
曇り、24度、88%
「豆豉」という中華の調味料があります。黒大豆を塩漬けにして発酵させ乾燥したもので、真っ黒な乾燥納豆です。日本にもよく似た「お浜納豆」というのがあります。香港に来る前に中華料理の本をうんと読みました。読んでもこの「豆豉」の使い方は今一つ納得できません。香港に来た当初はこの「豆豉」どこのスーパーにも大きなビニール袋に入れられて売っていました。 お安いものですから私も買いました。
実際中華のレストランに行ってもこの「豆豉」を使った料理に出会いません。せいぜい飲茶で豚の骨肉と一緒に蒸されている「豆豉排骨」に出会うぐらいです。一、二度この「豆豉排骨」を真似て作っただけで、「豆豉」はもう10年以上我が家の台所から姿を消していました。先日、庶民的な中華料理屋さんに行きお魚の蒸し物を注文しました。旬の魚を蒸してピーナッツオイルとやや甘いお醤油がかかって出てくる香港の魚の蒸し物は最高です。出された蒸し魚のパクチーの下になんと「豆豉」がこんもりとのせられています。久々に見た「豆豉」です。香りは納豆のようですが味などすっかり忘れていました。恐る恐る「豆豉」をつまんで口に入れます。深い滋味を感じる「豆豉」が脂ののった魚とともに口に広がります。蒸し汁のまたおいしいこと。塩味がきつくなく、ほんのりと大豆のうまさを感じます。初めて「豆豉」を美味しいと思いました。
もちろん早速真似をしてマナガツオを買ってきて作って見ます。 蒸しあがりはこんな風です。脂の乗り始めたマナガツオはいいお値段ですが、香港人の好きな魚の一つです。
「豆豉」なんてスーパーに売っていると思っていたのは大間違い、地元の小さな調味料屋さんに小袋で売られているのを見つけました。地元でも「豆豉」を使う人が減っているのかもしれません。かけるだけで料理できるクックドゥのような調味料がスーパーには並んでいます。
黒い乾燥納豆の「豆豉」、お味噌やお醤油につながる奥深い調味料です。「豆豉」の美味しさに目覚めた私は、今あれこれこの「豆豉」の使い道を考案中です。淡白な白身魚にも脂の勝った豚肉にも味に奥行きを作ってくれる「豆豉」です。
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