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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

粒胡椒のすすめ

2017年11月29日 | 料理

雨、16度、92%

 帰国して間もない頃でした。黒胡椒の粒が切れました。近くのスーパーを探しますが見つかりません。仕方なくデパートまで粒胡椒を買いに出かけました。胡椒を粒のまま使うようになったのはずいぶん昔のことです。おそらく香港に行く前、30年以上前からです。細かくされた胡椒を使うのが当たり前の頃です。当時は白胡椒と黒胡椒のみを使っていました。白胡椒はオールマイティーに使えます。ペッパーミルの力加減で胡椒は荒くも細かくもできます。挽きたての胡椒は香りの立ち方が違います。

 そのうち、胡椒の種類が増えました。白黒に加えて、グリーンとピンクの胡椒です。 胡椒はまだ実が青い頃獲ると緑胡椒、若い胡椒です。そしてよく熟れた胡椒を乾燥させると黒胡椒。この黒胡椒の皮を剥くと白胡椒。ピンクの胡椒は、胡椒と似ていますがコショウボクと言われる木になる実だそうです。かすかに胡椒の匂いがしますが、ベリーの甘い香りも併せ持ちます。

 以前はお肉やお魚を焼く前に、ゴリゴリと胡椒を挽きました。そのうち、食べる直前にもゴリゴリするようになりました。ピリッとくる辛味のためではありません。胡椒の香りをいただくためです。そして粒のまま使うことも増えました。ピクルス液に粒のまま入れます。じんわりと辛味が出ます。ピンクや緑はテリーヌに色のアクセントに入れます。スープにも粒のまま入れます。

 粒胡椒を4色、スープに入れて最後には一粒一粒を味わいます。緑の胡椒は辛くはありません。香りが澄んでいます。若い胡椒です。黒胡椒はいっぺんに香りが弾けます。白胡椒は穏やかな辛味と香りです。ピンクの胡椒は辛味よりもベリーを思い起こさせる軽やかさがあります。夏に胡椒のスープを飲むと暑気払いになります。冬に胡椒のスープを飲むと体の芯が温まります。

 肉の臭みや雑菌予防に使われ始めた胡椒です。粒のままの胡椒、荒く挽いた胡椒、細かく挽いた胡椒、それぞれに香りの立ち方が違います。胡椒を挽く手間など大したことではありません。粒胡椒を味わってみてください。


ラムラックロースト

2017年10月02日 | 料理

雨、19度、90%

 主人が戻って来ました。その翌日には息子が所用で一人でやって来ました。息子は夜中について翌日には東京に戻ります。何年ぶりでしょうか、親子3人の夕飯です。

 福岡に戻って来て、ラムの肉が手に入り難いことがわかりました。注文すれば翌日には手に入りますが、店頭ではデパートでも並んでいません。たまたまあるスーパーがニュージーランドフェアでラム肉を売っていました。ラムチョップだけです。数本まとめて買いました。このフェアが終わればラム肉は売らないとおっしゃいます。次の日、いつものように食材をたくさん香港からお土産にしてくれる主人の荷物を開けると、なんと冷凍にしたラムチョップ、ラムラックが出て来ました。大きなラムラックは早速夕飯の食卓に上りました。

 日本に帰って来て8ヶ月、まだこの家のオーブンで塊の肉をローストしたことがありません。下準備をしたラムラックの焼き温度、焼き時間設定を考えます。毎日のようにオーブンはパンを焼くために使います。癖もわかり始めました。まあ、主婦歴40年です。以前はディジョンの粒マスタードをたっぷりと塗って焼いていたのですが、カマルグのバジルとトマトの入った塩とオリーブオイルで焼きました。カマルグの塩をラムに使ってみたいとずっと思っていました。

 オーブンからラム独特な匂いが立ち上ります。テーブルの上で切り分けるのは主人の役目、ところが昨晩は主人がそれを息子に譲りました。初めて息子に切り分けてもらったお肉です。 ご覧のように中はジューシー、皮目の脂はすっかり落ちています。主人はマスタードをご所望ですが、息子も私もこのままかぶりつきました。ほの暖かなラムの肉、赤ワイン、いつもより大きく焼いたフランスパン、庭獲れの野菜たち、山羊のチーズ。もちろんココさんは初のラム肉です。食後、空港に向かう息子を玄関で見送ります。満ち足りた夕飯でした。


「ギー」

2017年05月31日 | 料理

曇、22度、76%

 主にインドで水牛やヤギの乳から作るバターが、「ギー」です。「ちびくろさんぼ」のお話の中に出てくるパンケーキを焼く時の「ギー」です。「ちびくろさんぼ」では虎たちがぐるぐる回って溶けてできたのが「ギー」だとなっていますが、実際は水牛の乳から作ったものです。バターと違うところは製造の仕方らしく、常温でも固形です。24度の台所で、 この状態。色はずっとバターより黄色がかっています。インド料理には欠かせない食用油です。ギーが常温で固形なのは、気温の高いインドで保管に適しているのだそうです。

 インド料理を作り始めてずっとこの「ギー」を使ってきました。無塩の「ギー」を加熱するとバターよりまだ優しい香りがします。バターで代用しても良さそうですが、やっぱり「ギー」と思っていました。数年前、インドの家族ぐるみの友人宅に夕飯に呼ばれました。厚かましくも台所を見せていただくチャンスがありました。料理の下働きの人が二人もいる台所です。香辛料の使い方やチャパティと呼ばれる全粒粉のパンの焼き方を見せてもらいます。チャパティを焼く時にびっくり、オリーブオイルを使っています。「ギー」は動物性のオイルです。インドでもコレステロールが問題視され、植物オイルしかもオリーブオイルが奨励されていると聞きました。翌日インドのスーパーに行った時、オイルの棚を見れば種類も豊富にオリーブオイルが並んでいました。以来、私もインド料理を作るときもオリーブオイルを使うようになりました。インド人のシェフですらオリーブオイルやココナッツオイルを使う時代です。

 インド料理のコクやほのかな甘みは、大量の玉ねぎばかりでなく「ギー」のおかげではと思い当たったの最近のことです。味に奥行きが出るような気がします。そんなわけで久々に「ギー」の缶を開けました。香辛料を炒める時にも使います。ナンやチャパティにも塗っていただきます。

 今回は主人の希望で「ブリアニ」を作りました。南アジアのご馳走ピラフです。普段は「プラオライス」と呼ばれる白いご飯ですが、お祝い事などではこの「ブリアニ」が出されます。マトンや鶏を使います。カシューナッツや金箔が入ることもあります。鶏とくるみの「ブリアニ」を作りました。お米はインド産の「バスマティライス」を使っています。ロンググレインですが、タイ米と一味違った軽く、優しい香りのするお米です。お米もしっかりと「ギー」で炒めて炊き上げます。 そして蒸らしている時にもうひと塊り「ギー」を落とします。ふわっと「ギー」のいい香り。

 たくさん摂取するわけではありません。やっぱり「ギー」はインド料理には欠かせないと思います。「ギー」の香りを嗅ぐと、インドのむせるような重い空気を思い出しました。


チキンとロマネスコのカレー

2017年04月04日 | 料理

晴、9度、71%

 夕方散歩の途中でよそのお宅の台所からにおってくるカレーの匂いは、なんとも食欲をそそります。「早くお家に帰ってご飯を作ろう。」と頭の中はカレーの準備を始めます。

 固形カレーの素を作ったのは日本人、独特のとろみと香りです。固形カレーも嫌いではないのですが私が作るのはほとんどインドカレー。東南アジアはカレーの種類が豊富です。ココナッツミルクがベースのものも要するにスパイスのミックスされたものがカレーでしょうか。ベトナム、マレーシア、タイ、カンボジア、似ているようでその土地の気候や好みを反映したカレーです。

 インドも北と南ではカレーが違うように思います。ココナッツミルクを使わない北のカレーが私の基本です。玉ネギ、トマト、クミン、生姜、ニンニクのカレーのベースを作ってあとは合わせるものによってスパイスを足していきます。そのスパイスの分量も種類も私のその時の気分。要するにいい加減なカレーです。このいい加減なカレーが無性に食べたくなるから不思議です。

 チキンは冷蔵庫にあるけどお野菜はなんにしようかな、見つけたのは甘みの少なくなったロマネスコです。甘みが少ないから強烈なカレーにはもってこい。玉ねぎは赤タマネギが売っていないので新玉ねぎを使います。赤玉ねぎは普通の玉ねぎのように辛味が強くありません。新玉ねぎの優しさに似ています。

 お家の中の匂いが急に変わります。様々なスパイスが広がるように香ってきます。その匂いに誘われてモモさんも台所の番にやって来ました。あとはプラオライスを炊くだけです。大事に引越しの荷物に隠して持って帰ってきたバスマティライスをサフランで色と香りをつけて炊き上げました。 日本はお米を個人が持ち帰ることが認められていません。私は自分が食べるためのお米です。ほんの少し荷物に入れました。バスマティライスの持つ香りとサフランの香りがカレーを引き立ててくれます。

  私のいい加減カレー、ひとくち口に含んで思います。いつもの私のカレーです。いつもの私の味です。なんでいい加減に作ってもおんなじ味になるのかな。お待ちかねのモモさんには玉ねぎを拭ってチキンを少し。「おいしいね。」

 


たけのこ、サンドライドトマト、田せりのパスタ

2017年03月31日 | 料理

雨、13度、88%

 昨日の福岡はお昼過ぎまで暖かく、いいお天気でした。もう春だわと上着を前日より2枚も少なくしました。こういう日のお昼ご飯は春らしいものが食べたくなります。冷蔵庫を覗くと、たけのこが半分、田せりが一把。タセリは田んぼの畦道に生える細いせりです。細いけど香はせりそのまま。春らしい緑の香りで元気をもらいます。

 メインはたけのこ。そこで、 サンドライドトマトとホールウィートのスパゲティを出してきました。サンドライドトマトもオイル漬けのものからカラカラに乾いたもの少し柔らかいものと様々です。塩加減も製品によって違います。袋から出してちょっとかじってみます。塩分強めのサンドライドトマトです。サンドライドトマトを使うときはなぜか、アンチョビとニンニクを隠し味にと思います。オリーブオイルでアンチョビとニンニクを炒めて、サンドライドトマトとたけのこを加えます。ホワイトワインを探したけど見つからないので日本酒をちょっぴり垂らします。生クリームをざっと流し込んで、ゆでたてのスパゲッティを絡めるだけの簡単さ。

 この家に越してきて以来、少々寒くてもお天気がいいとデッキにお昼ご飯を運びます。餌付けを始めたムクドリやスズメたちが集まってくるのを眺めながら、春の落ち葉が木から舞ってきます。幹線道路がすぐそばですが、静かなお昼時です。台所からお盆に乗せてデッキに運ぶ間、もちろんモモさん私の後ろを離れません。 モモさん用に餃子の中身を小さく団子にして焼きました。

 今日はあいにく雨降りです。さて、お昼ご飯は何にしようかな。2階でお昼を食べようかな。雨の音も春らしさを告げています。


日本に帰っても蒸し餃子

2017年03月28日 | 料理

曇、7度、72%

 餃子好きな日本人の方が香港に見えるとガッカリなさるかもしれません。飲茶などで餃子が出てきません。焼き餃子のことです。一部の上海料理のお店で「鍋貼」と言ってメニューに載っています。確かに鍋底に貼りつく焼き餃子です。北京などの北の地方には水餃子があります。焼き餃子とは違った口当たりの水餃子、寒い地方ですから熱々のお湯に浮かんで出てくるとこれも食欲をそそられます。ところが私が好きなのは、蒸し餃子です。台湾で初めて食べました。以来我が家は主人が焼き餃子、私は蒸し餃子です。

 私が30年ぶりに戻ったここ福岡も餃子で有名な土地です。小ぶりの焼き餃子で有名な店がいくつかあります。お昼には博多ラーメンに小ぶりな餃子を添える人もいます。私もこの小ぶりな焼き餃子で育った一人です。餃子が食べたいなあと、久しぶりに日本の薄い皮を買いました。香港の麺屋さんで売っている餃子の皮の半分くらいの薄さです。全部包み終えて、焼こうか、蒸そうかじっと考えました。で、やっぱり蒸籠を出してきました。

 蒸し餃子と水餃子似ているようですが、大きな違いは皮が含む水分量です。茹でた水餃子の方が重く感じます。つまり焼き餃子、水餃子、蒸し餃子の中で一番数を多く食べれるのは蒸し餃子です。 焼き餃子は皮が吸う焼き油も美味しさの一つです。蒸し餃子、もちろん黒酢でいただきます。

 一人で2段もペロリと食べたのに、皮が薄いからでしょうかあっという間にお腹が空きました。次回は3段重ねにしましょう。


春の膳 つくし、菜の花、たこ、すだれ貝、真鯛

2017年03月04日 | 料理

曇り、7度、68%

 桃の節句の昨日、香港の主人がお客様のお接待のために戻ってきました。2週間ぶりです。モモさんも大喜びで迎えます。上海などの出張を終えてその足で福岡に着いた主人はお疲れ気味です。昨晩は家で夕飯とることにしました。

 一昨日、私は素敵な贈り物を受け取りました。宅配のおじさんが手渡してくれた箱を開けると、たこ、まだ生きている見たこともない貝が入っています。はまぐりをやや小さくした貝です。主人が帰ってくるなど知らない友人が、きっと私一人の雛膳に送ってくれたタコと貝です。貝とタコをどう料理しようか、主人を迎える献立を考えました。

 タコはお刺身にでもできそうですが、タコ飯がおすきな主人です。やや大きな貝はお節句にちなんでお澄ましにしようかとも思いましたが、かなりの数あります。やはり常套で酒蒸しのすることに。お昼間お野菜を見に出かけました。 朝摘んだばかりの菜の花があります。福岡の西、糸島でこれまた朝摘みのつくしもあります。菜の花もつくしも香港では食べれません。お魚屋さんを覗くとお刺身用の真鯛が入っています。お刺身にしてもらおうか、我が家のオーブンでローストするか最後まで決めかねます。大きな真鯛です。半身造ってもらおうかとも思いますが、モモさんにはお刺身は上げれません。ローストにすることにしました。

 我が家のたこ飯はピラフ的です。オリーブオイルでニンニクとタコとお米を炒めて作ります。土鍋で作るタコ飯の香りで、モモさん大はしゃぎです。炊き上がると、「たる源」のおひつに入れておきました。 

 大きな貝の名前は「しだれ貝」というそうです。そういえば、貝にしだれのような模様が見られます。これまたニンニクとお酒をたっぷり入れて蒸し上げました。貝が開くと足が赤く見えます。 身が大きく柔らかでとても甘みのある貝です。

 はかまを取ったつくしはお酒と薄口だけでさっと炊いてみました。

 私が作る夕飯を見ていた主人、お土産に持ち帰った白ワインより日本酒が飲みたくなったようです。夕方のお散歩の時、日本酒購入。

 我が家のオーブンで初のお魚ローストです。さすがコンベック、仕上がりの綺麗さ、速さは今まで使ったどのオーブンより優れています。お刺身用の真鯛のみはホロリと取れて、あまみがあります。やっぱりお刺身で食べたかったなあ。

 30年ぶりに戻った日本の桃の節句のお膳には、初めて食べる「しだれ貝」を始め春らしいものが揃いました。スポットライトの灯る庭を眺めながら、主人と話が弾みます。

 美味しいものをありがとう。タコは全部タコ飯になるかもしれません。


今年のおせち

2017年01月02日 | 料理

晴れ、19度、88%

 おせちを作るのが好きです。もっと正確に言うとおせちをお重に詰めるのが好きです。ところが、今年のお正月、我が家にはお重がありません。蓋つきのお椀もありません。毎年モモさんのお重になるわっぱのお弁当箱すらありません。私の大失敗がなければ今年のお正月は日本のはずでした。一足先にお重もお椀も日本に帰っています。そこで、大皿に盛ることにしました。

  一番のメインには、黒豆、牡蠣の燻製、かまぼこ、伊達巻、海老の酒蒸し、栗きんとん。これにガラスのドームを被せました。

 お頭付きは、お重に入れることができません。いつかは作ってみたい鯛の尾頭付きです。そこで、今年はマナガツオのお頭付きを一皿に。 これも燻製にしてみました。香港この時期、鯛は品薄です。そして鯛よりのお値段がいいのがこのマナガツオです。白身の魚です。身の取れ方、脂の乗り方がヒラメなどに似ています。

 主人の好きなおカブのおなますは、モレッティの器に。

 筑前煮も大鉢に盛ってみました。 

 買ってきたものはかまぼことシメサバだけです。シメサバは家で炙ります。 阿房宮と名前のある食用の菊の花を戻して添えてみました。お湯につけると菊のいい香りがします。

 お正月用のプレイスマットも日本です。今年はお盆で、 

 お正月用の蒔絵の蓋つきのお椀は古物を買いました。薄い挽きですが小ぶりな朱色です。例年、黒のお椀があるとお餅の白が冴えるのにと思ってきました。手持ちの普段使いの合鹿椀に今年のお雑煮を装ってみました。 我が家は福岡ですので丸もちです。なぜか佐賀のお餅なのに角もちでした。

 こうして大皿に盛るのも楽しいのですが、お重に詰める前の張り詰めた気持ちが私にとってお正月そのものです。来年はまた、大小のお重が並びますように。

 

 


チョイサム(菜心)中国野菜

2016年11月25日 | 料理

曇り、18度、80%

 香港でおかゆや麺類を食べている人を見ると、緑鮮やかなお野菜が一皿、その横に置かれています。「油菜」ヤウチョイといって季節のお野菜を湯がいてオイスターソースをつけて食べる簡単な野菜料理です。季節のお野菜と言っても一年を通して一番多く見られるのが、チョイサム(菜心)です。八百屋さんでも1斤、2斤と買っていく人を多く見ますから、家庭でもたくさん食べます。こうした野菜の食べ方が、男女共世界一と言われる長寿の国の秘訣かとも思います。

 日本でも中国野菜が随分と定着してきました。広東語ではチョイサムという「菜心」、日本では「さいしん」と呼ばれているそうです。太い茎と緑の葉っぱが特徴のこの「菜心」、はて日本の家庭ではどんな食べ方をしているのか、一度見たデパートの地下で売られていた「菜心」はたったの3本ほどの束でした。

 「菜心」はアブラナ科の野菜です。小さな黄色い花をつけています。日本の食用「菜の花」ほどではありません。香港人はこの花も葉っぱもほとんど食べません。調理する前にむしり取っています。つまり食べるのは太い茎の分です。私は葉っぱも花も捨てるのがもったいなくて、 つけたまま料理します。料理なんて簡単なもの、たっぷりのお湯にオイルをちょっと垂らして、お塩を少し入れた湯で湯がきます。油で炒めるのと違って、お湯にオイルを落とすだけですが、このオイルが葉っぱのツヤを良くし味も深くします。主人と二人でこれだけたくさん食べます。太い茎は噛むとほんのり甘く、ちょっと青臭さを感じます。「ああ、美味しい。」しみじみと思えます。 

 まだ息子が香港にいた頃、この「菜心」の黄色い花を集めてお弁当に彩りに入れていました。あの頃は日本の「菜の花」が恋しかったのでそんなことをしていたのだと思います。

 お鍋にも炒め物にも万能な「菜心」です。見かけたら、香港式にたっぷりのお湯にオイルを落として簡単に食べてみてください。その茎の美味しさに驚かれると思います。

 


豆豉を使った魚の蒸し物

2016年11月21日 | 料理

曇り、24度、88%

 「豆豉」という中華の調味料があります。黒大豆を塩漬けにして発酵させ乾燥したもので、真っ黒な乾燥納豆です。日本にもよく似た「お浜納豆」というのがあります。香港に来る前に中華料理の本をうんと読みました。読んでもこの「豆豉」の使い方は今一つ納得できません。香港に来た当初はこの「豆豉」どこのスーパーにも大きなビニール袋に入れられて売っていました。 お安いものですから私も買いました。

 実際中華のレストランに行ってもこの「豆豉」を使った料理に出会いません。せいぜい飲茶で豚の骨肉と一緒に蒸されている「豆豉排骨」に出会うぐらいです。一、二度この「豆豉排骨」を真似て作っただけで、「豆豉」はもう10年以上我が家の台所から姿を消していました。先日、庶民的な中華料理屋さんに行きお魚の蒸し物を注文しました。旬の魚を蒸してピーナッツオイルとやや甘いお醤油がかかって出てくる香港の魚の蒸し物は最高です。出された蒸し魚のパクチーの下になんと「豆豉」がこんもりとのせられています。久々に見た「豆豉」です。香りは納豆のようですが味などすっかり忘れていました。恐る恐る「豆豉」をつまんで口に入れます。深い滋味を感じる「豆豉」が脂ののった魚とともに口に広がります。蒸し汁のまたおいしいこと。塩味がきつくなく、ほんのりと大豆のうまさを感じます。初めて「豆豉」を美味しいと思いました。

 もちろん早速真似をしてマナガツオを買ってきて作って見ます。 蒸しあがりはこんな風です。脂の乗り始めたマナガツオはいいお値段ですが、香港人の好きな魚の一つです。

 「豆豉」なんてスーパーに売っていると思っていたのは大間違い、地元の小さな調味料屋さんに小袋で売られているのを見つけました。地元でも「豆豉」を使う人が減っているのかもしれません。かけるだけで料理できるクックドゥのような調味料がスーパーには並んでいます。

 黒い乾燥納豆の「豆豉」、お味噌やお醤油につながる奥深い調味料です。「豆豉」の美味しさに目覚めた私は、今あれこれこの「豆豉」の使い道を考案中です。淡白な白身魚にも脂の勝った豚肉にも味に奥行きを作ってくれる「豆豉」です。