誰しも、
一度は、モテ期を経験すると聞く。
おはようございます。
そもそも、もてきと打つと、まず『茂木』が出て来る。
まっさきに『茂木』と変換されるほど、
私には無縁な用語なのだが、そんな私にも、あったんだ。
茂木が!
違う!
モテ期だよぉ!!
あれは、お嫁さんだった頃だ。
嫁ぎ先には、何人もの人を咬んだ猛犬がいた。
猛犬のくせに、名前はチロだった。
チロっと小さいのかと思いきや、大型の雑種犬だった。
当時は、長男のお嫁さんとして、修行中であったが、
私にとっては、とても辛い時期でもあり、
その時の救いは、猛犬チロだった。
今にも咬まんとするチロとの散歩は、夢のように自由だった。
唸っていたチロも、半年もすれば、無二の相棒になっていて、
私達は、毎日、行った事のない道を冒険した。
帰りは心配なかった。
チロの鼻は、素晴らしく優秀だったんだ。
チロについて歩けば、必ず家に帰ることが出来た。
帰りたくないとごねた日も、チロは私を導いてくれたんだ。
そして、チロと散歩に出ると、必ず出くわす、メンバーもいた。
トレンチという男と、リーマンという男と、車の男だ。
トレンチは、ごく一般的な男だった。
横を通り過ぎる時に、トレンチコートの前をパーっと開いた。
リーマンは、控えめな男で、
必ず通る公園の奥から、ファスナーを開けたまま
こちらを静かに見ているような慎ましさだった。
車の男は、車を運転しながら付いて来ていた。
彼は見せるのではなく、おしゃべりを得意としていた。
しかも、素面なくせに陽気な下ネタが得意のようだった。
この3人の男は、いわゆる変質者だ。
トレンチとリーマンは、露出狂で、
車の男は、卑猥な言葉で女性を怖がらせる愉快犯だった。
朝7時半、忙しい中、必ず私の出待ちをする男達。
用心深いチロでさえ、見慣れているせいか、
トレンチには、すれ違いざまにシッポを振っていたほど、
ごく平和な日常の光景だった。
私も思わず、挨拶してしてしまいそうなほどだった。
なかなか、ない事だと思うのだ。
同時に、3人の変質者に見初められるなんて、ないと思うのだ。
私は、この経験を、今でもモテ期と捉えている。
たった一度の、モテ期と・・・。
そんな我が家のあやさんは、
まさに、モテ期だ。
おたまは、あやが大好きだし、そこにたれ蔵が加わり、
見事な三角関係の様相だ。
あやの側には、たれ蔵かおたまが、必ず居るんだもんな。
ちょろっと触ってるし。
叱られる事もあるのに、折れない、たれ蔵だ。
それを遠くで
おたまが、じとーっと見てる・・・
耐える、おたまであった。