うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

檻の中の本音 (長いです、すみません。) ※追記あり

2021年01月20日 | 真面目な日記

先日、私は動物園へ行ってきたんです。

 

おはようございます。

私ご自慢の望遠鏡の中から、

小型の単眼鏡を2個、カバンに入れて出掛けた。

そして動物園に着き、私は開口一番、友人に

「どっちがいい?こっち?それとも、この指輪型?」

と、ニンマリした顔で問いかけながら、単眼鏡をカバンから出して見せた。

友人は、私のサプライズに、

「指輪型の望遠鏡?」

と、まず、そのことに疑念を抱いた様子だったが、

私は、確信めいた顔で、深く頷いた。

「じゃぁ・・・こっちで。」

友人は、指輪型より大きな方を手に持った。

「あらっ、そっちを選びますかぁ?」

と、なにやら上から目線な発言の私に、友人は狼狽え、

「いや、どっちでもいいよ。こっちのほうがいいの?」

と、指輪型と交換しようとした。

 

私は、すかさず、最上階から目線で伝えた。

「そっちの方が見やすいよ。ジャックバウアーも使ってたヤツだから。

ジャックバウアーは、誰か知らんけど!」

数年前、アマゾンで、『ジャックバウアーも愛用』と書かれていたから購入したが、

ジャックバウアーを見た事はいまだにない。

「おかっぱちゃん、ジャックバウアーって、24の」

と、友人が言いかけたが、私はその時すでにシマウマの元へ駈け出していた。

 

広い敷地で草をはむシマウマを見て、高台でキリン目線でキリンに挨拶をして、

レッサーパンダに「可愛い~」と悶絶した。

「おかっぱちゃん、

動物園って、久し振りだけど、なんか、すごく楽しいね。」

はしゃぐ友人に、運動不足の私は息も絶え絶えで伝えた。

「ちょっ、座らして・・・」

ここで、一旦休憩だ。

「大丈夫?お茶買ってこようか?」

気を遣う友人に、私は息を吹き返したが、

走って買って来てくれたペットボトルのお茶は1本だった。

回し飲みをするつもりかと悟った私は、

ペットボトルの口に唇を着けないよう距離を取って、ペットボトルを傾けた。

インドのチャイのように、空中に放たれたおーいお茶の弧線は、

大きく開けた私の口を大幅に外し、鼻の穴で弾けた。

「ぐはっ」

むせた勢いで飛ばされた鼻腔内のお茶は、

上手い具合にペットボトルの口へと返された。

しばらく咳き込んだのち、気道が確保できた私は

何食わぬ顔で、友人への御返杯をしようと、

「飲む?」と聞いたが、反射的に「要らない」と言われた。

回し飲みしようと思っていたお茶を、友人は断ったが、

私は驚きはしなかった。

むしろ当然だと納得し、私達は再び歩き出した。

 

「おかっぱちゃん、ここは、お猿さんだね」

「日本猿ね。」

猿山の猿は、20頭程だろうか。

「なんか、剥げたお猿さんが居る。どうしてだろう?」

友人は、笑顔で問いかけてきた。

「ストレスだと思う。調べたことあるから。

剥げるほど、過剰なグルーミングしちゃうらしい。」

 

子どもの頃、初めて行った動物園で、

私は檻の中のチンパンジーに衝撃を受けた。

図鑑に載っているチンパンジーとは程遠かった。

被毛は抜け落ちていて、覇気が感じられない。

私は、咄嗟に「ごめんなさい」と呟いた。

あれ以来、私は動物園を避けるようになった。

そのことを、友人に静かに話していると、友人が俯いてしまった。

 

この場の空気を凍らせた張本人の私は、温度を上げようと切り替えた。

「今は、飼育員さんも、いろいろ工夫してるみたい。

あのボールも、穴が開いてるでしょう?

あそこに餌が入ってるの。猿のストレス解消になるようにだと思う。」

その続きを話そうとしたが、一向に温まる気配が感じられず、

私は黙るしかなかった。

 

猿山を離れ、トボトボと歩いていると、友人があえて明るい声で

「あっ、ライオンのブースだ!おかっぱちゃん、ライオン見よう?

おかっぱちゃん、猫、好きだもんね。」

と言って、足を速めた。

私は犬好きだが、それは言わずに友人の後を追った。

「うわ~、ライオンって大きいね~」

雄ライオンが、私達の目の前の檻にもたれ掛かっていた。

かなり至近距離だった。

「ほんと、すごく近いね。大きい!」

私と友人の心に沈んだ冷たい空気は、吹き飛ばされたかに思われた。

そこへ雌ライオンが近づいてくる。

それに気づいた雄が立ち上がり、グルルルと喉を鳴らした。

「おぉぉ~」

そして、雄ライオンは、雌ライオンの後方へ回り、

一気に乗っかった。

私と友人と他の大人達は、固唾を飲んだ。

乗っかったまま、揺れている。

固唾を飲み続けて、もう口の中がパサパサになった頃、

「お母さん、あれは何をしてるの?」

と、かまいたちのような切れ味の言葉が響いた。

お母さんは、どう答えるのか、人々に緊張が走った。

「ん?あれは、えっとね。仲良しさんの挨拶なんだよ。」

母親は、見事な回答を絞り出し、周囲は安堵に包まれた。

寸でのところで、拍手をしようとした掌を、

咄嗟に握りしめた人もいたに違いない。

 

久しぶりの動物園は、悲喜こもごもだった。

特に友人は、悪戯に心を振り回されたことだろう。

主に、私のせいで。

私も、心が大いに揺さぶられた。

もちろん、友人のせいではない。

 

檻の中の動物は、野生に返せぬ野生動物だ。

この矛盾を、どう捉えるかは、自分の勝手だ。

可愛く見えたり、可哀想に見えたり、

自分勝手な矛盾が次から次へと湧き上がっては自由に移ろう。

そして、檻の中を覗き込む私は、

自在に形を変える、矛盾だらけな人間社会という檻の中にいる。

 

 今、その檻は、激しく揺れながら急激に形を変えている。

確信めいた矛盾だらけの報道が入り混じり、

スピリチュアリストは、今こそ全てを手放す時だと書きながら、

次の段落には『成功を掴む唯一の方法』講座を売り込んでいる。

私は、知らず知らずのうちに、

人との会話にビクビクするようになった。

胸の中に沈む言葉を浮き上がらせようとしても、

最適な言葉が見つからない。

 

社会に溢れた矛盾全てに拒絶反応を覚えた頃、

私の知っている人の御親族が、コロナに感染して亡くなったと聞かされた。

親しい訳でもないくせに、私は酷く狼狽えた。

どう捉えたらいいのか、胸の中の言葉を探したが、

言葉が溜まっているはずなのに、

浮き上がらせようとしても、浮いてきた時には別の言葉にすり替わり、

私は自分の矛盾した言葉を飲む込んで黙るしかなくなった。

 

それをどう捉えればいいのかも、分からないのに、

「分からない」とさえ、言えなかった。

ただひたすら、

社会の矛盾に揺さぶられてなるものかと、心を固くして、

しかめっ面で仁王立ちのまま、マスクで口を塞いでいた。

 

しかし、

動物園で、自分の勝手な矛盾に自由に揺さぶられ、私は思った。

素直になりたい。

矛盾しててもいいから、感じるまま素直でありたいと。

だから、私は取り留めもなく、答えの出ないままの、

この話を書こうと思った。

長々と、すみませんです。

 

そんなのん太も、矛盾を抱えている。

かかぁ、抱っこちろ!って来るくせに

 

おじさんに見られると、気に食わないらしい。

のん太は、産まれてこのかた、

ずっと、おじさんとも暮らしているのに、

どういう訳か、おじさんが苦手なんだ。

 

のん太「みりゅな!」

 ※誤操作で、コメント欄を閉じちゃってた。

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