、後30分で行きます、などと電話をして急ぎ足。朝早い人通りの少ない商店街をバスを乗り換えるために通りました。昔から変わりばえのしない商店街です。あー、豆を専門に売っている店も健在です。店の造りも昔のまま。急いでいましたから一度は通り過ぎたのですが、戻って硝子の引き戸を開けました。

 帰国の度に乾燥豆を買って帰ります。いつもはスーパーで買うのですが、時にはあまりよくない豆に出会います。香港だって、豆はいろいろ種類がありますが、日本の豆は香りがしっかりとしています。この豆の専門店、私が小さい時からあります。母が贔屓にしていた豆屋さんです。引き戸の外からも見えていたのですが、店の中の豆の配列も変わっていません。お店に入るのに、「おはようございます。」などと声を出して入ったのも久しぶりです。奥の部屋から出て見えたのは、私と同じ年配の婦人でした。

 いつ見ても、いい豆の品揃えです。北海道産の黒豆と丹波の飛び切りの違いを教えてもらったのも、ここのおばあさんです。お店の人に、おばあさんはお元気ですか?と尋ねたことから、話が弾みました。豆の話、商店街の話、挙げ句は犬の話です。あっという間に時計を見ると30分以上も話し込んでいます。信州の花豆、手亡の白豆、大納言を抱えて急いで店を出ました。

 花豆を初めて買ったのも、この店でした。大きな薄紫と紫の斑な豆です。高地で採れる豆で、信州のものが一番味がいいように思います。大きさもひと回り信州の豆が大きいのです。

 日本の豆に関わらず、乾燥豆料理が好きです。レンズ豆のスープ、ひよこ豆のカレー、随分古い私のレパートリーです。花豆は、甘い煮豆も、マリネにしてもトマト味で煮込んでもおいしく思います。煮崩れすることがない豆です。私はトマト味でオーブンで煮込む花豆が好きですが、甘い煮豆が好きな主人のために少しだけ取り分けて、マリネを作りました。

 乾豆は、一晩漬けて充分に水を吸わせると、後は柔らかくなるまで煮ればいいので、手間がいりません。 タマネギのみじん切りでマリネした花豆です。

  くせのある三温糖で甘く煮上げ、最後に蜂蜜で照りを出しました。私はご飯のおかずに甘いものが苦手です。煮豆はいつもお茶請けにいただきます。花豆は大きいので、3時に食べ過ぎると夕飯がいけなくなってしまいます。香港で手に入る花豆、台湾産のものです。日本の花豆は、味も香りもしっかりしています。

 久しぶりに入った豆屋さん、昔のままでしたが、ひとつだけ変わっていました。升がなくなって、計りがおかれていました。100gいくらで売られています。

 でも、お店の私年配のお嫁さん、おばあさんと変わらずに 紙袋に入れた豆を持たせてくれ、渡し際に手短に豆の炊き方を教えてくれました。豆の味とともに変わらないものがあることに、ホッと安心します。


アボガドスプレッド

2013年05月20日 | 料理

小雨、28度、85%

 アボガドが大好きです。街路樹のアボガドが実もたわわになると、ぼとっ、ぼとっと落ちるアメリカ西海岸の街の話を読んだことがあります。道でかごを持って、落ちてくるアボガドをかご一杯に採れたら幸せだろうなあ、と見たこともないその街を思います。今まで、何個のアボガドの種を育てたでしょうか、私の背の倍以上になっても、アボガドは実を付けません。しかも、最近は、発芽すらしなくなりました。

 このアボガド香港人のお口に合わないので、需要が少ないせいか、日本の倍以上の値がついています。それでも昨今のフレンチやらイタリアンやらの流行で、買って行く人もぼつぼつ見られます。

 アボガドディップは、ガカモレとも呼ばれ、ニンニクやオリーブオイルとつぶしたアボガドを合わせたものです。難しく考えることもなく、おままごとの延長で完熟のアボガドを思い切りつぶして、好みでオリーブオイル、塩、レッドペッパーとニンニクをつぶして合わせればお仕舞い。これを、チップや生野菜のディップにすると美味しいものです。

 ニュジーランド産のアボガドスプレッド、アボガドをつぶしたものです。こんな高価なものは私は買いません。主人が試してみようと求めました。試すといっても、料理をするのは私です。ガカモレではなくて何かないかな?まあ、手っ取り早く、ショートパスタと合わせてみました。 ほんのりとアボガドグリーンです。アボガドペースとに少し塩が入っています。それでニンニクを搾ったものをたしただけで味を付けました。オリーブオイルも入れないのに、こくがあります。

 アボガドスプレッド、100gが2パックはいっています。あと一つ、昨晩このパスタを食べながら主人が考えた料理を作ります。


カラーパスタ

2013年05月11日 | 料理

晴れ、24度、95%

 手作りのパスタを頂きました。福岡市の西、糸島市の福祉法人MUKAで作られたパスタです。色取り取りのタリオリーニです。野菜やイカスミの自然な色です。

 随分以前、イタリアのフルーツパスタを食べたことがありました。様々なフルーツの色が見た目にもきれいなショートパスタでした。茹でながら、フルーツの香りが混ざりあったら、どんな感じにになるのかなと、ちょっと心配気味に茹でました。でも、フルーツの香りなどしませんでした。ただ、食感がやや粉っぽいと言うのか、もっちりした感じのパスタだったのを覚えています。

 頂いたのは10週類。50gずつ一袋に入っています。これまた考えました、紫いもの香りとオレンジやイカスミの香りが一緒になったら、食べる時どんな感じかな?期待ではなく不安でした。初めは相性のよさそうなものを選んで付け合わせに、 作ってみました。このタリオリーニも、香りがありません。これならどんなソースにも合わせることが出来そうです。

 そこで思い切って何種類ものパスタをあわせて、メインディッシュにしてみました。

 ソースはトマト、サーディンを添えました。ボリュームたっぷりです。

香りがしないばかりか、一本ずつ食べてみても、ローズマリーの味やカボチャの味もしません。もしも、味や香りがしっかりしていたら、こんなふうにたくさんの種類を混ぜることは出来ませんものね。こうしたカラーパスタは、彩りを楽しむものなのかもしれません。 麺を合わせた様子は、確かに可愛げです。

 でも、ほうれん草の味も香りもしっかりしたパスタだったら、1種類だけでクリームソスで食べるのも悪くないなと思います。ひもかわのような薄いタリオリーニですから、粉っぽさはなく短い時間でゆで上がります。

 MUKAで得られたお金は、福祉の資金として使われるそうです。日本の小さな街で、おいしいパスタが作られていること、日本人の丁寧さや心意気を遠く香港から感じています。


柏の葉っぱとお魚

2013年05月01日 | 料理

曇り、21度、88%

 2年前のちょうど今頃、主人が日本に出張で帰りました。仕事で忙しい人に時間があれば、柏の葉っぱを買って来て欲しいと頼みました。柏餅を作ろうと思って。香港の日系の食料品店、桜餅の道明寺粉や桜の葉っぱは、季節がくると店に並びます。ところが柏の葉っぱまでは、手が回らないようです。いつものように、成田から飛行機に乗る前に主人から電話がありました。乾燥した柏の葉っぱを買ったから、と言うのです。乾燥?そんな柏の葉っぱがあることを知りませんでした。

 家に返って来た主人の荷物解きは、いつもワクワクです。モモさんへのお土産も含めて、何が出て来るか解らない、もちろん定番のものだってあります。成田に向かう直行バス、新宿からは京王デパートの横から出ます。京王デパートの中に中沢商店と言う、乾物から菓子材料まで揃う店が入っています。慌ただしい思いをして、中沢商店に駆け込んでくれた主人です。さて、乾燥柏の葉っぱ、荷物から出てきました。特別不思議なものではありません。柏が乾燥されただけですから。ところが驚いたのは、その枚数です。100枚入りが2パック。200個もの柏餅、どうやって作るというのでしょうね。男の人の買い物はちょっと、女の頭では解らないところがあります。鷹揚というか、大雑把というか。ともあれ、ありがたく使うことに。

 まだ、150枚ほどもある柏の葉っぱです。もちろん、端午の節句には柏餅を作りますが、それだけでは使い切れません。先日珍しく切り身の魚を求めました。ハタ、クエと日本では呼ばれているものです。香港では、広東料理のクライマックス、蒸し魚として出される白身のくせの無い魚です。ホイル焼きに使った後、2枚残ってしまいました。中途半端ねえ?そこで、軽く酒と塩をしたこの切り身を、柏の葉っぱにはさんで蒸してみました。

  お客様にも出せるような、手間いらずの蒸し魚です。強いていえば、乾燥の柏の葉っぱは、一度下茹でをしますので、香りが少ないのが欠点です。もう少し柏の匂いがすると、いいおもてなし料理です。

 まだまだ、沢山ある柏の葉っぱ、さて、何に使いましょうか。飯蒸しもいいですね。葉っぱに包む食べ物は、香港にも沢山あります。でも、色、香りをもっと大事にする日本のものは、繊細です。


栗と鶏のシチュー

2013年04月13日 | 料理

曇り、17度、64%

 香港は亜熱帯です。ややはっきりしない四季があります。地元で採れる野菜や果物も、日本のように季節感あふれるものではありません。例えば、タケノコも一年を通して、市場で売られています。栗だって、真夏を除いて皮付きの栗があります。実際に生っているところを見るわけではありませんが、冷蔵保存で一年中出荷などと言う、日本のようなハイテクは存在しないようです。

 今回使った栗は、そんな香港の栗ではありません。 フランスのすぐに食べられるようになった真空パック入りの栗です。500g入り、250gがふたパック入っています。春先に栗なんて買おうとは、私なら思いません。しかも随分のお値段です。当然これを買ったのは、家人。支払いも家人ですが、これを使って料理するのは私だとは、すっかり忘れていました。私が思いつくのは、栗のお菓子ばかりです。なにか、料理を作って、とご希望の家人。そう言えば、フランスの煮込み料理にブタと栗を使ったものがあるのを思い出しました。フランスだって栗は、秋の産物です。正式なレシピによると、豚肉と栗、山のように一杯のきのこを使うと書かれています。きのこまで入れると、まるで秋の一皿になります。そこで、ブタを鶏に代え、きのこを省いて作ってみました。

  フレッシュなハーブをガルニして、よく脂を落とした鶏肉とワインで煮始めます。栗は、そのままでも食べられるようになっているので、最後に加える事にします。コトコトと、1時間以上煮ます。 本を読んでいても、お昼寝をしていてもガスのことを気にしなくてもいいように、フィンランドからやって来たトナカイさんに、煮こぼれ防止の番をしてもらいます。

 味付けは、我が自家製デミグラスソースです。日本の煮物、中華の煮物と違って、洋風な煮込みものは家の中のにおいがぐっと良くなります。きっと、お醤油を使わないからでしょうね。最後に、栗を加えて塩こしょう。

 この栗は、ホックリした栗ではありません。お豆にも2種類あるように、小豆タイプではなく、黒豆のような食感です。栗の甘みが全体に拡がっています。 一晩置いたせいもありますが、鶏にも栗にも、ソースの味が馴染んで、上出来です。

 あと半分残った栗、さて何に使いましょうか。


おから

2013年04月11日 | 料理

小雨、18度、74%

 中華圏に住む日本人にとって、お米、お醤油、お豆腐が味は異なっても手に入ることは、西洋圏に住む人たちと違って大きなメリットです。体調を壊したりすると、欲しくなるのはご飯です。日本のものが少なかった頃から、長いことこうして香港に住んでいられるのは、食の基本が似ていることにあると思います。

 お豆腐、西洋でも高タンパク、低カロリーと人気の食材で、日本から牛乳パックのようなものに入ったお豆腐は以前から輸出されていました。香港の地元のお豆腐、スーパーなどで売られているパックに入ったもの、市場で売られている目の前で切ってくれるお豆腐があり、堅いのから、柔らかいもの、味のついた保存用のお豆腐まで、好みで選ぶことが出来ます。

 それだけ、お豆腐があるのにおからを見かけたことがありません。市場のお豆腐屋さんには暖かいお豆腐が並びます。でも、売っているだけで、お豆腐は何処からか車で運ばれてきます。スーパーのお豆腐は工場の量産品です。そういえば、おからの料理が存在しないことに気が付きました。

 香港は豆乳の消費も多く、夏は、冷たい豆乳を飲ませてくれるスタンドもあります。そんな店の店先におからが発泡スチロールの入れ物に入って、かんかん照りの中道端に置かれているのを見つけたのは、20年以上も前のことです。自分の店で大豆を絞っていたのですね。そこで、おからを分けてくれないかと、へたくそな広東語で頼みました。頑として、断られます。何度かその店の前を通るうちに、おからを回収して行くトラックを見ました。どうも、ブタのえさに売っていたようです。この永い香港生活で、地元のおからを見たのは後にも先にもこの店だけでした。

 日系のスーパーが、日本人が作る豆腐屋をオープンしたのは、15年ぐらい前でしょうか。豆腐一丁の値段は、市場で買うものの5、6倍します。それでも、おからのおまけがついてきます。時には、思いきって高いお豆腐を求めます。

 昨日も、卯の花作りに励んでいました。家人の健康を考えて、薄味に仕上げなくてはなりません。冷蔵庫を覗くと、前日に作ったおそばの出しで使った、味がついたおかかが一杯残っています。鰹節から自分でひいたおかかです。決して粗末にしません。そうだ、このおかかで味付けを、見事な主婦発想です。勢いよくおかかを、おからの中に入れました。かき回しているうちに、卯の花にしては少し色黒です。味も薄い上に、色黒の卯の花じゃねえ、とまた冷蔵庫を覗き込みます。

 そこで、蝦と錦糸卵をのっけて、 色黒卯の花をおめかししました。

 きっと、香港中のおからは、今でもブタのえさになってるでしょう。私たち、日本人がこんなふうに食べるのを知ったら、香港の人たち、大笑いですね。